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2010年9月14日

1661 成人T細胞リンパ腫の眼症状とは、ぶどう膜炎、視神経炎、、、

成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染を妊婦で一律に検査することを、2010年度中に行うということが決まるそうです。

成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染者は九州などの地方に特に多く、母から新生児への感染が多いとされています。その感染者では目にも症状が出ることが知られており、HAMと呼ばれる脊髄炎などとともに、必ずしも白血病を発症していなくとも眼症状は発症することが有ります。

 菅直人首相は13日、首相官邸で開かれた成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)対策を検討する特命チームの初会合に出席し、「妊婦を対象とした全国一律の抗体検査やカウンセリングを、来年度を待たず、今年度中に実施に移せるように検討を進めたい」と述べ、2010年度中の対策実施を目指す考えを強調したそうです。

 同ウイルスが主に母乳で感染することから、予防を徹底するのが狙い。首相は、年末までに総合的な対策をまとめる意向も示した。同ウイルスは白血病(ATL)や神経障害(HAM)を引き起こし、感染者数は約108万人と推定されている。(2010/09/13-20:09)
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では、HTLV-I感染症 HTLV-I infection及び、その眼症状などに関し川上清 氏の記述などを参考にまとめてみよう。

概要  HTLV-IはヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T-cell leukemia virus type I)の略で、成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia ; ATL)を引き起こすウイルスとして知られる。

 本ウイルスはレトロウイルス科に属し、同じヒトレトロウイルスのhuman immunodeficiency virus (HIV)と同様、血液中のTリンパ球に感染する。HTLV-Iの感染者の多くは無症候性キャリアであるが、一部がATLやHTLV-I関連脊髄症(HAM/TSP)、そしてHTLV-I関連ぶどう膜炎(HTLV-I associated uveitis ; HAU)などの疾患に関係する。

病因
生物学的特性
 HTLV-Iはレトロウイルス科オンコウイルス亜科に属する一本鎖RNAウイルスで、全長9kbの遺伝子をもち、gag,pol,envという構成遺伝子がコードされている。さらに両側のlong terminal repeat (LTR)領域にはpX領域とよばれる特異な領域があり、tax, rex, p12, p30などの調節遺伝子が存在する。

そしてその遺伝子産物の一つであるTaxは本ウイルスの生物学的特徴の中心で、強力な細胞増殖作用を有し、腫瘍化に関与している。HTLV-Iは主にTリンパ球に感染し、感染細胞はCD4+を発現する。この感染細胞と標的細胞であるTリンパ球の接着によってのみ感染が成立し、同じCD4+を標的細胞とするHIVが遊離ウイルスでも感染が成立するのと異なり、HTLV-Iは遊離ウイルスでの感染はない

疫学
 HTLV-I感染者は世界中に1,000万人~2,000万人いると推定されている。わが国のHTLV-I感染者は120万人といわれ、その半分は南西九州、沖縄に存在する。

病態生理と発症機構

 HTLV-IのTax遺伝子が関与する機構については原文をご覧ください。

HTLV-I感染からATL発症まで数十年の潜伏期間が必要とされ、わが国のATL平均発症年齢は60歳である。一方、同じHTLV-IによるHAM/TSPの発症はATLより若く、40歳代が多い。また同じHTLV-I感染者から発症するATLとHAM/TSPが同一個人に併発することは極めて稀であることは、宿主側に要因があるといわれている。

感染経路
 HTLV-Iは血液中のTリンパ球に感染するため、血液を介した3つの経路がある。すなわち(1)輸血や薬物濫用静注による感染、
(2)性交感染(おもに男性から女性へ)、
(3)母子感染(母乳を主とする)の3経路があるが、1986年以降HTLV-Iキャリアからの献血は使用していないので、日本赤十字社の献血輸血からの感染は現在はない。

ATL発症までは平均55年の潜伏期を有すため、性交感染からのATL発症はないといわれている。従ってATL発症のリスクは母子感染が重要となる。

臨床症状 
HTLV-Iキャリアは通常何も症状を呈さず、治療の必要もない。関連疾患を発症すると種々の症状を呈す。

成人T細胞白血病(ATL)
 成人、特に50~60歳代が多い。HTLV-Iキャリアの中から毎年600~700人ほどが発症し、ATLの生涯発症率は5%程度といわれている。臨床像および予後因子から、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4つの病型に分類される。

HTLV-I関連脊髄症
(HTLV-I associated myelopathy ; HAM / tropical spastic paraparesis ; TSP)
 カリブ諸島と日本の南九州で成人に特異的な痙性脊髄麻痺患者が多発することがそれぞれ独自に報告され、いずれも抗HTLV-I抗体陽性であることより両者は同一疾患であることが認められ、HAM/TSPとよばれるようになった。

 ATLより発症年齢は若く、40歳代が多い。HTLV-Iキャリアからの生涯発症率は1%未満といわれ、男女比は女性に多い。緩徐進行性の歩行障害と排尿障害を主症状とし、経度の感覚障害も伴うことが多い。

HTLV-I関連ぶどう膜炎(HTLV-I associated uveitis ; HAU)

 20歳代以降の年齢層に幅広く分布し、飛蚊症、霧視、視力低下などの自覚症状がみられ、軽度の虹彩炎をほぼ全例に認める。

その他のHTLV-I関連疾患
 関節症、肺疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患などとの関連が提唱されているが、ATL、HAM/TSP、HAUほど確立されたHTLV-I関連疾患とはいいがたい。

診断・鑑別診断 HTLV-I感染の診断にはgelatin particle agglutination assay(PA法)やenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA法)による抗HTLV-I抗体がスクリーニングとして用いられている。さらにimmunofluorescence method(IF法)、western blotting method(WB法)で確認試験を行っている。最近ではプロウイルス定量法も行われるようになり、高感度核酸定量法によるとキャリアの末梢血単核球中3%前後にHTLV-Iウイルスが検出されるという。抗体による感染の判定の場合、乳児期には母親からの移行抗体が存在するので注意が必要である。すなわち、母親からのHTLV-I移行抗体は臍帯血や出生直後の児では全例陽性であり、出生後抗体価は徐々に低下し、生後6ヵ月から1年の間に消失する。したがってこの期間中は母子感染の確認は困難である。いったん移行抗体が消失、あるいは低下した後に再上昇するとPCR法によるウイルス抗原も陽性となり、感染が確認される

HTLV-I関連疾患の治療

 HAM/TSPやHAUなどのHTLV-I関連疾患も特異的な治療薬はなく副腎皮質ステロイド剤などが用いられている。

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