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2010年1月3日

1204 PETが実際に使われるようになるのには20年以上がかかりました。

 元旦の午後から、仙台で30年前にポジトロン断層法(PET:positron emission tomography)の研究をご指導いただいた同郷の先輩K先生の新しいお宅で家族共々に新年を楽しませていただきました。3階の窓からは雪を頂いた富士山も見えていました。

 ”ポジトロン断層法(PET)を保険医療に取り入れさせることが出来たから本懐は果たした”という先生の言葉に改めて感服しました。

 おそらく今PETの診療に従事しているお医者さん方のほとんどは、出来上がったシステムとしてのPETしか知らないことでしょう。

 30年前に仙台の青葉山で工学部物理系の方々と医学部放射線系で大型のサイクロトロンの使用時間をシェアしながら実験計画書を提出したのが昨日のことようです。

 ”15メガエレクトロンボルトのエネルギーの陽子線を何気圧のネオンに何時間照射するとフッ素18が生成され、それを合成してF18標識のFDGを合成する。これを癌の検出のために同意を得られた眼窩腫瘍の患者さんに投与してPET画像を得、これでPETによる頭頸部腫瘍の診断をする。”といったものでした。

 保険への収載がなされて、この機材PETが多くの医療機関に設置されるようになったのはここ5年くらいのことですから、この診断法のおおよその有用性が証明されてから実際に社会に広まるのには日本でも、また世界でも20年はかかったということになります。

 いまだにPETはそれぞれの診療機関では、保険診療としての癌診断に用いるのか、私費での癌検診を中心に行うのかという迷いも残しながら運営されている様です。

 新しい医療機器が世に受け入れられるのは意外にゆっくりしたものであったということでしょうか?

ポジトロン断層法(PET)が使える疾患には次のものがあります。
この中にはリンパ腫が含まれていますが、少なくとも私たちが研究をした当時にはリンパ腫でPETを撮影したという報告は世界のどこにもなかったはずです。

[18F-FDG positron emission tomography in orbital lymphoid tumor]

Kiyosawa M, Ohmura M, Mizuno K, Fukuda H, Hatazawa J, Ito M, Abe Y, Matsuzawa T, Ido T.

Nippon Ganka Gakkai Zasshi. 1985 Dec;89(12):1329-33. Japanese. No abstract available. PMID: 3879574 [PubMed – indexed for MEDLINE]

ーーーー引用開始ーーー
FDGスキャン注を用いたPET検査については、てんかん、虚血性心疾患、悪性 腫瘍(下記の13疾患に限る)の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす 場合に限り算定する。

1.てんかん 難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する
2.虚血性心疾患 虚血性心疾患による心不全患者で、心筋組織のバイアビリティ診断が必要とされる患者に使用する。ただし、通常の心筋血流シンチグラフィで判定困難な場合に限る
3.肺癌 以下のいずれかに該当する患者に使用する。
・他の検査、画像診断により肺癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者
・他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者
4.乳癌 以下のいずれかに該当する患者に使用する。
・他の検査、画像診断により乳癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者
・他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者
5.大腸癌 以下のいずれかに該当する患者に使用する。
・他の検査、画像診断により大腸癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者
・他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者
6.頭頸部癌
以下のいずれかに該当する患者に使用する。
・他の検査、画像診断により頭頸部癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者
・他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者
7.脳腫瘍
他の検査、画像診断により転移・再発の診断が確定できていない患者に使用する
8.膵癌
以下のいずれかに該当する患者に使用する。
・他の検査、画像診断により膵癌の存在を疑うが腫瘤形成性膵炎と鑑別が困難な患者
・他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者
9.悪性リンパ腫
他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者に使用する
10.転移性肝癌
以下のいずれかに該当する患者に使用する。
・他の検査、画像診断により転移性肝癌を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者
・原発巣の不明な患者
11.原発不明癌
リンパ節生検、画像診断等で転移巣が疑われ、かつ、腫瘍マーカーが高値を示す等、悪性腫瘍の存在を疑うが、原発巣の不明な患者に使用する
12.悪性黒色腫
他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者に使用する
13.食道癌
他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者に使用する
14.子宮癌
他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者に使用する
15.卵巣癌
他の検査、画像診断により病期診断、転移、再発の診断が確定できない患者に使用する
ーーー引用終了ーーーー
清澤のコメント:
癌についてはすでに広く用いられるようになりました。
しかし、脳機能の診断に対してはまだテンカンに対してしか認められてはいません。
他覚的な脳機能の診断にはFDG-PETが大変有効なのですが。

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