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2008年7月24日

619 乳癌の自己検診または視触診によって乳癌の生存率は改善しない という記事を読みました

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”健康診断は個人の健康増進に有用なものである”というのは議論の余地のない事であると一般には信じられています。そのような常識に水を差すようなニュースが出て来ました。

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世界的に展開しつつある EBM(evidensed-based. medicine)の情報基盤となる、有名な『Cochrane Database of Systematic Reviews』のオンラインで報告されたコクランレビューの結果によると、”乳房の自己検診または医師による視触診によっる検診を行っても、乳癌による死亡率は低下せず、かえって良性腫瘤の生検が増加するだけだという可能性がある”とされています。

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その原文は[Intervention Review]
Regular self-examination or clinical examination for early detection of breast cancer Jan Peter Kösters1, Peter C Gøtzsche2 で(⇒リンク)
インターネットでも確かめる事が出来ます。

私はこのニュースへの取っ掛かりを7月24日のM3ニュースで見つけましたが、この記事に関する詳しい解説はニュースヘッドラインの裏側(Behind the headlines):ニュースになった科学記事へのガイド(Your guide to the science that makes the news)というページに有る”癌と乳癌の自己検診”(Self breast examination and cancer) というインターネットの記事に詳しく書いて有りました。それを見ますと、この案件は2008年7月15日からBBCなど多くの報道機関ですでに取り上げられていた事が分ります。

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その記事の内容はは”乳癌の自己検診または視触診によっては乳癌の生存率は改善せず、良性腫瘤の生検だけが増加する可能性がある”という発表です。

「乳房の自己検診および臨床的な乳房検査は、罹病率と死亡率を低下させることを目的とした乳癌の早期診断のための一般的なスクリーニング方法として、長年にわたり奨励されてきた。」しかし「考えられる利益と害は依然として不確かである」といいます。

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そして、この総説の目的は、”定期的な自己検診または臨床的な乳房検査による乳癌のスクリーニングが、乳癌による死亡率と罹病率を低下させるかどうかを検討すること”でありました。

文献調査の結果、ロシアと上海で行われた研究のみがこの問題を解く材料に使用可能なもので、総数388,535名のデータが含まれます。
「2つの大規模試験のデータは、乳房の自己検診によるスクリーニングの有益な効果を示唆しないが、同定された良性病変数の増加および実施された生検数の増加の点で害の増加を示唆する」と著者は述べています。「現時点で、乳房の自己検診または視触診によるスクリーニングを推奨することはできない。単独の一般的なスクリーニング方法としての乳房の自己検診を検討する追加試験を行う価値はありそうにない」という結論です。

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この記事の最後には(Plain language summary)平易な言葉による要旨が付いています。(下の最後に引用します)この部分を見ると95%信頼域がどうこうという議論を抜かして結論に達する事が出来ます。
最後の部分だけを翻訳しますと、それが乳がんであるかもしれない乳房のしこりに気が付いた女性は意思に相談すべきである、と極当たり前な書き方がなされていました。

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清澤の感想:乳癌は私が男性ですから直接は関与いたしませんが、健康に関する伝説にはかなり嘘の部分が多いような気が致します。確かにこんな結論にもなりそうですね。

”健康によさそうな事を一生懸命するのは良い事だ”というのは、十分に検証をつまないとある面とんでもない事である恐れが有ります。

最近のメタボ検診なんて、このような検証を本気でしたらその有効性は真っ先に吹っ飛ぶと思います。体重が重い事は自分にとっても楽な事ではありませんが、他人からとやかく言われるのも不愉快ですし、まして無理をして体重を絞るような事はかなりの危険を伴う事であるというのが私の認識です。

内科開業医のお勉強日記:特定検診・指導のシンボル “メタボ侍” 運動療法中死亡 もご覧下さい。全くその通りだと思います。。⇒リンク

体重のコントロールや運動は、自分で十分に納得した上で、時間も掛けて穏当にしなくてはいけません。そうでなく、行政にやらされたりすると大変危険です。

注:この花はブーゲンビリアといいます。花びらの様なのは実は”がく”です。

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Plain language summary

Regular self-examination or clinical examination for early detection of breast cancer.
Breast cancer is a common cause of cancer morbidity and mortality in women. Breast self-examination (examination of the breasts by the individual) or clinical breast examination (examination of the breasts by a doctor or a nurse) have been promoted for many years as screening methods to diagnose breast cancer at an early sTAGSe, in order to decrease the risk of dying from breast cancer. This review searched for well-designed trials that assessed these methods and found two large population-based studies involving 388,535 women who compared breast self-examination with no intervention. The review of data from these trials did not find a beneficial effect of screening in terms of improvement in breast cancer mortality. The trials showed that women who were randomised to breast self-examination were almost twice as likely to undergo a biopsy of the breast, with 3406 biopsies performed in the screening group compared to 1856 biopsies in the control group. The only large population-based trial of clinical breast examination combined with breast self-examination that was identified was discontinued. This was because of poor compliance with follow up and no conclusions can be drawn from the study.

Some women will continue with breast self-examination or will wish to be taught the technique. We suggest that the lack of supporting evidence from the two major studies should be discussed with these women to enable them to make an informed decision. Women should, however, be aware of any breast changes. It is possible that increased breast awareness may have contributed to the decrease in mortality from breast cancer that has been noted in some countries. Women should, therefore, be encouraged to seek medical advice if they detect any change in their breasts that may be breast cancer.

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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