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2009年7月21日

958 急性網膜壊死(Acute Retinal Necrosis):臨床像、早期硝子体切除とその予後という文献

Ophthalmology
958 急性網膜壊死(Acute Retinal Necrosis):臨床像、早期硝子体切除とその予後
Hillenkamp J, Noumllle B, Bruns C, Rautenberg P, Fickenscher H, Roider
J; Ophthalmology (Jul 2009)

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目的:急性網膜壊死症の硝子体内ウイルスによる診断と硝子体切除手術の結果を記載する。
デザイン: 非ランダム化した後ろ向きの連続症例による比較研究
対象: エイズを含まない27人のコホートで24人は片眼、3人が両眼に罹患
作為: 硝子体の生検をウイルス診断のために行った。

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20眼は硝子体内アシクロビルを経口プレドニゾンに併用して治療した(Aグループ)。10眼はこれに早期の硝子体切除を加えた。レーザー光線による凝固での壊死した網膜の境界線を画定する方法は強膜内陥術を加えたり加えなかったりで行われた。シリコンオイルないしガスによる圧着も必要に応じて加えた(Bグループ)。硝子体切除は網膜剝離を起こした目には前例に行った。
主な計測対象: 硝子体生検結果、剥離の頻度、眼球ろうに陥った頻度、矯正視力の推移

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結果: 帯状疱疹(バリセラゾスター)は26眼に見られた。単純ヘルペスは5眼。そして、エプスタインバールウイルスは2眼で帯状疱疹ウイルスとともに検出された。
Aグループの方に20眼中18眼の、Bグループの10眼中4眼よりも多くの眼で網膜剥離が見られた (P = 0.007)。
Aグループの20眼中の2眼とBグループの10眼中0眼ではAとBとの群間差なく眼球ろうが発生した。

弁別できる最小視角の対数で示される平均矯正視力は最初の受診時に1.09 (標準偏差0.83)、そして最終受診時に1.46 (標準偏差0.88)であってAとBの群に差がなかった。 結論: 帯状疱疹ウイルスが急性網膜壊死の主たる原因である。視力予後は守られていた。硝子体内をアシクロビルで洗う硝子体切除では網膜剥離が起きる頻度は低い。しかし、この結果が視力予後を改善するわけではなかった。
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10清澤のコメント:
急性網膜壊死はARNアーンと省略される網膜の強い炎症で、かつて浦山博士らが東北大学で発見した疾患です。当時の教授であった桐沢教授にちなんで桐沢型ぶどう膜炎とも呼ばれます。最初はその原因が不明でしたが、私たちが眼科医として育った時代(昭和50年代後半)にはヘルペス性脳炎に伴って見られる眼内炎と似ていることが指摘され、やがて硝子体のPCRでヘルペス族のウイルスが同定されるようになりました。

東北大学玉井教授の下で、仙台のグループも急性網膜壊死の症例の硝子体切除サンプルを集めて、アメリカ眼科学会AAOにポスターを持っていったことがありました。
今、検索してみますと
Correlation of varicella-zoster virus copies and final visual acuities of acute retinal necrosis syndrome.[Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol,236(10),(1998),747-752] Abe T, Sato M, Tamai M あたりがその仕事のまとめになているようです。

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帯状疱疹ウイルスは重症で、単純ヘルペス症例は比較的軽い症状であったように記憶しています。
この論文では、現在の急性網膜壊死に対するコンセンサスと考えられる治療を行った結果が示されていて、その結果は可もなし不可もなしです。このような後ろ向きのサンプリングをする研究ではA群とB群が臨床症状に従って決められていた可能性があり、治療方法の優劣を論ずるには適さぬデータかとも読めます。

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以前の私のブログ記事ですが多数の中に埋もれてしまって検索にも出てきません。
2006年04月25日 84 水痘(みずぼうそう; 水疱瘡)と眼(⇒リンク)でたどれるようにして置きます。

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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