お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2009年10月4日

1060 海綿静脈洞部脳硬膜動静脈シャント (”明日から役立つ神経眼科 その3)

(海綿静脈洞部脳硬膜動静脈シャントは頸動脈海綿静脈洞瘻(CCF;carotid cavernous fistula)とも呼ばれますが、その臨床症状では、徐々に増悪する結膜充血が特徴的です。眼圧上昇も特徴的で、これは上強膜静脈圧の上昇を反映しています。眼筋麻痺もしばしば見られます。MRIで上眼静脈の拡張を確認することは診断に有用ですが、確定診断や治療には血管内にカテーテルを入れての造影が行われます。

717
この原稿は、”明日から役立つ神経眼科”の一部分で第3の部分であり、”海綿静脈洞部脳硬膜動静脈シャント”の部分を抜き出したものです。
ーーーー引用開始ーーーー

718
2)海綿静脈洞部脳硬膜動静脈シャント

症例は68歳女性、主訴は、複視と、右眼で徐々に増悪する充血である。矯正視力は左右とも(1.0)であった。眼圧は右が25mmHgとやや高く、左は19mmHgであった。 眼球突出に関しては、右が27mm、左は22mmで、右眼の眼球突出を認めた。右眼では外転障害も認めた。その他は両眼に初期白内障を認めるのみで、眼底には異常を認めなかった。

719
本例に示した症状は、低血流タイプの海綿静脈洞部脳硬膜動静脈シャントでは典型的なものである5。すなわち、患側の結膜充血が強いことがあるが、正常でもよい。複視を示すので、外眼筋麻痺などと紛らわしいし、時によっては外転神経麻痺、動眼神経麻痺ないし滑車神経麻痺も示すことがある。

720
これらの脳神経麻痺は、海綿静脈洞圧の上昇によるものと考えられている。うっ血が前方に広がって静脈圧が高くなれば、目の充血などの眼球症状が出現してくる。Phelps らはred eyed shunt syndromeと呼び、私はこれを雑誌「神経眼科」への症例報告で、赤眼短絡路症候群と翻訳した。数ヶ月以内に自然治癒することが多い。

721
臨床症状では、徐々に増悪する結膜充血が特徴的である。実はこれは上強膜血管と結膜表層血管の角膜輪部での吻合が拡張したものであって、メドゥーサの頭(caput medusae)と呼ばれるものである(図11)。 (図11挿入部位)

図11

数ヶ月経つと吻合が発達して、この充血は目立たなくなる。眼圧上昇も特徴的で、これは上強膜静脈圧の上昇を反映しており、その上昇は通常20-25mmHgと中等度の上昇にとどまることが多い。

722
隅角をスリーミラーで見ると、シュレム管には逆流した血液の流入が見えることがある。網膜でもうっ血は静脈拡張や眼底出血としてみられることがある。眼筋麻痺もしばしば見られるが、うっ血による外眼筋腫大に伴うものか、神経の虚血、あるいは圧迫によるものかは必ずしも明らかではない。CT やMRIで上眼静脈の拡張を確認することは診断に有用であるが、確定診断や治療には血管内にカテーテルを入れての造影(図12)や、コイルの挿入などの治療が行われる。図12挿入部位
図12

鑑別診断として、複視に対しては外眼筋麻痺、充血に対しては結膜炎や上強膜炎、 眼圧上昇に対しては緑内障、そして眼底変化に対しては網膜静脈閉塞症などが挙げられるが、海綿静脈洞部脳硬膜動静脈シャントを正しく診断できるかどうかは、眼科医が総合的にこの疾患をイメージできるかどうかにかかっている。

716
治療では、まず軽症例ではあわてないことである。眼圧上昇、網膜静脈閉塞症、眼筋麻痺などに注意して症状の回復を待つことで、自然治癒する場合が少なくない。点眼治療で眼圧下降をはかるが、上強膜静脈圧が上昇しており、眼圧降下剤の効果は通常は不良である。しかし、眼圧上昇の期間が短いため、視野変化が起きることは少ない。網膜静脈閉塞が起こる前に、動静脈ろうが自然消退して眼症状は寛解をすることが多い。眼球運動障害は脳神経麻痺でも生じるし、外眼筋自体の腫脹でも起こるが、複視は通常、3月以上持続しない。

715
重症例に対しては、眼科では眼圧上昇に伴う緑内障対策、眼球運動障害に伴う複視対策、眼球突出に伴う角膜障害対策などを行った上で、脳外科に治療を依頼すればよい。脳外科では海綿静脈洞部硬膜動静脈シャントに対する血管内手術で静脈洞に金属コイルを充填する。その治癒率は高い。

714ーーーー引用終了ーーーーー
図は追って添付します。

海綿静脈洞部脳硬膜動静脈奇形を論じた当ブログ記事もご覧ください。

2006年02月01日
42 海綿静脈洞部の脳硬膜動静脈奇形⇒リンク

best doctors logo vertical (ベストドクターズとは)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

管理頁
清澤眼科医院通信最新ページへ(リンク)します

相互リンクページ,相互リンクstation) 眼科眼科医フォーチュンクッキー日記&ブログ
眼医者さんのリンク集 | Ganka Links

Categorised in: 未分類