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2010年5月21日

1434 点眼麻酔薬の瓶が使いやすく再度変更になるそうです。

日本における眼科製剤の最大手S製薬の散瞳薬と点眼麻酔薬の瓶が変更になって、とんでもなく使いにくい製品になってしまったのは2009年8月になってからの事でした。(大手2社はどちらもS製薬ですが、眼科関係の方なら説明は要さぬでしょう。)

740それまで医師は左手に吸い取り紙または脱脂綿を持ち、右手に点眼瓶を持って少し離れた所からほぼ水平または下方30度に飛ばすように噴出させて点眼をしていました。しかし、この容器の改変によって点眼液が飛ばなくなったので、そのような付け方ができなくなってしまったのです。

741つまり患者さんに顎を突き出してもらい、顔を天井に向けさせて眼の真上に構えた瓶から真下にある眼に滴下しなくてはならなくなってしまったのです。患者さんの中にも、点眼の感じが変わったことに気付いた方がおられたのではないかと思います。

おそらく面倒であるという事よりも、従来の様な付け方をしようと無理すると、点眼瓶が患者さんに触れる危険性があり、その瞬間に残された点眼瓶が汚染されることにもなるというのが最大の問題点で有ったのでしょう。

742おそらく、点眼液をたくさん使う事が非経済的と考えた薬剤製造管理の担当者が、瓶を強く押しても瓶の口から多量の薬剤が飛び出さないようにすると、今まで30人の眼に付けるだけで終わっていた点眼瓶1つがが50人に使えるようになるなどと考えて提案したのでしょう。
(調べてみると、開封されている瓶を識別できる様にとがった形の蓋に換えて、フィルムで覆うシュリンク包装に変えようというのがこのときの容器改変の主旨だったようです。)

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最大の間違いは、そのような本質的な改変の提案を、現場の医師や看護士に十分には相談せずに、役所の承認を必要とするであろう様な包装量の改変とともにいきなり施行してしまったことだったのでしょう。

744現場の怒りはすざましいものでした。今まで便利に使っていた点眼薬の包装を意味もなく変更され、その結果使いにくくされてしまった事に対するクレームで全国のS製薬の営業社員は各医師にに呼びつけられ、自分の責任でもない事で起きた問題に関する不満をなだめさせられることになったのです。

1067ネットの眼科医メーリングリストではこのS製薬のものではなく、同様の使い方ができる点眼麻酔剤の商品名を尋ねるメールが飛び交いました。間もなくその答えは分かりましたが、各医療機関が同じ方向に走っていたので、在庫は既になくなっていました。

或る有名な大学病院では、主任教授以下が点眼液の出ない点眼液にいら立ち、大学の薬局に麻酔剤を調整させてこれを市販の点眼瓶に入れさせたものを外来に配置させたとの情報も流れました。

1068このころ、S製薬では多くの外務社員が”もうS製薬の点眼薬なんか他の種類のものも処方しない”、”この強い怒りをぶつけられたと本社に帰って報告して来い”、くらいの事を言われていたのではないでしょうか。

さて、そのような現場の声がようやく大本営に届き、再度の改変がなされることになって、本日新しいDrug informationが当医院にも届けられました。

1069”先般のB点眼薬0.4%の容器変更におきましては、検査において、診療に大変ご不便をお掛けしております事を心よりお詫び申し上げます。
点眼用機(中詮)変更製品の優先製造に取り組んでまいりました結果、B点眼液の10ml製品につきまして、間もなく出荷準備が整いますので、下記の通りお知らせ申し上げます、”

”検査の際、医療従事者が患者さんに点眼しやすくするため10ml製品の中詮を変更します。なお、中詮以外の容器変更はありません。”

というわけです。なお、その出荷予定時期は2010年6月上旬より、代理店から医療機関へ出荷開始予定という事です。

1070本日、この情報を持ってきてくださったS社担当者の方によりますと、納品済みの製品でも未開封の分は新製品との差し替えには応じるという事でした。

不条理な苦情を真摯に受け止めて上層部にお伝えくださった営業担当の方には、大変申し訳ない事を致しました。今後ともよろしくお付き合いをお願い申し上げます。

1071この出来事の教訓は果たしてどこに有るのでしょうか?従来問題がなく行われてきた何らかの業務に改変を加える場合には、十分事前に現場の意見を聞いてからにしなくてはいけないという事だったのでしょうか?

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