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2009年12月31日

1199 子供の吹き抜け骨折についての質問をお受けいたしました。

子供の吹き抜け骨折についての質問をお受けいたしました。

実際に吹き抜け骨折を見かけるのは、手拳での打撃を受けたり、転落したりすることの多い青年期です。ですから、小児では我々が見慣れた成人の骨折とは違った吹き抜け骨折の特徴があるのかもしれません。(以前の記事にリンク

そこで英語のページを探してみましたら、慶応大学形成外科から丁度そのような点に着目した論文が2004年に英文で出ていました。このようなものにも成人とは違う特徴があるのですね。少し単語を加えて”おばあちゃんにもわかる目の病気”調に分かりやすく読み下してみましょう。

本文のあとに今回の質問と答えを採録しておきます。

ーーー英文抄録に手を加えて抄訳引用開始ーー
Strangulated trapdoor type orbital blow-out fractures in children. Fracture pattern and clinical outcome
筋が挟まった跳ね上げ式扉の形をした小児の眼窩底吹き抜け骨折。骨折の形と臨床的な結果
ヨーロッパ形成外科雑誌( European Journal of Plastic Surgery)

H Ogata、T.Kaneko、T.Nakajima、J.Kubota

慶応義塾大学医科大学形成外科(オガタ、カネコ、ナカジマ)、日本写真療法研究所(クボタ)

抄録:4例の典型なトラップドア型に絞扼された形の眼窩底部分の吹き抜け骨折を示した10歳の以下の小児症例を報告する。複視と制限された眼球の運動は事故の直後から観察されていた。そして、外科的な手術はそれらすべての4例で、外傷から2週間以内に行われた。
手術中に細かく見たら、すべての骨折は、跳ね上げ式の扉のようであった。

蝶番部分は骨折端の鼻側に見られた。骨のの欠損は眼窩下溝に沿った幅数ミリメートルの線状の主な骨欠損と、この溝から垂直にこの溝を起点にして鼻側方向に走る顔面と平行な線状骨折と2つからできていた。しかも、眼窩下溝に沿った骨折線では軟部組織が挟まっているのがみえた。私たちは、この特徴的な形の骨折が子供の眼窩の骨が未発達であるために起こると考える。

すべての子供が骨折に挟まった眼窩組織を外して自由にする処置を加えて行われたにもかかわらず、眼球運動の回復にはさらに2か月から3かカ月を必要とした。

この結果から、この種類の小児の眼窩底吹き抜け骨折では、早めの手術が好都合であると考える。 しかしながら、私たちのケースをみれば、受傷の2週間後に行われた手術でも好都合な結果を得ることができるのが分かる。子供の眼窩の骨組織と骨折様式を理解することは、骨折の正確な画像診断と、手術の仕方の選択を助けるだろう。
ーーー引用終了ーーーー
手術が終わっても3カ月は回復が続くというところがみそかもしれませんね。もう少し良くなってくるかもしれません。

最初の質問とお答え

2009/12/30 00:00 投稿者:花 126.70.140.5
現在2才7ケ月の息子が今年の9月(2才4ケ月の時)に自転車の前椅子に乗ったままの状態で倒れ、右目の眼窩底骨折をして、怪我後2週間後に挟まっていた下直筋を取る手術をしました。現在も斜視が残っており(左右30~40、上下6~16プリズム)手術の方向になってます。お聞きしたいのは1、手術の時期(両眼視を考慮して早めにすべきか、まだ検査が出来ないので6歳位まで待つべきか)(早めなら半年後か1年後か)2、上下複視は手術でも治らず、メガネも上下で度が違うので不可と言われたが、何か方法はありませんか?宜しくお願いします。

お答え:
自転車に乗った子供さんの外傷なのですね。斜視手術の手技自体は困難ではないのですが、結果として眼位や両眼視を改善するということについては、なかなか難しい手術ではあると思います。
斜視による弱視の発生を防ぎたいとか両眼視(立体視)の力をつけさせたいという立場では早めの手術を勧められるかと思います。最初に行ったと思われる骨折部に挟まっている筋を外すという手術の再手術なのか(いま水平方向のずれが大きくのこってるなら、内壁もいたんではいませんか?)、斜視の手術をするということであるか?と思います。
ヒルシュベルグと言いますが、正面から見た眼位で水平方向に30プリズムの斜視なら早めに手術してもよいでしょう。垂直方向ずれが5プリズムなら残ってもあまり問題はないかもしれません。後から首を傾けるなら6歳以後に垂直方向の補正は追加してもよいかもしれません。斜視の手術は動かなくなった外眼筋を動くようにするわけではなく、正面視(実際には正面のやや下10度くらい)でほぼ正面を向くように今のバランス上で引きすぎている筋肉を弱めるという手術を選ぶことになるのではないかと思います。概要としてはこんなところでしょうが、今の主治医はそれなりの知識と経験のある先生のように見えます。主治医の先生に良く話をお聞きください。

(212 吹き抜け骨折とは(眼窩底骨折、眼窩内壁骨折) /

2度目の質問
2009/12/31 00:22 投稿者:花 126.70.140.5
丁寧なご回答有難うございます。私の不注意でこんな取り返しのつかない事になってしまい、毎日子供の顔を見る度に自責の念で苦しんでます。最初は脳ばかりに気を取られ脳のCTを2回も撮り異常が無く、4日後に目の腫れが引いて、眼球の異常に気付き、大きな病院に行って、怪我後1週間後に眼窩底骨折が判明しました。手術は斜視の手術ですが、形成での眼窩底骨折手術時の人工プレートの状態と癒着の有無を見る為に3月にCT撮る事になってます。両眼視を考慮すると早めの手術がいいんですね。手術は2~3回は必要だろうと言われてます。それで完治出来ればまだいいのですが、一番怖いのは後々する筋肉が無くなることです。上下複視は一生残ると言われてますが、、。今はフレネル膜メガネを付けてますが、嫌がって一日3時間が限界です。何度も質問で申し訳無いですが、半年の時点で現在の斜視角のままなら、それ以降に自然治癒の可能性は無いでしょうか?

(212 吹き抜け骨折とは(眼窩底骨折、眼窩内壁骨折) / )

2度目の質問へのお答え:2009/12/31 09:28 投稿者:kiyosawaganka 116.64.139.77
お答え:子供の眼や脳は環境に対する順応性が高いので、大人が後天性の斜視になった時のような複視による苦しさを感じてはいないのかもしれません。しかし出来るならば、ずれた方の眼を使わない癖をつけてしまいたくはないというわけです。現在の時点でプリズム眼鏡を使わせるのは大変良い選択と思いますが、子供にとってそれで見やすくなるという自覚がないから、喜んでは掛けてくれないということでしょう。プリズムを出来るだけ使わせて、適切な時期に手術につないでもらうのが良いのでしょう。最初の形成外科での手術の時期としては受傷後1ないし2週間で局所の炎症が少し落ち着いた頃ということで、決して遅くはなく、良い時期であったと思います。受傷後6カ月たって残る麻痺性斜視はその後で自然に回復してゆく可能性は少ないと思いますので、外眼筋の位置を整える眼科で行われる斜視手術が普通に考えられるのでしょう。水平、垂直、さらに回旋成分を含む斜視で、さらに本人の複視の方向をヘスチャートで聞くことが出来ない小さな子供さんですから、手術の量は先に申し上げた直接正面から見て斜視角を読み取るヒルシュベルグ法とか、プリズムを用いたクリムスキー法を使っておおよその測定をするにとどまります。斜視の手術自体は難しいものではないのですが、いっぺんで真っすぐになるというほど単純ではないですよと主治医はおっしゃっているのではなかろうかと思います。
水平の眼位ずれが大きいようですから、これが神経の損傷によるものなのか(外転神経なら内斜視、動眼神経の内直筋枝なら外斜視ですが)、眼窩内側壁にも骨折があって内直筋ないしその周りの軟部組織が骨折部分に挟まっているのかを次回のCTで見極めていただいておくとよいでしょう。吹き抜け骨折の手術がうまくできても、今回のように斜視が多少残ることは珍しいことではありません

(212 吹き抜け骨折とは(眼窩底骨折、眼窩内壁骨折) / )

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