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2010年9月18日

1667 目を蜂に刺されたら?

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先に蜂に刺されてのアナフィラキシーショックについて記載をしましたが、今回は目そのものを蜂に刺された症例報告を引用してみましょう。

参考にする文献は、Eye (2005) 19, 1025ー1026.

Bee sting-induced ciliochoroidal detachment蜂刺しによる毛様体脈絡膜剥離

著者は(N Pal, R V Azad, Y R Sharma, D V Singh and M D Davda)インドの医師たちです

ーー概要の翻訳ーー
レターの形式ですが要点を抄訳します

蜂やスズメバチが人の目を刺すと障害が起きます。結膜炎、角膜浸潤、白内障、角膜沈着を伴う虹彩炎、前房出血、レンズ脱臼があり、まれに視神経障害の報告も有ります。これは蜂による初めての毛様体脈絡膜剥離の最初の症例報告です。

35歳の男性が庭仕事中にミツバチに刺され、4時間で来院。右眼の疼痛、羞明、視力低下。角膜に蜂刺傷、針を抜き、シプロキサシンとプレドニソロン点眼。右視力は指数弁で眼圧2ミリ水銀柱。結膜と眼瞼浮腫。角膜後面沈着があり、角膜に蜂の針が残存。
瞳孔反応は遅鈍。虹彩は部分的に委縮。白内障を示す。透見出来ない眼底にBスキャンで毛様体脈絡膜剥離あり。 (図2a).

毛様体脈絡膜剥離には鋸状縁断裂なし(図2b)。VEPとパターンないしフラッシュVEPは両眼正常。

蜂刺し白内障
図1
細隙灯写真: (a) 受傷4時間後、角膜浮腫。前房炎症、白内障 (b)12週後進行した白内障

エコー2
図2.(a) Bスキャン超音波画像、多少可動性があるスムースなドーム状の膜は網脈絡膜剥離を示す。(b) 超音波生体顕微鏡は毛様体脈絡膜剥離を示す。

経口プレドニソロン 60 mgで治療され、薬剤は漸減され、シプロフロキサシンとプレドニソロン点眼は継続した。12週の経過で眼瞼の腫脹や結膜の充血、角膜浮腫、前房の炎症、毛様体脈絡膜剥離は序々に引いた。しかし白内障は進行した。(図1b) 。白内障手術がなされ、視力は1,0が右目で得られた。

目の蜂刺し症は蜂毒素またはそのアレルギーで起きる。蜂の毒やアブの毒は多くのアミンや酵素それに毒素を含む混合物である。生物学的な高濃度のアミンや, ヒスタミンなどは血管拡張を起こし、血管の透過性を引き起こす。 高分子の酵素などに対する免疫現象はIgGを媒介とした過敏性の免疫反応を引き起こす。

毛様体脈絡膜剥離は毛様体の外層や脈絡膜への血漿成分の貯留である。眼内の炎症がたんぱくの透過性に変化をもたらし、血管外への貯留を起こす。これが血管壁への膠質浸透圧に変化を及ぼし、血管外液の貯留を助ける。外傷性の毛様体脈絡膜剥離は通常穿孔性眼外傷で見られる。この場合炎症が低眼圧に合併する。我々の症例では、蜂刺しに関連した1型アレルギーと眼炎症が毛様体脈絡膜剥離の原因となった。 毛様体断裂がないことは大切であるが、私たちの症例に、それはなかった。

様々な眼球への蜂刺しの障害が角膜や視神経で知られている。網膜では網膜電図が消失する病態が報告されている。しかし我々が知る限り蜂刺しに由来する毛様体脈絡膜の剥離の報告は初めてである。
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清澤のコメント:
というわけで、ほぼ全訳になってしまいましたが、角膜から蜂の毒が入って白内障と毛様体脈絡膜剥離を起こし、白内障になったが、白内障手術で視力が回復できたという幸運な症例でした。

蜂はbee、waspはスズメバチ(白人のアングロサクソンでプロテスタントというワスプと偶然の一致?)、刺すのはstingです。

EYEはイギリスの眼科学会(医師会)が発行している由緒ある雑誌で、その表紙の色からグリーンジャーナルとも呼ばれていると思います。

網膜がやられたまれな例というのは6.KiTAGSawa K, Hayasaka S & Setogawa T. Wasp sting-induced retinal damage. Ann Ophthalmol 1993; 25: 157-158. ですが、これは多くの論文を発表している東北大学の先輩の早坂征二先生も著者に入って、島根医科大学で出した報告ですね。

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