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2009年1月11日

762 新しい緑内障治療薬タプロスの講演会を聞いて来ました。

昨年末から参天製薬では新しいプロスタグランジン系の緑内障点眼薬のタプロスを発売していて、その説明を含む講演会が都内で開かれたのでしっかりと聞いて来ました。その印象記です。

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まず、この薬剤は、すでに国内で良く使われているキサラタンがスウェーデンの、またトラバタンズがアメリカで開発された薬であるのに対して、海外からの導入ではなく初めて日本で新規に開発されたプロスタグランジン系の有力な緑内障治療薬であるという紹介が総合司会の新家先生から為されました。常温で保存できるなどの利点も有りますから、薬剤の薬効や使いやすさが劣らないならば、日本国内も不況の折ですし、患者さんがいやでなければ国産の薬品を使うのもよいかも知れないと漠然と感じました。

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講演会はタプロス点眼液0.0015%新発売記念講演会というもので、第一部が検査・診断「最新の医療機器を知ろう」という部分から始まりました。

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最初の演者は新潟大学の白柏先生で「知ろう!HRT/GDxのよさを」というお話でした。緑内障では視神経が冒されて脱落し、視野の欠損が進みますが、眼底画像で検出される神経線維層の欠損は視野の欠損に先行しますので視神経周辺の画像解析は今後の緑内障診療にとって必須のものであろうと言っています。ハイデルベルク・レチナル・トモグラフGDxはレーザー光線を用いて神経線維層の厚さを示す事の出来る機械で有用なものです。これらの機械は高価なものですから、私たち開業医にとってはこれを自分の医院に導入するのか、近隣の大病院に分析を頼む事で行くのかが今の分かれ道です。

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次の「知ろう!SD-OCTのすごさを」という話は、多治見スタディーを推し進める事にも功績があり、国際視野学会でも重要な役割を占めている多治見市民病院の岩瀬愛子先生の話でした。LSOはレーザースキャンニングオフサルモスコープのことです。ダイオードをレーザー光原にし、フーリエドメインという撮像方式を使ったシーラスという機械が新しい機種のようでした。やはりこれからの緑内障診療には視神経と網膜の画像診断が遠からず必要なのでしょうとは思いましたが、導入するならば、GDxか?OCTか?の答えはまだまだ出ません。

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第1部の後半は治療のポイントを再確認しようという大テーマでまずは「眼圧下降と非眼圧因子」という東京大学の富所敦男講師。血流改善、眼圧下降、神経保護をポイントに捕らえて、緑内障治療のエビデンスを話してくださいました。正常眼圧緑内障でも眼圧を下げるのが有効という話はまだその他に比べると根拠が弱いのだそうです。個々人の診療では眼圧のベースラインが重要で、視野欠損が特に強いとか眼圧が異常に高いという例を除いては、日を変えての測定でベースラインを確定してからに投薬は開始すべきであるという話には肯けました。本当にその患者に効いているのかを知るのには片眼トライアルが有効であるという話や、その際に片眼に点眼してもベータブロッカーは両眼に効果が出るというような話も聞く事が出来ました。正常眼圧緑内障では夜間低血圧や片頭痛が多いと言われます。緑内障の治療薬剤として検討されたアルツハイマー病に効くメマンチンは無効との結果が出ましたが、カルシウム拮抗薬のニパジールにはまだ期待が有るということのようです。

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患者指導とフォローアップという他とは少し違った切り口の話題の話は東京警察病院の安田典子先生がなさいました。緑内障が診断された患者さんは多くの不安や知識の不足に悩んでいて、”緑内障は治らない病気である”といった強いメッセージの記述に不安をあおられている。”緑内障を診断されたから、これからは即失明してしまうのか?”と投げやりになっている事も有る。緑内障の点眼のコンプライアンスは50%前後と低いから、これを改善する必要がある。ここでキーワードになるのは服薬遵守というニュアンスのコンプライアンスではなくて、自発的服薬という意味でのアドヒアランスであると説明されました。視野が変化すると日常生活ではどう生活に困るのかということも調査されていて、日眼会誌にまとめてあるそうです。”患者に聞きーー説明しーーまた聞く (ask tell ask)”という戦略が必要という事でした。正しい点眼のさし方や、2種以上の点眼に5分あけること、3回というだけでなく何時と何時なのかを指定する事の必要性なども話されました。事実、実際に診療をしていますと、点眼をいくら処方しても眼圧は下がらず、まだ残薬が有りますと答えて、果たして本当に指示に従った点眼をしてくれているか?が気になる症例は少なくありません。

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此処で小休止。昔一緒に症例を報告したM先生を久しぶりに見かけたので声をおかけしました。緑内障の後頭葉の機能をPETで調べようと言う研究を検討中という話をしたら、大阪医科大から似た演題があったはずなので調べてみたら?と貴重な助言を戴きました。

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第2部は「タプロス点眼液誕生秘話」を旭硝子で実際に開発に携わった松村靖先生が話されました。化学構造にフッ素が入ると安定性も増し、良いのだそうです。この薬剤は、実用までに研究にかかって13年という長い時間がかかっているのだそうです。

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東京大学で神経眼科にも関連した仕事をしておられる相原一講師は「基礎研究から極めるこれからの薬物治療」という話をしました。プロスタグランジンF2アルファに眼圧下降作用があって、FP受容体というのがその受容体であるという事を、各種受容体のノックアウトマウスで彼らのグループは確定したのだそうです。今回話題になった薬剤 タフロプロスト(タプロス)もFP受容体に作用しているという事でした。眼内ではMMP活性化を介して細胞外マトリクスの再構築が起きているというような説明だったと思います。とても明快な思考の流れを感ずるお話でした。

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最後の講師は大阪厚生年金病院の桑山泰明部長。今回の講師の中では唯一の関西の先生です。彼は、臨床から極めるこれからの薬物治療という話をされました。アメリカの眼科学会誌Ophthalmology6月号に出た”開放隅角緑内障では脳脊髄圧が低い”というような臨床側からの話題をいくつか紹介されました。この話題は、私も来月の日本の眼科に記事としての紹介を依頼され、本日ゲラが手許に来ている話で、少しうれしくなりました。

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というわけで、大変多くの話題をしっかりと聞いて来ました。明日からの診療に役立ててゆきたいと思います。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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