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2009年10月13日

1079 眼窩リンパ管腫について少し調べてみました

ネットでの質問に答えて眼窩リンパ管腫について少し調べてみました。リンパ球由来の悪性腫瘍であるリンパ腫(lymphoma)とは違ってこれは腫瘍といっても良性のもので、むしろ脈管の奇形に含まれるべきものの様です。

まず、カンスキーという学者が書いた大きな眼科の教科書にも短い記述しかありませんが、その概要をまとめますと、次のように書いてあります。

まずリンパ管腫は眼科の血管奇形の一つに原発性眼窩静脈瘤と並んで記載されています。新生物ではなく不完全で非機能性の良性脈管奇形であり、眼窩を経由して樹枝状に拡大します。血管とは無関係ですが、管腔内に出血しチョコレート嚢胞を生ずる事もあります。

その多くは小児期の早期に発症します。
リンパ管腫
1)眼窩前方にできるものでは上鼻側の青みを帯びた腫瘤で、結膜側に嚢胞様の所見
(図はネットから借用)

lymphangioma(この図もネットから借用)
2)眼科後方のものは緩慢な眼球突出あるいは出血に伴う急性の眼球突出を示します(これが、後にチョコレート嚢胞を形成します。)

出血しやすく被膜につつまれていないので外科的切除は困難です。チョコレート嚢胞が視力に影響するならドレナージ(管を入れて中身を外に導出すること)や炭酸ガスレーザーを使って嚢胞を部分切除する事もあります。
と説明されていました。

また、今回の第63回臨床眼科学会では
”急激な視力低下で発見され保存的治療により軽快した眼窩リンパ管腫の3例”というポスター演題が、筑波大学の宮井尚宏らによっては発表されていました。(2-PT-1-10)

その抄録を見ますと、”眼科リンパ管腫は小児期に好発する良性腫瘍だが、腫瘍内出血をきたすと急激な視力低下や眼球運動障害を引き起こす。このような症例に対して外科的切除が有効との報告があるが、保存的療法により療法により良好な経過を示したという報告は極めて少ない。”と緒言で述べて、3例を提示したのち、”従来は手術適応と考えられていた症例の中に保存的治療が奏功する症例が含まれている可能性がある”と結論しています。

このリンパ管腫という診断が確定した症例を、私は残念ながら自らは経験した事はないのですが、私たちがOphthalmologica誌に1992;205(3):149-57に発表したSpontaneous orbital hemorrhage in adult females. A report of three cases. (Shimura M, Kiyosawa M, Aikawa H, Tominaga T, Matsumoto W, Tamai M.)も今から考えると眼窩静脈瘤のほかにこの眼窩リンパ腫が混ざっていたかもしれないと思います。これらの症例でも手術はせずに回復を見ていました。

しかしこれらの記述は、従来のリンパ管腫の切除を行うという治療法を否定するものではありません。症例が示す症状を最も合理的に取り除く手段が選ばれることになります。

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