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2008年5月21日

568 原発性開放隅角緑内障の脳脊髄圧は低い?

アメリカ眼科学会の機関紙であるOphthalmologyの2008年5月号(最新号)の最初の論文は、このようなショッキングな内容のものが掲載されています。

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また巻頭の編集者Pascuare LR博士の言葉も”我々の緑内障に対する理解に変化を起こすか?”とこの論文を重要視しています

、”原発性開放隅角緑内障の脳脊髄圧は低い”というBerdahlJP(所属は世界に有名なミネソタ州ロチェスター市のメイヨークリニック)らの論文。⇒リンク

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短い内容紹介では:脳脊髄圧は緑内障患者ではこの疾患を持たない患者よりも低かった。この事実は緑内障の発生原因を説明するかもしれない、としています。

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目的:
原発開放隅角緑内障(POAG)と非緑内障患者の脳脊髄液(CSF)の圧を比較する。

デザイン
ケースコントロール実験。

被検者
31,786人の患者がミネソタ州ロチェスター市のメイヨ・クリニックで1996年から2007年の間に腰椎穿刺(LP)を受けた。 これらでのうち、原発開放隅角緑内障(POAG)であった28人の患者と原発開放隅角緑内障(POAG)では無かった49人の患者を分析した。

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方法
カルテを調べ、脳脊髄(CSF)圧に関連して、2つのグループの差を単変量と多変量解析によって分析した。

主な評価項目
患者の特性(年齢と性)、既往歴、投薬されている薬剤、腰椎穿刺(LP)の理由、眼圧(IOP)、視神経乳頭での陥凹と乳頭の比(C/D比)、視野、そして脳脊髄(CSF)圧。

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結果
平均脳脊髄圧±標準偏差は、非緑内障患者で13.0±4.2mmHg、開放隅角緑内障患者は9.2±2.9mmHgで(P<0.00005)有意に異なっていた。脳脊髄圧は、腰椎穿刺が行われた理由や患者の年齢に関連無く、原発開放隅角緑内障患者で低かった。線形回帰分析では、C/D比が眼圧(P<0.0001)、脳脊髄圧(P<0.0001)、そして視神経の篩板にかかる圧力差(P<0.0001)と、独自に相関を示した。多変量解析では、大きなC/D比がが低い脳脊髄圧と関連していた(P<0.0001)。 4結論
非緑内障コントロールと比べて、緑内障患者の脳脊髄液圧は有意に低い。 これらのデータは脳脊髄圧が原発開放隅角緑内障の発生に重要な役割を果たすという概念を支持する。

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ブログの著者からコメント:
さてさて、この論文は以前Quiguley博士が原発開放隅角緑内障で視野欠損が生じたときには、すでに視神経線維の半分が失われているという事を報告して以来の重大なトピックスかもしれません。

緑内障では高い眼圧に伴って視神経の線維が脱落して、その結果で視野が欠損してゆくと長い間信じられてきました。しかし、日本の研究で眼圧がそれほど高くは無い”正常眼圧”の緑内障が日本人では開放隅角緑内障の半数以上を占めていることが報告され、それでは緑内障とは何なのだ?ということになっていました。

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今回、脳脊髄圧と眼圧との差が、視神経乳頭で篩板に掛かる圧力差、つまり視神経への負荷であることをしめして、それが問題だといったわけですから、正常眼圧緑内障も開放隅角緑内障の一部であるという解釈が見事に説明できます。

後1週間で、日本の今年の臨床眼科学会の演題が締め切られるのですが、それに向けて何かの話を書き足す研究者もきっと現れることでしょう。しばらくは、この話題が緑内障のテーブルをにぎわしそうです。

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さて、むち打ち症の後で現われる低脳脊髄圧症候群というものがあります。それはブラッドパッチという方法で治療されるのですが、まだ保険適応は認められていません。脳外科領域では山形大学の嘉山教授が班長でこの診断基準を作ろうという活動があるようです。

昔、そう1981年ころ私も仙台の江南病院の脳外科で鈴木次郎教授の回診に新参の眼科医として付いて回らせていただきました。その回診には若き日の嘉山先生も参加して居られました。そのころを思い出します。

が、このような患者さんでも長い間には緑内障のような視野欠損が現われるのでしょうか?

鞭打ち症で低脊髄圧と診断された患者さんが居られたら、視野欠損の有無も考えてみたいものだとふと思いつきました。

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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