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2010年7月5日

1517 眼窩吹き抜け骨折、眼窩底骨折

吹き抜け骨折
図:眼窩底骨折(出典

眼窩吹き抜け骨折はスポーツなどに伴ってしばしばみられる代表的な眼外傷です。
最近も、”ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ”という松本先生のブログの中で眼窩底骨折について詳しく記載しておられ、その医院での経験例を調べておられました。

 私のところでもしばしば吹き抜け骨折はセカンドオピニオンを求める患者さんがおいでになりますのでその数は少なくも無いと思います。受付の事務員に頼んで、過去に眼窩吹き抜け骨折、眼窩ふきぬけ骨折、眼窩底骨折の病名が付いていたカルテを探してみてもらう事にしました。
集計の結果が出るにはしばらくかかるでしょうが、ご期待ください。
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答:次の事柄を拾ってみました。全17例ですが不明の部分も有ります。

発症時の年齢、平均 35歳(6-59歳)
性別:男性14、女性3
原因:不明4 殴打3、スポーツ6、転倒4
左右:右8 左7、
当医院受診前に手術を受けてていたか:受けていた7、受けてない9
当院受診後に手術を受けたか?:受けた4 受けない12
受傷時と終診時の比較(治癒4、ほぼ治癒6、改善0、不変4、増悪0)

というわけです。受診した患者さん方の受傷時の平均年齢は35歳と高めでした。男女比は男性に多く、スポーツ、転倒、殴打が多い原因でした。左右比はほぼ半々、当院受診前に既に手術を受けていたものと未手術症例はほぼ半々。当院の紹介その他で手術に導けた者は未手術例の半数でした。受診時の状態は必ずしも把握できませんが、最終的に眼球運動は治癒またはほぼ治癒していました。
 ネットを見てセカンドオピニオンを求めて来院する患者さんが多いのでプライマリーの医療施設とは違う部分もあるかもしれません。初回手術後に複視が残って居る様な症例ではその説明に苦慮する場合も有りました。

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以下は、以前の眼窩底骨折の記事の手直し版です。
管理頁

2002
 眼窩底骨折は、眼の周りの骨の窪み(眼窩)の下面、これを眼窩下壁と呼びますが、その部分の骨折です。丁度眼球の真下辺りに下に向けて眼球周囲の脂肪が噴出すような状態の骨折が起きています。

(眼底骨折というキーワードで探している方々が多いですが、それならば正しい医学用語は眼窩底骨折です。しかし、googleでも眼科骨折473,000、眼底骨折152,000件、眼窩骨折69,900 件、眼窩底骨折38,200件:眼窩吹き抜け骨折なら841,吹き抜け骨折でも958件と圧倒的に間違い単語の眼底骨折で書かれたページが多いのが実態です。ちなみに眼科、骨折ならこのページが第一位です。閑話休題。)

吹きぬけ
これが吹き抜け骨折を起こした患者さんの顔です。片眼がくぼんで上に向かって動いていません。(出典)残念ですが、日本には眼窩骨折に伴う眼球運動の回復を助けるシステマチックなリハビリのシステムはおそらく存在しません。

ヘスチャートなどを頼りに回復の程度を患者さんに説明し、励ますしか方法がありません。(別項目へススクリーンの項目⇒リンク、を参照。)

事故後に全身麻酔でしっかりとした整復をなされたら、その後は一層の眼球運動の練習を(自分流に)行って戴くことになります。

それでも複視が残る場合には、(スポーツ選手ではそれなりの配慮が必要でしょうが、)ふつうは、プリズム眼鏡の作成とそれで足りなければ、斜視手術による眼位の補正を図るといった流れになるでしょう。

斜視手術は最初の骨折補正の手術から3-6月は待っていただき、それを受けられる場合にも”今よりもましならばよしとする。”(完全な複視野解消は無理かもしれない。)という程度の患者さんの達観が得られないと、事故後の眼球運動修復への手術は手が出せません。

このような怪我で当医師に相談していただくケースは少なくはありません。良かったら一度お見せください。あなたにも、現在の主治医にも良いアドバイスが差し上げられると思います。

3003
ここで、一般的な眼窩吹き抜け骨折(眼窩下壁骨折)の解説をさらに加えます。

眼級への打撲
片方の眼を正面から鈍的に打撲し、その結果眼窩内の脂肪組織などが押し出される形で眼球を取り囲む顔面の骨が副鼻腔に向かって破裂するような,ないしは線状に骨折して軟部組織が挟まるものを眼窩の吹き抜け骨折と呼びます。(この図は眼球を正面から押す鈍的外傷の状況を示しています。眼球に障害が起きずに骨壁が壊れる場合が眼窩底骨折です。(出典))

吹き抜け1
眼窩の下に有る上顎洞に出る場合と、眼窩の内側壁が破れて篩骨洞に出る場合があります。以前はこの図のようなWatersなどの撮影法でX線写真を撮ることが行われました。しかし最近は即CTやMRIを撮ることが多いでしょう。

吹き抜け2CT
現在は冠状断でのCTを真っ先に取るのが最も的確な画像診断といえます。(図の出典)この図では向かって左側の眼窩の下にある上顎洞に影が見えています。

骨の変化、眼窩内への空気の浸入や出血、外眼筋の挟まっている様子、副鼻腔への組織の押し出しなどを評価します。

4001
表面麻酔の元で固定ピンセットで眼球を引っ張ってみて運動制限が無いかを見るフォーストダクション(forced duction test) は行っても良いですが、その際に挟まった筋や神経それに血管をいためぬよう慎重に行う必要があります。

下壁骨折ならば眼球を下に動かす下直筋や下斜筋がはまり込んで眼球を上に向けたり、下に向けたりするのが制限されます。

また、内壁が破れれば眼球の内外転が制限されます。また、脂肪や筋などが副鼻腔に陥るために眼球が後ろに下がって眼が陥凹することも有ります。下壁骨折では眼窩下神経が損傷され、頬部、上口唇、鼻翼のしびれを生じることもあります。

5001
程度の軽いものであれば2週から2月程度で自然に複視の症状が軽快してしまうことがありますが、眼球陥凹2mm以上で眼球の上転が乏しく、下直筋をピンセットで引っ張った時に組織の抵抗を感じるような場合には早期に手術をする適応とされます。

私の印象としては、この手術は従来は眼科のみでも盛んに行われましたが、最近は他科と共同で眼科医が手術したり、はじめから他科に主導権を渡して治療を依頼する場合が多いようです。

5003
全身麻酔の後、4直筋に牽引糸を経結膜で設置して差し上げると、副鼻側からアプローチした他科の医師には牽引糸を引いてみることで眼筋の位置が副鼻腔側からも分かりますので、大いに手術の助けとなるでしょう。

手術
下壁の大きな骨折では形成外科に依頼して、皮膚または下結膜円蓋部を切開して眼窩の骨沿いに骨膜を剥離しながら骨折部分に到り、挟まった組織をなるべく傷つけないように眼窩内に戻した後、必要であれば、シリコン板や金属のメッシュなどを骨と骨膜の間に入れて、これを眼窩組織の支えとします。(図出典

また内壁の骨折では、耳鼻科に依頼して鼻腔からの手術が好適で、内視鏡手術を用いて挟まった組織をこれも眼窩内に還納してもらうなどの方法があります。

5003
外傷時に筋や神経に不可逆的な損傷を生じていたり、挟まった組織が残存する場合、そして眼球を動かす組織に癒着が有る場合などでは眼球運動の障害(自覚的には複視)が残る場合があります。

眼球運動を直接肉眼的に評価するほか、ヘススクリーンで定量的に眼球運動の障害を評価することが出来ます。この方法では麻痺とそこからの回復の程度を提要的に追跡することが出来ます。

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この外傷では通常は視力や近視の程度は変わらないものなのですが、視神経に障害が加わったり、眼底や硝子体に出血などがあればそれ自体が視力低下の原因となることもあり、場合によってはこの治療が必要な場合もあります。

眼窩底骨折についての概要は理解いただけましたか?
海外のネットから多くの写真をお借りしました。ご勘弁ください。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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