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2008年8月24日

646 放射線視神経症とは

放射線視神経症とは

放射線視神経症

(ネット症例:AJNR教育用スライドから)48歳女性、照射後8か月で視力低下が起きた放射線視神経症。右上顎癌(adenoid cystic carcinoma)。コントラストエンハンスしたT1-強調画像では長い矢印で示される頭蓋内視神経に病変が見える。側頭葉には出血を伴う腫瘍が有る。出典
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放射線視神経症 radiationoptic neuropathy

◎症例 55歳の男性が両目のボケを訴えて脳外科から紹介された。他施設で下垂体腺腫をガンマナイフで治療された既往歴あり。眼底は明らかな両側乳頭の浮腫。当初私は萎縮期に入ったうっ血乳頭を考えたが、これは放射線視神経症であった。病院をあちこち変えていたため、なかなか基幹病院でも引き受けていただけず対応に苦慮した。最終的には両眼無光覚になってしまったが、かろうじて視覚障害のリハビリテーションは視力のあるうちに開始できた。

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○放射線視神経障害:放射線視神経症は脳や眼窩への放射線治療の3か月から数年後に発生する不可逆性の視神経障害であり、その本体は血管内皮が障害されておきる虚血性視神経症(⇒リンク)である。

○片眼または両眼性に痛みのない視力障害が急速に進行する。発症の数週前に一過性の視朦を訴えることがある。多くは当初から検眼鏡的な異常はなく、やがて萎縮して蒼白化する。まれに、この例のように眼球に近い部分に放射線照射された部位が有る場合には、乳頭浮腫、乳頭周囲出血、網膜滲出斑を伴う前部虚血性視神経症の様相を呈す例がある。

○視野は中心暗点。水平視野欠損、求心性狭窄など。MRIでは著明な造影増強効果がみられ、その造影効果はやがて消失して視神経萎縮に至る。75%以上が50Gy(グレイ:放射線の量の単位、旧称の5000ラドに相当する)以上の照射を受けているとされる。糖尿病、成長ホルモン産生腫瘍、加齢、血管の圧迫、化学療法の併用などは危険因子である。この症例のようなガンマナイフでは視路への線量は8Gy未満が推奨されている。

○脱隋や浮腫の軽減を求めステロイド薬が使用され、抗凝固薬や高圧酸素療法が試みられるが、通常、その予後は不良である。

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この3年程度で私も明らかに覚えているだけで3例の症例を経験しています。

一例は眼窩リンパ腫の治療を数年前に受けた60歳台の女性。(対側視神経の単性萎縮)
2例目がこの患者さん(両眼の乳頭浮腫様変化)
3例目は30歳前後の男性で下垂体腫瘍の放射線治療後(単性萎縮)。

2例は単性萎縮で一例は鬱血乳頭様の視神経変化を示していました。

治療の難しい疾患だけに、最初の腫瘍に対する放射線治療の時には眼科医も輪に加わった細心の注意を払った議論が望ましいと思われます。放射線照射は手術的に全摘出できないような疾患が対象で、やむを得ず行われるのですが、放射線照射前にこの疾患を併発する可能性の説明が十分に行われる必要もあります。それを欠きますと、命が助かってよかったと言うだけでは済まず、医療過誤としての議論にもなりかね無いと感ずる次第です。
また、その効果は保障の限りでは有りませんが、最新の報告にはアバスチンを眼内に注射するなどと言う文献も有りました。確立されたものでは有りませんが、検討には値すると思います。
Anti-VEGF Bevacizumab (Avastin®) for Radiation Optic Neuropathy .
American Journal of Ophthalmology , Volume 143 , Issue 2 , Pages 335 – 338
P . Finger
(2008,8,28清澤記)

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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