お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2010年10月24日

1762 角膜輪部デルモイド

眼球の表面で角膜の周囲に当たる輪部にデルモイドと呼ばれる白い隆起を持って生まれて来る子供たちがいます。その解説をしてみましょう。

(この解説にはMark D Sherman, MDの記載したe-medicineの記事等を参考にしています)

デルモイド肉眼

背景
輪部のデルモイドは良性の腫瘍で異所性物質を含んでいます。 角膜の外下側にあるものが多く、結膜にも掛っています。本来とは場所違いな成分を多く含み、類上皮性の結合組織、皮膚、脂肪、汗腺、歯、軟骨、骨、血管、神経、脳組織などを含みますが、悪性化することは少ないです。

第1群の輪部デルモイドは輪部に有り表層ですが稀にやや深くまで入ります。次の第2群は角膜だけのものでデスメや内皮は正常です。第3群は前眼部全体を侵すものです。これは虹彩、毛様帯、レンズまで冒します。

デルモイド病理
病理いくつかの説がありますが、その一つは、視神経の縁と表皮外胚葉での異形成というものです。
普通、輪部デルモイドは遺伝しませんが、遺伝する例外にはゴールデンハー症候群があります。

頻度

10,000人に1から3人程度です。
7.5%が過誤腫で、眼球上の過誤腫の52%は球結膜に、29%は輪部、6%は角膜、4%は涙阜、2.5%が結膜円蓋や眼瞼結膜にあります。

障害
視力の喪失はデルモイドが視線を遮り、乱視を生じたりして起きることが有ります。美容上の問題にもなります。

人種差や男女差はありません。

年齢
生まれつきですが、成長とともに大きくなることが有ります。
米空軍の研究所の調査では、10歳までに眼球表面から切除された物の36%、10歳代での23%、20歳代での7.2%、30歳代では0.9%をそれぞれ占めていたそうです。
2
臨床的側面
病歴
患者は低い視力、異物感、美容上の問題、 眼表面の異常なできものを愁訴として16歳までに受診します。

身体的特徴
輪部のデルモイドの多くは角膜の外下側にあります。
角膜または結膜の一方だけを冒す事は稀です。眼球表面のデルモイドは円蓋状の形で表面は角質化しています。
毛嚢や睫毛が生えていることもあります。肉の様であって、表面には微細な血管もあります。
眼瞼の(部分的な欠損)コロボーマ、デュアン症候群その他の眼球運動異常を示す症候群、涙器の異常、強膜や角膜のコロボーマ、無虹彩症、小眼球等を合併することがあります。
Goldenher

全身的な合併することのある奇形には、前耳介の肥大、 耳介の裂け目(これは輪部のデルモイドと併せてゴールデンハー症候群Goldenhar syndromeと呼ぶ)が有ります。顔の左右半分が小さい患者や、耳が小さい患者、そして脊椎の奇形も有ります。

原因その多くには家族性はなく、毒素への暴露とか物理的な刺激とも関連はありませんが、発生の最初の3か月の間のある種の薬剤への暴露との関連を疑わせる症例報告はあります。

臨床検査デルモイドの診断は臨床観察に依って付けられます。
1

画像診断
MRI
時にはデルモイドが結膜円蓋や外眦に向かって伸びていています。それらの病巣は結合組織を含んでいる事が有って、眼窩脂肪や外眼筋と絡んでいることが有ります。MRIはこのような病巣の同定に有効で、外科的切除を考えている場合にはそれが有効です。

手技
診断が疑わしい様な例以外では生検は不要です。

病理所見
輪部のデルモイドは過誤的な成分を含んでいて、それには上皮成分、脂肪や涙腺成分、黄紋筋や平滑筋、軟骨、脳、歯や骨、リンパ腺や血管性分等が報告されています。 表面は角膜や結膜の組織です。組織は嚢胞状で有ったり実質性で有ったりします。

removal
治療
外科的な切除

デルモイドに対する処置としては定期的な逆まつ毛の除去が行われる。異物感を取り除くための点眼液も処方できる。美容的な問題や視力絵の害があれば、その切除も検討される。

切除は術後の瘢痕形成や手術合併症などを勘案しても視力や外見が改善されると考えられる場合に限られるべきものである。

表面的な強膜と角膜の切除、肉を眼球の表面とともに切り取ることは、デルモイドの除去として検討することのできるものです。切除標本は病理医に検査をしてもらいます。

完全に組織を取りきることを目指す必要はありません。異常な組織は目の深部にまで張り込んでいることが有りますから、完全に切除しようとすれば、穿孔の恐れも増します。

露出させた強膜は減張させた結膜で覆って、強膜の欠損部に縫い付けて置くべきです。もし深い切除が必要になれば、切除部位を保護するための層状角膜移植をします。

他医への相談
医学的な病歴や家族歴を聞いて、さらなる紹介が必要かを決めましょう。場合によっては遺伝を扱う小児科専門医への紹介が必要です。

経過観察、予後

予後
一般的な予後は良好

法医学的な落とし穴
輪部のデルモイドで来院する患者には弱視を発症する恐れが有ります。同様に既に弱視を発症してしまっているかもしれません。この件は患者やその家族と話しておかなくてはなりません。弱視訓練の計画は患者のカルテへの記載が必要です。
ーーーーーーーーーー

清澤のコメント:それが有ったからと言って、小さな子供にすぐに手術をするというばかりが最善の対応ではありません。子供の成長に合わせた観察を行い、適切と思われる時期が来たら、全身麻酔の下で切除をし、場合によっては表層角膜移植をして仕上がりをなるべく奇麗に、乱視も少なく仕上げます。

Categorised in: 未分類