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2008年11月23日

725 第26回 日本眼腫瘍研究会 を聞いて来ました。

本日は新宿の東京医科大学の講義室で行われた第26回 日本眼腫瘍研究会 の一部を聞いて来ました。(何かの単語でインターネットを探してこの記事を見てくださる方が居ないわけでもなかろうと期待しながら今日の見聞録をしたためています。)

午前の診療を終わってから出かけたので聞けたのはかなり終わりに近いセッション6の網膜芽細胞腫からでした。

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24、年長児に見られた網膜腫瘍の2症例 松山赤十字病院、児玉俊夫先生

コメント:網膜芽細胞腫は3から4歳までに発生する事が多いものです。ですからこの発表では年長といっても8から9歳です。この発表はそれで良かったです。ところで、眼科のバイブルのような教科書であるDuke-Elderのシステムオブオプタルモロジーという本があります。この網膜芽細胞腫の項目にはたしか30歳以上の症例報告2編が引用されています。そのうちの1つは日本人のもので昭和30年代から40年代頃に名古屋鉄道病院にいた小原博亨の症例です。何故それを知っているかといいますと、これが一昨年亡くなった私の伯父だからなのです。その病理診断は本当に正しかったのだろうかと思わないわけでもないのですが。

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25、視神経乳頭部に腫瘍を形成した網膜芽細胞腫の予後 国立がんセンター中央病院の鈴木茂伸先生

コメント:そこまで大きくなった網膜芽細胞腫を私は実際に見たことがないのですが、視神経に被るように増殖した網膜芽細胞腫はその治癒が困難で予後が良くないのだそうです。ですから眼球保存療法中にそうなったら2か月以内に眼球摘出する必要があるという結論だそうです。

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26、眼球内網膜芽細胞腫に対する全身化学療法・局所化学療法による温存治療:世界の動向からみたわが国の治療について 埼玉医大国際医療センター 包括的がんセンター小児脳脊髄腫瘍部門 柳沢隆昭先生

コメント:網膜芽細胞腫に放射線を掛けて治療をすると網膜芽細胞腫以外の悪性新生物の発生が明らかに増えることから、そのような例に対しては急激に基本的な検討が為されぬままに放射線照射ではなく化学療法が行われるようになったのだそうです。日本では放射線が主流の時代にも再発の治療法としてメルファラン眼動注および硝子体注入が開発されていたのだそうです。最近、放射線治療に代わる治療とされた全身化学療法にも2次癌の誘発が危惧された結果、Abramsonらがメルファラン眼動注を開始し、それが日本の治療に目を向けさせる事になっているというお話でした。

引き続きのセッション7はぶどう膜悪性腫瘍のお話です。やっと会場の雰囲気に溶け込めて来ました。質問と答えは必ずしもすべては理解できていません。

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27、ヒトぶどう膜悪性黒色腫が樹状細胞に与える免疫学的な影響 東京医大 臼井嘉彦先生

コメント:流暢に話された基礎的な実験のお話でした。樹状細胞というのが重要なキーワードなのだそうです。樹状細胞はナイーブT細胞を活性化できる強力な抗原提示細胞だそうです。脈絡膜悪性黒色腫細胞はこの樹状突起細胞の抗原提示能力を弱め、そのアポトーシスをも引き起こしているという話でした。座長の九州大学吉川洋先生もメラノーマ細胞が樹状突起細胞までやっつけてしまうとはと驚いておいででした。

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28、Monosomy3の検索を施行した脈絡膜悪性黒色腫の2例 新潟大学 張大行先生

コメント:今まで知りませんでしたがMonosomy3というのは?ーー調べてみますと、脈絡膜メラノーマの細胞の研究では予後の悪いメラノーマでは3番染色体の全体の欠損 (monosomy 3)と8番染色体の長腕の数の増加が見られる場合が多いということです。この発表の2例ではそれを見つけることは出来なかったということだったようです。

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29、脈絡膜悪性黒色腫に対して炭素イオン線照射を行った後硝子体手術で腫瘍切除を行った一例 順天堂大・浦安 臼井亜由美先生

コメント:この症例報告はかなり面白かったです。大きくなりすぎた脈絡膜黒色腫の眼球摘出を避けるために脈絡膜腫瘍の周りを焼灼して強膜を露出するように腫瘍を切除したというものです。今回の症例は残念ですが、最終的には血管新生緑内障を発症し、眼内の透見が出来なくなって、無光覚であるということでした。その原因が放射線の為なのか、手術の結果なのかはわかりません。私はその昔、東北大学で水野勝義教授が強膜弁を作って脈絡膜にジアテルミーを置き周囲を止血してから、脈絡膜腫瘍を切除するという新しい術式での腫瘍摘出の助手をさせていただいた事が有ります。症例提示の中には都老研で使っているメチオニンPETも出てきて驚きました。PETも炭素イオン線照射も放医研でしょうが、すでにこの方法が臨床で使われているのですね。

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30、123-I IMP SPECT検査で陽性を示さなかった脈絡膜悪性腫瘍の一例 山形大学 高村浩先生

コメント;山形大学の高村先生はこの会の次回会長だそうです。腫瘍の画像診断は私が学位を戴いた分野でしたので、つい出すぎた質問をしてしまいました。ガリウムは鉄の代謝を、FDGなら糖代謝を、メチオニンは蛋白合成を示します。これに対して123-I IMP(塩酸 N-イソプロピル-p-ヨードアンフェタミン)は、腫瘍診断の場面で何を反映しているのであろうか?というのがその質問です。
 帰宅後ネットで簡単に調べただけですが、123-I IMPは一般的な脳血流の検査薬です。123-I IMPは血液脳関門を透過し、脳や腫瘍にも集積しますが、その機序は、脳内での血管内/脳実質組織間のpH勾配、脂質/水分配係数並びに脳及び脳内毛細血管内膜に局在する相対的非特異的な高容量アミン結合部位への親和性などの作用が複合していると説明されています。この薬剤は静脈内に投与された後速やかに血液中から消失して最初の毛細血管システムである肺に集積します。次いで脳、肝臓に集積が移動するようです。その結果、脳へは最初速やかに集積して1.5時間で8.5%投与量となり、以後緩やかに減少する(有効半減期7.8時間)とされています。
 以前、私がこのような薬剤を用いてラットの脳循環の実験をした時に文献で調べたところでも、この薬剤は脳組織との親和性が高いので、動脈から脳に流れてくれば一回の循環で毛細血管の部分で脳に殆どが移行します。その結果血清に含まれる放射能は必ず脳に移行しますので脳の血流を測るのに使われているのです。ですから、眼腫瘍においても演者が考えたような特異的な腫瘍のタイロシン代謝(メラニン代謝)に関連した分布ではなく、単に血流の多寡を見ているのかも知れません。演者のお答えになったように、チロシナーゼの働きを反映して腫瘍に取り込まれるのだとすれば、更に考案は面白くなりそうですが。毛様体は血流の多いところですから、毛様体腫瘍は悪性で有るか否かに拘らず何でも写ってしまうという後藤浩先生のコメントもそれで説明できるのかも知れません。また、後日、国際医療センターに核医学PET部門の窪田和雄先生によると、24時間後などの後期の画像では血流よりもアミン代謝を反映する傾向が強まり、蛋白合成を反映するとしてもよいのだろうという事でした。
 核医学画像で腫瘍が見えない場合には、このように腫瘍での取り込み自体が少ない場合のほかに、腫瘍のボリュームが画素に対して小さすぎる場合が有ります。それを分けて定量的に論じないと、核医学画像では簡単にだまされるのです。
 このコメントに対する眼腫瘍診断に核医学をお使いの先生方のご批判を戴きたいと思います。

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31、Vogt-小柳-原田病の治療中に脈絡膜メラノーマを発症した1例 福島県立医大 大口泰治先生
原田病を示した患者に、網膜に色素を伴うメラノーマらしい病変が有り、他疾患の治療でインターフェロンを使った事も病勢の動きに関連が有りそうだという面白い症例でした。メラノーマが原田病様の症状を起こす事が有るとすれば大変面白い話です。

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生意気な口を利かせていただくと、各地に腫瘍の専門家が育っているのが実感できました。都内の各大学の多くが眼腫瘍と聞くと専門家のいる病院に送ることしか出来ないのと比べると大きな違いだと感じます。
仙台ではこの東北大学で完結しなくてはならないと思って診療をして来ましたが、東京ではついつい眼腫瘍と見極めると専門の病院にお願いする事になってしまします。

私の医院からも開院からの4年で今回の会長をなさった東京医大の後藤先生や眼研究所付属病院の辻先生に4例の眼球内および眼窩腫瘍をお願いしました。これからもお世話になりますのでよろしくお願い致します。

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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