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2010年3月26日

1345 フックス角膜内皮ジストロフィーにあった角膜移植の術式は、DMEK?、DSAEK?

corneal guttata
角膜グッタータを示すフックス角膜内皮ジストロフィーを患っている海外の古い知人から、”どのような角膜手術が現在の世界の標準術式なのか?”というとてつもなく難しい質問をいただきました。(旧記事にリンク

cornral guttata 内皮」
それを丸投げして聞いた不躾な質問に対して、若いK先生やA先生からは親切なご返事をいただきました。私も少し勉強してK先生のお手紙を理解し、先生の了解を得てお見せいたします。

ーーーーK先生のお答:引用開始ーーーー
ご質問の件ですが、現時点では、フックス角膜内皮ジストロフィーにはDMEKよりDSAEKの方が安全と思います。(nDSAEKはFucksの場合にごりが残ることが多いので、普通のDSAEKがいいのではないでしょうか?)

Fucksのような角膜内皮機能不全に対しては、従来全層角膜移植術(PKP)が行われてきました。ここ数年の変化で、パーツ移植の術式が短期間でかなり確立されてきました。

傷んでいる部分だけ交換するというコンセプトで、拒絶反応のリスクの減少、不正乱視の減少、異物感の減少、外傷に対する強度、などPKPに比べて様々なメリットが謳われています。

長期予後に関しては5年のものがちらほら報告がでてきたくらいのまだ歴史が浅いものですが、DSAEK術式の改善も目覚ましく、かなりもう確立された手技といっていいと思います。

DSAEKの術式選択が大幅に増加しています。(長期のbullousなどはやはり依然としてPKPを選択していますのでPKPが廃れたわけではありません(長期のものは実質混濁もあり、内皮だけ変えても視力がでないため))

(PKP→DLEK、DSAEK、nDSAEK,DMEK(このうち一番最初にでたDLEKは廃れ、DSAEKにとって代わられている状況です)

DMEKはDSAEKをもとに更に出てきた術式です。とくにMelles先生などが推しています。donor片がさらに薄い分、テクニカルな面でまだ改良が必要な段階との認識です。

似たような術式マイナーチェンジの論文が大量に出てきている頃です。
DMEKとDSAEKのcomparative studyはたしかまだ報告がないと思います。
自分だったら、DSAEKを受けたいです。
お答えになっていますでしょうか?
ーーーー引用終了ーーーー

清澤のコメント:
素晴らしいお答です。無謀にも神経眼科医で有る私に眼科の事なら解るだろうと質問を寄せた海外の知人もこの答に大変満足してくれました。

従来、広汎な角膜混濁に対しては、全層角膜移植術が行われてきておりました。またまた昔話で恐縮ですが、私が入局した昭和50年代の東北大学にはアイバンクが有って、学位を得て地方の病院に一人で赴任する年頃になると、教授から角膜移植の手ほどきを受けるというしきたりが有りました。

その後、角膜輪部機能不全に対しては、輪部移植、培養上皮移植が行われる様になりました。
私も東北大学にいた最後のころには全層角膜移植を教わり、この輪部移植も一部の症例には試して良い結果を得たと報告を出したことも有りました。

(荒川明,清澤源弘,野呂充,星秀二,玉井信:角膜上皮形成術 (keratoepithelioplasty)を行なった4例5眼の検討. 日本眼科紀要1991; 42:2298-2303, 1991嘘じゃないよという事でご勘弁を)

その後、角膜内皮細胞が健全な場合には、深層表層角膜移植術が行われる様になりました。そして、この内皮細胞の障害に対しては、内皮移植と言う事のようです。(ここから先には経験が有りません。)

つまり、障害された部位のみの交換という術式が最近は発展してきているという事のようです。

DSAEKは(Descemet stripping automated endothelial keratoplasty)の略語で自動的にデスメ膜を剥離して行う角膜内皮の移植のこと。またDMEKというの(はDescemet membrane endothelial keratoplasty)デスメ膜と内皮だけを移植するという方法の様ですね。

さらにこのあたりのお話に興味ある貴兄はK先生が教えてくれたCurr Opin Ophthalmol 20:299–307のEndothelial keratoplasty: DSEK/DSAEK or DMEK – the thinner the better? Isabel Dapena, Lisanne Ham, Gerrit R.J. Mellesをご覧ください。かなり優れた総説の様ですから。

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