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2010年4月18日

1377 緑内障眼圧非依存因子への挑戦:ネズミ、サル、そしてヒトへ(新家教授講演)

日本眼科学会で東京大学新家真教授の宿題講演を聞きました。

ーー要点は次のようでした。---
代表的病型である開放隅角緑内障の原因は不明。
多治見スタディーなどでも白内障を除けば緑内障は失明原因の第一位である
正常眼圧緑内障が緑内障の60%で、眼圧非依存性障害因子の研究およびその加療が重要。
眼圧が下がった術後緑内障眼の研究で、非眼圧依存性障害寄与度はMDにして約ー0,3dBである。

1)ラット実験から:
隅角部レーザー法で実験的緑内障作成。
また遺伝子改変マウス(CFFマウス)を使う。
カルシウム拮抗剤が低濃度で網膜神経節細胞に保護作用を持つ。

NMDAによるマウス網膜の障害後脳内視覚路にも障害が及び、それがメマンチン全身投与で抑制される。

2)サル
片眼レーザー誘発緑内障カニクイザルの検討:緑内障眼はカルシウム拮抗薬に対する反応が減っている
ニホンザル:レーザーで外側膝状体での細胞減少がある(まずM、ついでPも)

3)ヒト
弱いカルシウム拮抗剤ブロミンカミンにより正常眼圧緑内障患者の視野進行が遅延する
上市されたものとしてのニルバジピンが眼圧非依存性因子の加療に有効らしい。
点眼としてのニプラジピンの有効性も示された。

清澤の感想;

東京大学教授の研究ですから流石に広範な領域にわたる多くの論文からなる論理が構築されていました。今まで実際に眼圧が高くても、またたとえ正常眼圧緑内障で眼圧が低くても、眼圧を下げることしか手段を持たなかった緑内障治療に新たな道を見出したというお話だと思います。

この抄録では深くは言及されてませんでしたが、当日のお話には実験緑内障の動物の外側膝状体でのベンゾジアゼピン受容体オートラジオグラムの話や、脳糖代謝をみるサルのPET画像も示されていました。

図らずも、私たちは当時大学院生であった王維芳先生を中心に視神経を障害したラットの上丘、外側膝状体、そして視覚領でのベンゾジアゼピン受容体密度や糖代謝をオートラジオグラムで4年ほど前まで私たちも調べていました。

またまた手前みそで恐縮ですが、それに関係した諸文献をここに列挙しておきます

1、ラット眼球摘出と眼瞼縫合での糖代謝(オートラジオグラム)
Wang WF, Kiyosawa M, Ishiwata K, Mochizuki M.Glucose metabolism in the visual structures of rat monocularly deprived by eyelid suture after postnatal eye opening.Jpn J Ophthalmol. 2005 Jan-Feb;49(1):6-11.

2、うさぎの眼の神経受容体の画像化(動物PET)
Wang WF, Ishiwata K, Kiyosawa M, Kawamura K, Oda K, Matsuno K, Kobayashi T, Mochizuki M. Investigation of the use of positron emission tomography for neuroreceptor imaging in rabbit eyes. Ophthalmic Res. 2004 Sep-Oct;36(5):255-63.

3、ネコ脳の中枢性ベンゾジアゼピン受容体(PET) 
Shimada Y, Kiyosawa M, Nariai T, Oda K, Toyama H, Ono K, Senda M, Ishiwata K.Quantitative in vivo measurement of central benzodiazepine receptors in the brain of cats by use of positron-emission tomography and [11C]flumazenil.Am J Vet Res. 2003 Aug;64(8):999-1002.

4、ラット、アデノシンA1とベンゾジアゼピン受容体(オートラジオグラム)
Wang WF, Ishiwata K, Kiyosawa M, Shimada J, Senda M, Mochizuki M. Adenosine A1 and benzodiazepine receptors and glucose metabolism in the visual structures of rats monocularly deprived by enucleation or eyelid suture at a sensitive period.Jpn J Ophthalmol. 2003 Mar-Apr;47(2):182-90.

5、ネコの目のシグマ受容体の可視化(動物PETとオートラジオグラム)
Wang WF, Ishiwata K, Kiyosawa M, Kawamura K, Oda K, Kobayashi T, Matsuno K, Mochizuki M. Visualization of sigma1 receptors in eyes by ex vivo autoradiography and in vivo positron emission tomography. Exp Eye Res. 2002 Dec;75(6):723-30.

6、ネコ脳のアデノシンA1受容体(動物PET)
Shimada Y, Ishiwata K, Kiyosawa M, Nariai T, Oda K, Toyama H, Suzuki F, Ono K, Senda M. Mapping adenosine A(1) receptors in the cat brain by positron emission tomography with [(11)C]MPDX. Nucl Med Biol. 2002 Jan;29(1):29-37.

7、ネコ脳のアデノシンA2A受容体(動物PET)
Wang WF, Ishiwata K, Nonaka H, Ishii S, Kiyosawa M, Shimada J, Suzuki F, Senda M.Carbon-11-labeled KF21213: a highly selective ligand for mapping CNS adenosine A(2A) receptors with positron emission tomography.Nucl Med Biol. 2000 Aug;27(6):541-6.

8、アデノシンA1受容体リガンド開発(オートラジオグラム)
Noguchi J, Ishiwata K, Furuta R, Simada J, Kiyosawa M, Ishii S, Endo K, Suzuki F, Senda M.Evaluation of carbon-11 labeled KF15372 and its ethyl and methyl derivatives as a potential CNS adenosine A1 receptor ligand. Nucl Med Biol. 1997 Jan;24(1):53-9.

9、眼球摘出ラットの脳受容体変化(オートラジオグラム、事始め)
Kiyosawa M, Dauphin F, Kawasaki T, Rioux P, Tokoro T, MacKenzie ET, Baron JC.Unilateral eyeball enucleation differentially alters AMPA-, NMDA- and kainate glutamate receptor binding in the newborn rat brain. Neurosci Res. 1996 Nov;26(3):215-24.

10、Furuta R, Ishiwata K, Kiyosawa M, Ishii S, Saito N, Shimada J, Endo K, Suzuki F, Senda M. Carbon-11-labeled KF15372: a potential central nervous system adenosine A1 receptor ligand. J Nucl Med. 1996 Jul;37(7):1203-7.

多くは東大獣医学科の島田先生と中国上海からの留学生の王維芳先生の名前の論文ですね。野口さん、斉藤さん、島田さん、王さん、青さんと言う具合に、石渡先生の下で私と一緒に研究をして下さった大学院の学生さんが目に浮かびます。皆さん元気にしておられるでしょうか?

また、緑内障患者の脳の糖代謝も現在大学院生の村井先生が中心になって調べています。

今回の講演を伺いますと、私たちの選んだテーマもあながち緑内障の研究を精力的に進めてきた先生の目から見ても、あながち見当外れではなかったのだと安心する材料となりました。

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