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2010年2月8日

1269多焦点レンズ「ぼやける」など症例 慎重な選択促す、北里大教授の記事をみて

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多焦点眼内レンズは眼内レンズを用いた白内障手術の術後に遠方と近方の両方が同時に見えるということで、最近は私費での普及が広まりかけている治療法ですが、これに対して北里大学の清水公也教授が慎重な選択をするように訴えました。日本経済新聞の記事です。新しい便利な眼内レンズではありますが、なんでも新しくて値段の高い方法がより良いとばかりは言えないという事でしょう。

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ーーー引用開始ーーーー
多焦点レンズ「ぼやける」など症例 慎重な選択促す、北里大教授
 北里大学の清水公也教授は23日、都内で開催された日本眼科手術学会総会で、白内障治療や老眼矯正に使う「多焦点眼内レンズ」について「ぼやける」「見えにくい」などと訴える例が目立つと指摘した。脳波を調べる実験からこうした違和感は脳への視覚刺激の伝わり方が遅れることが原因で、選択は慎重にしてほしいとしている。

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 多焦点眼内レンズは、遠く、中間、近くの3段階に焦点が合うように設計されている。保険適用外で両目で手術代とレンズ代の合計で100万円近くするが、白内障患者が白く濁った水晶体を取り除いた後に視力を矯正するため利用することが多い。最近は老眼矯正でもメガネやコンタクトレンズの代わりに使う人が増えている。

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 清水教授は北里大学付属病院などに「中間距離が見えない」「全体がぼんやりして眠い」などと訴えて来院する人が相次いだため、原因を調べた。(24日 07:00)
ーーー引用終了ーーーー

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清澤のコメント
 従来の眼内レンズは、2メートルくらいの中間距離に焦点を合わせたものを選択して、運転の時などの遠くを見て視力を出すには遠用眼鏡を、また読書の時には近用の眼鏡をかけていただきます。もちろん遠近両用の眼鏡の処方も可能です。

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 これに対して、遠方を見る度数と近方を見る度数の両方(ただしそのすべてではなくて、遠方の一か所と近方の一定距離の2点だけの場合が多い)に焦点を持つのが多焦点眼内レンズです。多焦点といいますが、単に焦点が1つだけではないということであって、遠近両用の累進焦点の眼鏡レンズとは違ってどこにでも焦点が合うというわけではありません。

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 最近、老視にもちいられている多焦点のコンタクトレンズもすべての老視患者さんに喜んで受け入れていただける訳ではありませんので、この清水教授のご意見には納得できる部分が多々あります。北里大学ではモノビジョンという片眼は遠方に合わせ他眼は近くに合わせるという方法もこのんでお使いのようです。(北里大学眼科のページ参照

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 白内障手術を含めた眼科の診療により高い付加価値をつけようとする、一部の積極的な先生方の間ではこの多焦点眼内レンズへの取り組みが見られます。しかし、どの病院でもオプションにつけられるというものではありません。もちろんこの多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は保険外診療です。診療の一部にだけ国民健康保険を使うという混合診療はまだ認められてはいませんから、レンズ代と手術料金の全額が私費負担の対象(上記記事では100万円程度)になるはずです。

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残念ながら私の関連している病院でもまだこの多焦点眼内レンズは用いられてはいません。そのような病院で患者さんを治療している眼科医にはこの記事を見て少し安心した方々も多いのではないでしょうか。

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この記事だけでは研究の詳細が記載されてなくてまだ判断ができませんが、視覚誘発電位という脳波で物の見え具合を論ずるならば、通常の視機能を評価される100ミリ秒あたりに現れる第一次視覚領からのP100潜時ではなくて、視覚連合領に現れ、いくつかのシナプスを経てからに300ミリ秒付近で生起される事象関連電位の遅延を比べるのがよいかと思われます。これから原著論文が出てくるのを待ちましょう。

追記:記事の原文を見たら、正常者にコンタクトレンズでこのような状況を作って比較したと記載してありました。対象は手術を受けた患者さんではありません。

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