お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2009年1月25日

775 “ドライアイを極めよう”という講演会を聞いて来ました

“ドライアイを極めよう”という講演会を聞いて来ました

1
この講演会は東京都眼科医会が開催している平成20年度卒後研修会の第10回で、毎回四谷駅から数分のところにある東京都眼科医会の事務所の講堂で開かれています。参加者はいつも20人程度でベテランの先生方が集まります。私が拝聴するのは東京都眼科医会学術部委員の輪番で司会をするときだけなのですが、いつもとても役に立ち聞き取りやすいお話が聞かれる会です。安い聴講費ではないのですが、講師への謝礼を考えますと、場所代がただなので運営を継続していられるというところでしょうか。

2
自分の覚え書き程度に印象記を記します。聞き間違いが有りましたらご容赦ください。指摘いただけば訂正します。

2
 さて今日の演題はドライアイを極めようというお話でした。演者は上野にある吉野眼科クリニックの吉野健一先生と日本医科大学講師の小野眞史(まさふみ)先生です。共に慶応の医局でのドライアイ外来の出身者で元々お友達だそうです。

3 ドライアイ総論はまず吉野先生から涙液の構造やドライアイの定義などの説明が有りました。最初の1995年の定義では自覚的な評価が含まれていなかったのですが、2006年の定義ではそれを含めるようになったということ定型的な話で始まりました。

4

ドライアイ(乾性角結膜炎)は涙液水層不全型と蒸発過多型に分けられ、涙液水層不全型はシェーグレン症候群と非シェーグレン症候群(トラコーマやサルコイドーシスを含む)に分けられます。一方、蒸発過多型には、油層不全、眼瞼障害、コンタクトレンズ装用に伴うもの、そして角膜表面の変化を含みます。

5

 此処から小野先生にバトンタッチ。ドライアイ診断とその治療の基本が説明されました。メニスカスの正常は0,1から0,2mmとのこと。私はもっと上の値を考えていました。
シルマーは第1法で麻酔なし自由瞬目で行うのが基本とのこと。(私は患者さんに痛がらせたくないのと、少ない事を見せたいのでいつもは麻酔した2法でしかも閉瞼で見ていますが考え直したほうが良いのかもしれません。)これらのテストの感度と特異度はやはり今ひとつということのようです。

6
涙液クリアランスを色素が時間と共に希釈される程度で見る方法も紹介されました。私も日常記載しているBUT(涙液層破壊時間)の説明も有りましたが、これがどうも私にはいつも再現性が乏しいように感じられているところです。吉野先生のスライドでは、トポグラフィーで眼表面の涙液面の反射像を見ると、ドライアイでは3秒くらいで平滑な反射が乱れるということですが、小さな診療所での臨床では全例にこれを行うのは難しいでしょうね。

1
治療は点眼、軟膏、涙点プラグ、涙点焼灼、そして血清点眼です。夜間に乾く場合に使う軟膏はタリビットやエコリシンが良いとのこと。フラビタンには保存薬が入っているからだそうです。血清の保存は冷凍でも3か月ということでした。

2
シリコン製涙点プラグの脱落率は比較的高く30%とのこと。私の患者さんだけで抜けていたわけではなかったと安心しました。また、涙点は閉塞しますが、汚く肉芽を作ってしまう例もあるそうです。下涙点にシリコンプラグをスリットランプ上で入れるには外上を見てもらい、入れる直前に涙をちょっとふき取って滑らなくするのがコツだそうです。

3
また、効いている間でもシリコンプラグほどしっかりとは涙の流出を止めてはいないようだともおっしゃいました。私は左右同等なら両下の涙小点を塞いでドライアイの改善をマイルドなものにしようとしていますが、講師の先生のドライアイ外来で治療する対象症例はもっと激しいドライアイが多いと見えて、2個のプラグで片眼の上下を塞ぐか、または4個のプラグで両眼上下を塞ぐことが多いという話でした。

2
液体のキープティアの有効期間を私は2-3月だと思っていましたが、先生方に伺うと先行文献では2か月の時点での評価が示されているのだが、実際にはもっと短くしっかり効いているのは4週間未満と思うということでした。

4
涙点焼灼をするならば電熱(パクレン)で10秒しっかり焼いてくださいとのことでした。ちょっと数秒ばかり焼いても塞がらないそうです。

此処で休憩。後半はドライアイ各論を聞きました。
1、 シンプルドライアイ
2、 薬剤性ドライアイ:緑内障点眼薬などが原因のドライアイがあります。主剤だけでなく、ベンザルコニウムも重要な関連が有ります。この疾患に涙点閉鎖をすると症状が増強します。角膜がフルオレッセインにぼんやりと染まるバスクリン角膜症というのも有ります。

5
3、 結膜弛緩症:下のメニスカスであるべき部分に結膜が余っていると結膜が眼表面をこすったりメニスカスの安定を乱してドライアイになります。この結膜を切る手術は私も時々頼む事が有ります。
4、 兎眼、顔面神経麻痺:
5、 眼類天疱瘡:免疫現象、眼粘膜に発生した天疱瘡。
6、 アレルギー性結膜炎とドライアイ
7、 マイボーム腺機能不全MGD:MGD(マイボーム腺機能不全)には温罨法が良いそうです。

6
8、 上輪部角結膜炎:上の結膜の弛緩に関与
9、 コンタクトレンズ起因性ドライアイ:lid wiper epitheriopathyという言葉があるそうです.。コンタクトレンズが上瞼の裏側の下端をこするという事でした。

1
全身疾患とドライアイ
1、 シェーグレン症候群:東京都だけですが特定疾患になってますので診断して差し上げられると患者には助けになると。エボザック、カラジェンなどの経口薬は唾液不足に効くが目にも使えます、ただし効かない例と副作用で飲めない例があるから使えるのは全体の3割だそうです。

2
2、スチーブンス・ジョンソン症候群:薬剤に対する過敏現象で、後遺症は目だけに強く出ます。

3、GVDH症候群:移植したグラフトとホストの体が起す免疫現象を原因とするドライアイです。

2
4、メイジュ症候群:口の周りの異常運動を伴う両眼の眼瞼痙攣。脳血流の異常の図も小野先生に見せていただきました。ボトックスをうまく打つと角結膜上皮障害も減るというお話に私も賛成。

3
さて、前眼部にはあまり縁の無かった私ですが、神経眼科との関連で眼瞼痙攣(その一部がメイジュ症候群)を扱うようになり、ドライアイは避けては通れなくなって、キープティアやシリコンの涙点プラグも多用するようになりました。

4
また、開業していますと乾き目を主訴に来院してくださる患者さんも多くなりました。そのような中で、本日のドライアイを極めようという本日のお話は明日からの診療にも大変役に立ちそうです。

本日の私の拙い司会にお付き合いくださった聴衆の方々と、お二人の講師の先生に感謝申し上げます。

best doctors logo vertical (ベストドクターズとは)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

管理頁
清澤眼科医院通信最新ページへ(リンク)します

Categorised in: 未分類