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2009年11月17日

1138 ”網膜脈絡膜の新生血管に対する光化学療法後の抗VEGF(アバスチン)療法”という論文が出ています。

”網膜脈絡膜の新生血管に対する光化学療法後の抗VEGF(アバスチン)療法”という論文が出ています。

wetmacular neovascularization
 網膜の中央部、黄斑の下に出血をきたす加齢黄斑変性は成人における急激な視力低下の重要な原因として良く知られたものです。日本では数年前から網膜脈絡膜の新生血管に対する光化学療法が行われましたが、最近は眼内にルセンティスなどの抗VEGFを注射する治療が盛んになっています。

網膜脈絡膜の新生血管に対する光化学療法はヘマトポルフィリンを静脈から注射して網膜下の新生血管に光に対する感受性を高めておき、そこにレーザー光線をあてて新生血管を選択的に消退させようという治療法でした。
large soft drusen
 その新生血管ができてしまう前駆病変としては”湿ったタイプ”の網膜ドルーゼン(黄斑変性症の前駆症状として網膜上皮に発生する色素斑、 網膜ドルーゼン)が知られています。検診で網膜ドルーゼンといわれて何だろうと思った方も多いかと思います。

avastin
 網膜脈絡膜の新生血管に対する光化学療法にはそれに適した固有の適応症例があったのですが、この網膜光化学療法の普及からしばらく遅れて、日本ではアバスチン(大腸がんの治療に用いられるAnti-VEGFの一種)の眼内注射法がわずかな数の施設ですが研究目的で日本国内でも行われるようになりました。

 この治療法の効果は先の光化学療法よりも比較的優れて居り、遺伝子工学で作られた新しいAnti-VEGF、つまりルセンティスやマックジェンによる治療が国民健康保険でも認められるようになったことと相まって、この抗VEGF療法が日本国内の眼科でも広く行われるようになりました。(アバスチンはこの図のように血管造生因子を阻害して血管新生を止めます。)

そこで、数年前にすでに光化学療法を受けたのだけれど、新しい治療をもう一度その上から施してもらうことによってもっと良い視力は得られないだろうか?と思う患者さんは少なくないであろうと思われる状況が生まれています。そこでこの論文を今日は清澤眼科医院通信に紹介してみましょう。

”網膜脈絡膜の新生血管に対する光化学療法後のアバスチン療法”Anti-VEGF therapy for choroidal neovascularisation previously treated with photodynamic therapy; Jyothi S, Chowdhury HR, Chong V, Sivaprasad S;
Eyeはイギリスの有名な眼科学の雑誌です (2009年11月)

目的: この国際的で非比較的な研究は 血管内皮増殖因子(pan-anti-vascular endothelial growth factor:VEGF)を持続的な眼内の脈絡膜血管新生(CNV)に対して使うことが、以前に光化学療法(PDT)を受けている目に対して施すことの効果を見ようとしたものです。

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方法:最初の評価には矯正視力、蛍光眼底撮影 (FFA)および、光網膜断層法 (OCT)を行いました。硝子体内へラニミズマブranibizumabおよび/あるいはベバシズマブbevacizumabをPRNで注入しました。視機能の変化、網膜断層象(OCT)所見を観察しました。経過の観察は最低6か月です。

結果:以前に光化学療法を受けた25人の患者群で、その多くが古典的なタイプの脈絡膜新生血管CNVの患者なのですが、平均施術回数は1.84回で、その患者に脈絡膜の再活性化が見られたり、 脈絡膜の新生血管の残存を示したものを対象としました。光化学療法PDTと今回野抗VEGF治療との間隔は18.32か月(1-48月)で、投与されたアバススチンは6か月の間に3.2会の注射でした。光化学療法後の視力変化の平均は-10.12文字分(糖尿病網膜症治療実験野測定法ETDRS) でした。その実数は54.36+/-15.79から44.24+/-17.32文字の変動でした。抗VEGF治療の後、3か月ないし6か月後での視力の変化は+1.76と+0.72文字分の増加でした。15文字以下の視力低下で、視力が安定したという答えをした人数は、処置後3か月で96%であり、6か月では88%でした。15文字以上の改善を示して視力が向上したという人数は処置後3か月で8%、6か月では4%でした。

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結論:抗VEGF物質は以前に光化学治療を受けた人の目にも視力の改善をもたらしました。しかし、このグループの患者の中で視力の改善を示したのは、以前に光化学療法での治療を受けてはいなかった病変に治療が施された患者でした。
出典:2009年11月6日発行のEye advance online、266ページ。
ーーー引用終了ーーーー

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清澤のコメント:
以前に治療をされたといってますが、以前に治療をされたが十分に効かなかったり、再発した患者さんが対象ですから、当然のことながら網膜が萎縮した形で収まってしまっているものにこの新しい治療法での利得は期待できません。(ややがっかりという方も多いでしょうね。)

この方法が効いたものは、以前に光化学療法を施された部位とは別に新しい病巣を生じたものであったという話はなるほどと思わせる結果です。

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なお現在、私自身は自分の診療所では網膜光化学療法も抗血管内皮増殖因子治療も行ってはいません。どうしているかと申しますと東京医科歯科大学にお連れして内科的網膜治療の専門外来にお願いしています。また、最近増えている網膜前線維症では同大学の網膜硝子体(手術)外来に相談を出します。

私は、そこでの診療が一区切りした患者さんや、今はまだ大きな治療はしない方が良いと判断された患者さんを定期的に眺めて、必要な薬剤の処方を加え、患者さんの不安が最も少なくできるように心がけます。

サクラのクリスマス(小)
小さな診療所ですべてを抱え込むのではなく、疾患によっていつでも患者さんの治療をお願いできる最善の専門家を紹介先のリストとして持っていることが町の開業医には大変重要なことと考えています。

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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