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2010年7月7日

1520 眼の前でごみが飛ぶと言う症状を蚊が飛ぶと書いて飛蚊症といいます。(改訂)

眼の前でごみが飛ぶと言う症状を蚊が飛ぶと書いて飛蚊症といいます。
(これを 眼科 視野障害 糸状 動く と検索した人も居ます)

この症状は、網膜剥離のときにごく初期から見られることの多い症状です。
簡単な図網膜剥離では網膜に穴が開き液化硝子体が網膜下に流入して網膜剥離が広がってゆきます。(図の出典)
剥離眼底

(大分時間がたったのでリファインしますが、旧記事には39件のコメントが付いてますのでそちらもご覧ください。旧記事にリンク

眼球の中央部分は硝子体と呼ばれるゼリー状のもので占められていて、その外側に光を感ずる神経の膜である網膜が包んでいます。

その更に外側には血管でできた脈絡膜があって、眼球の最外層は、白い眼球の形を成す強膜が包んでいます。

これらの各層のうち網膜がその外側の膜からはがれてしまうのが網膜剥離です。

硝子体と呼ばれる中央のゼリーは、加齢性の変化や近視の進行に伴う眼球の長さの延長に伴ってゼリー部分と水分が分離して、本体が前に移動して後方に水だけが取り残された形に分離します。

この現象を後部硝子体剥離といいます。このとき、視神経や網膜の血管に接していた硝子体はその痕がついているので、自分にはごみが浮いている様に見えます。
牽引

多くの飛蚊症はこの影を見ているものでまったく心配のないものなのですが、まれに網膜格子状変性などで硝子体の一部と網膜とに癒着があると、その部分の網膜が眼球の動きに従って引っ張られることになります。(図:硝子体による網膜の牽引)

その際には網膜は刺激を光として捉えますので、暗室でも眼を動かすたびに閃光をみることになります。白い光が見える,光が見えると訴える人もいます。(これが光視症です)。
剥離の症状

さらに網膜が硝子体に引っ張られれば、やがて網膜の一部が破れて穴が開き網膜裂孔(もうまくれっこう)が発生します。(図:網膜裂孔の発生と剥離の進行)
剥離略図

このとき、網膜の小さな血管が切れてわずかな出血を生じたり、網膜の一部がちぎれて網膜に影を落としたりするので、患者さんはいっそう激しい飛蚊症を訴えることになります。この裂孔が血管を横切ると硝子体に強い出血を生じ(硝子体出血)視力が下がり、検査で眼底を見ても網膜がみえなくなってしまうこともあります。

やがて、硝子体のいっそうの網膜への牽引に従って、眼球の中のゼリー(硝子体)から分離した水が網膜の下に入り込んで、網膜の剥離が広がってゆきます。

このときに、網膜は正常に活動できる部分が減ってゆきますので健全な視野が縁のほうからカーテンがかかるように欠けてゆきます。(図:剥離では視野がカーテンを引くように欠けてゆく。)
剥離視野欠損

このとき迅速に手術を考えないと、網膜の真ん中まで剥離が進んだ段階で視力は急激に低下し、たとえ手術がうまくいって網膜が戻ったとしても視力の回復は限られたものとなります。

剥離の発生に伴って、網膜に皴がよれば、患者さんにとってはまっすぐな線が曲がって見える(変視症)こともあります。

医学生のころスキー部水泳部で活躍していた親友が、ある日私と囲碁を打ちながら、“なんだか片方の目で見ると線が曲がって見えるのだよ”と訴えていて、その翌週に網膜剥離を診断されたことを私は昨日ことのように鮮明に覚えています。(幸い彼は、無事手術が成功し現在は外科の病院長になっています。)

この網膜剥離の治療には3つの段階があります。
光凝固

まず、穴の周りの網膜が比較的安定していて、それ以上広がらないことが期待できる場合にはレーザー光線で網膜裂孔周囲の網膜を焼き、その瘢痕形成を利用して網膜剥離の進行を止めようとする場合があります。(図:網膜裂孔を囲むようにアルゴンレーザーで網膜を焼灼し、その瘢痕形成で剥離の進展を阻止します。)実際にはこれで剥離の進行が止まることもあり、やがてはがれてしまって次の手術が必要になることもあります。この方法の利点は入院がいらないことです。
backle

2番目は、バックリングと言う方法で、眼球の外側から、網膜の孔の部分に相当する部分をスポンジの小片で押し込んで縫いとめ、網膜の孔の周りを癒着させて凝固措置を加えて、網膜裂孔の閉鎖を図るものです。(図;網膜の孔をふさぐために強膜を内側に陥入させるので正式には強膜内陥術と呼びます。)
ビトレク

3番目が、眼球の中に手術器具と光源をいれ、網膜の穴の縁を引き上げている繊維性の硝子体組織をはずして、網膜の孔の閉鎖を図ると言うものです。(図:この硝子体手術、ビトレクトミーは正式には硝子体茎離断術といいます。)

最初の網膜の破れた部分を的確にすべて閉鎖してやれば、はがれた網膜は自然に張り付く方向に戻ってゆきます。逆に一部でも手術後に孔が残っていれば自然閉鎖は期待しがたく、再手術が必要になります。

網膜剥離は、患者さんが今お話したような症状に早く気がつき眼科を受診しなくては、治療が始められません。

眼科医は瞳孔を点眼剤ミドリンで開いて、精密に網膜を調べて網膜剥離とその原因となった網膜裂孔を探します。

その上で、剥離が見つかれば、自分が信頼する網膜剥離手術が特別に上手な術者に、一刻も早く手渡し、その術者の手できれいな手術をしてもらう以外には、患者を助ける道がありません。

強膜内陥術にしろ硝子体手術にしろ、網膜剥離の手術は非常に専門的なものですから、最近は網膜硝子体手術を専門にする医師が主に行ないます。神経眼科を専門とする私は、網膜剥離も診察は引き続き行なっていますが、最近は約20年間続けてきた網膜剥離手術に関しては既にメスを置きました。

(日本中に、有名な術者は大勢いますが、私が今まで東京医科歯科大学で一緒に仕事をさせていただいて、剥離の手術の腕を信頼する医師には、ご一緒させていただいた時期の順番に、にしこく眼科の吉野先生、川口医療センター森田先生、九州熊本出田病院川崎先生、女子医科大学田中先生、東京女子医科大学東病院広瀬先生、千葉大学馬場先生、東京医科歯科大学菅本先生がいます:平成22年7月6日、故人の開業医でも最近は上手な手術を外来で行う医師もでてきています。)

最近は、スリーポート(3つの入り口)は注射針の太さに変わり、手術もいっそう手際のよいものになっています。これを見ると、今は強膜内陥術より、硝子体手術を先に選ぶ術者がいる理由がよく分かります。

そして町の眼科医も、常に新しい手術を見ていないと現代の最先端から取り残されると言うことを実感いたしました。

網膜剥離の新規の発生頻度は人口1万人に一年で1人です。私の診療所での網膜剥離の新規の発見はこの一年で4人程度です。おかげさまで皆さん手術でよくなっています。

飛蚊症を訴える患者さんが受診されて、眼底に網膜剥離がなかったとき、私は
“今日は大変よく来てくださいました。この症状は網膜剥離によく見られる症状であって、その発見が遅れると大変なのですが、幸い今日は剥離がありませんでした。一月位してから剥離が出てくることもありますので1月後にもう一度見せてください“
と説明することにしています。

このような飛蚊症、光視症、変視症などを自覚しましたら早めに眼科を御受診ください。

網膜の変化(裂孔)をレーザーで光凝固する考えの先生と、光凝固では剥離の予防にはならないから網膜がはがれたらその場合に手術をするということでよいと言う先生のが両方が居て、私はむしろ後者です。

◎今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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