眼に関する話題を取り上げるこのブログでは無視できないニュースが流れています。
全盲ピアニストの辻井伸行さんが米テキサス州フォートワースで行われたバン・クライバーン国際ピアノコンクール国際で優勝したそうです。
辻井さんは全盲で、国際的なピアノコンクールを全盲ピアニストが制覇したのは極めて異例。同コンクールは、ピアノコンクールとしてはチャイコフスキー国際コンクールなどと並ぶ難関です。
辻井さんは生まれた時から全盲だったが、音の感覚が鋭敏で、ピアノの多彩な音色にひかれて、4歳から本格的に習い始めたというはなし。すでにその道では知られた演奏者で、辻井伸行さんのピアノは音が美しく、「天から降ってくるようだ」と指揮者の佐渡裕(ゆたか)さん(48)などからも高く評されているそうです。
全盲の音楽家といえば春の海などの名曲で知られる箏曲の宮城道夫とか三味線の高橋竹山も名高いですが、辻井伸行さんにも今後一層の大成を期待し、声援を送りたいものです。
授賞式で賞を渡す方に抱き寄せられて、しがみつくようにして喜びを全身であらわした姿が印象的でした。
debut
アーティスト: 辻井伸行,ショパン,リスト,ラヴェル
出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
発売日: 2007/10/24
メディア: CD
ちょっと暗い感じの曲ですがラフマニノフのピアノ協奏曲第2番も彼の得意レパートリーのようですね。私も好きで古い録音のラフマニノフ本人の演奏版を聞いています。彼のCDも買いましょう。
先天的に失明した人は大脳視覚領でも音を感じる、つまり音で世界を見るようになります。これは成人してから失明した人には見られない現象です。辻井伸行さんのピアノは音が美しく、「天から降ってくるようだ」というのはその辺りを別の見方であらわした言葉かもしれませんね。
◎Auditory triggered mental imagery of shape involves visual association areas in early blind humans. 聴覚で呼び起される意識の中での形のイメージは生まれてすぐに失明した人では視覚連合領で扱われる
A.G. De Volder, H. Toyama, Y. Kimura, M. Kiyosawa, H. Nakano, A. Vanlierde, M.-C. Wanet-Defalque, M. Mishina, K. Oda, K. Ishiwata, M. Senda.
Neuroimage, 14 (2001), 129-139.
ベルギーから東京に来て研究をしたデボルダー女史とこんなテーマの研究をしたこともありました。
◎Increased regional cerebral blood flow but normal distribution of GABAA receptor in the visual cortex of subjects with early-onset blindness.
上の研究の時に脳内神経伝達物質受容体分布も調べ、三品先生がまとめてくださいました。
Mishina M, Senda M, Kiyosawa M, Ishiwata K, De Volder AG, 他11名. Neuroimage; 19(1) 125-131, 2003.
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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