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2010年8月20日

1606 眼科医を目指す若いあなたに その2

 今回、日本眼科学会から眼科医を目指す医学生に眼科を薦める小文をという依頼を受けました。それなりの期間大学にもいて、現在は開業医として診療に従事するという立場での眼科案内を頼まれたものと理解し準備しましたが、スペースが短いので大分短縮したものになってしまいました。

 昨晩お会いした日刊ゲンダイの井上記者に見ていただきましたら、長い全文の方が面白いと言っていただけましたので、ブログには全文版と短縮版の両者を掲載いたします。
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(まず、長い全文バージョンです)

眼科臨床医を目指す若い方々へ

 今回、日本眼科学会から眼科医を目指す医学生に眼科を薦める小文をという依頼を受けました。それなりの期間大学にもいて、現在は開業医として診療に従事するという立場での眼科案内を頼まれたものと理解しました。

私は地方の大学に13年、東京の大学に移って更に12年を大学で過ごし、現在は都内で開業して満5年、合わせて30年にもなりました。その間にパリ、フィラデルフィア、ノルマンディーのカンと海外でも長短合わせて3年ほどの期間を学ばせて戴きました。

 小柳美三先生は東北大学眼科学教室の初代教授を勤めた偉い先生です。この教授のお話は先輩方から何回となく伺っていましたが、最近、この先生の小さな伝記を見つけました。”批判精神の系譜、日本近代史における小柳美三”という本です。

 小柳先生は、”われわれ医学に携わる者の場合には患者が常に新しい問題を提起してくれる教師だから、その問題を解いて、清書した立派な答案を呈出するか、それとも落書きでごまかして済ませるか、それは、君自身が決める事だ。と厳しく教えています。

 眼科医療の進歩は非常に速いので、不勉強にしていると、今日はもう有効な治療法が見つかっているのにその治療ができる施設に患者さんを送らないでしまうという事も起きかねません。最近の話題であれば、角膜移植のDSAEK(Descemet’s Stripping Automated Endothelial Keratoplasty:http://www.youtube.com/watch?v=yOh_4hG8gJw)が何のことか?網膜静脈閉塞症に対するアバスチンの適応は?等の質問にも即座に答えられなくてはいけないのです。

 開業医というものを、それまでの長くて辛い修練や勉学の成果を用いて収穫を得る時期として捉えるのは間違いです。小さな診療所には小さな診療所なりの責務があり、また喜びがあります。すべての治療手段を自分の手の中に持つ必要はないのですが、それぞれの患者さんに対して”清書した立派な答案を提出す”べく努めたいものです。

 病院と診療所の連携という言葉は以前からあったのですけれども、従来はともすると手術が必要となったら病院に患者さんをお願いしてそれで終わりという風潮が有りました。しかし、最近は以前とは違って、大きな病院や大学が開業医にも診療に参加する門戸を開き始めています。

 これから眼科を目指す方々にはその門はきっと今以上に広く開かれるでしょう。その様なチャンスを得るには、自分の診療所を持つまでに病院の中で十分な臨床の力を身に付け置くこと、そして若く目を輝かせている後輩の先生方に慕われる人格を涵養することも必要です。そして開業後もその技術を磨き続けることが大切です。

 とかく世間からは開業と申しますと、経済的興味を追及する輩と誤解されることもあろうかとは思います。しかし、開業医は受け身では務まりません。小さいとはいえ自分の城を持ち、そこを職場とする従業員を養う起業家ですから、going concern(事業の継続)は絶対に譲れない線です。それには、あらゆることに同時に気を配らねばなりません。それは,
面前の患者さんに対する最適の治療法の探索はもとより、医業収入の確保で有ったり、従業員の教育で有ったり、労務対策で有ったり致します。しかし、始めてみれば今まで未知であったそれらの問題は、それはそれで興味深いものです。

 あなたがこれから高度に専門的で新しい医療を行い、患者さんにも親しまれ、従業員にも慕われようとするならば、実力のある眼科の開業医と言うのは一つのありうる選択肢であるかもしれません。それが私の目指すものです。

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(これが、短縮提出版です)

眼科臨床医を目指す若い方々へ

地方の大学に13年、東京の大学で更に12年を過ごし、現在は都内で開業して満5年です。東北大学眼科初代教授の小柳美三先生は、”われわれ医学に携わる者の場合には患者が常に新しい問題を提起してくれる教師だから、その問題を解いて、清書した立派な答案を呈出するか、それとも落書きでごまかして済ませるか、それは、君自身が決める事だ。と厳しく教えています。眼科開業医を、それまでの長くて辛い修練や勉学の成果を用いて収穫を得る時期として捉えるのは間違いです。小さな診療所には小さな診療所なりの責務があり、また喜びがあります。それぞれの患者さんに対して清書した立派な答案を提出すべく努めたいものです。開業医は受け身では務まりません。小さいとはいえ自分の城を持ち、そこを職場とする従業員を養う起業家です。あらゆることに同時に気を配らねばなりません。それは医業収入の確保で有ったり、従業員の教育で有ったり、労務対策で有ったりも致します。あなたがこれから高度に専門的で新しい医療を行おうとするならば、実力のある眼科の開業医と言うのは一つのありうる選択肢であるかもしれません。
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