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2008年4月14日

550 悪性リンパ腫の診断システム(READシステム)の紹介を読んで

(2015,4,8 修正、復旧)
本日 微研ジャーナル21号2巻2008.4が届きました。
当医院が検査検体を依頼している江東微生物研究所の雑誌です。
その筆頭の記事が「悪性リンパ腫の診断システム(READシステム)の紹介」の論文でした。

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著者は東北大学大学院医学系研究科血液病理学の一迫 玲 教授です。
一迫先生は昔から悪性リンパ腫の診断に研究の方向を絞って居られ、歯学部の病理部でずっと頑張り、私も東北大学ではリンパ腫の診断のいろはを教わった方です。

13その当時に私も関係した論文には
布施昇男,玉井信,清澤源弘,一迫玲,澤井高志:リンパ系眼窩腫瘍の多角的補助手段を用いた病理組織学的診断. 日本眼科紀要 44;940-945, 1993
というのも有ります。
奥さんは眼科医で、私が今も年賀状のやり取りをしている先生夫妻です。

14今日はこの記事の内容の概要を紹介します。

病理に対する筆者の思い入れや、学問に対する姿勢がうかがえる好ましい小論文です。

16—要約で、引用開始–
筆者は1989年11月に東北大学医学部付属病院病理部で「病理組織学的観察・フローサイトメトリー+/-免疫組織化学・染色体分析・遺伝子解析からなる悪性リンパ腫診断システム」を稼動し、1996年12月には単一コードセットとして受託する体制を作った。
このシステムは病理組織学的観察と3つの解析を実施して1つの報告書にまとめる画期的なものであった。

18このシステムは、実施料等のハードルが高いにもかかわらず多くの病院における血液臨床の現場に馴染んでいった。

352、悪性リンパ腫の病理診断は難しいのか?
悪性リンパ腫疑いで生検された症例の1から3割程度は明らかに他臓病理診断に比して難しい

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3、それを示す客観的根拠、
根拠1、ある書評
根拠2、コンサルテーション:組織型別の内訳で一位、全体の15.3%。
根拠3、頻度と所要時間:人口10万人に13.7人の発症。頻度は胃癌などより低いが診断には時間がかかる。
根拠4、亜型分類:しょっちゅう変わるともいわれる。
根拠5、記述量:大変多く、病理医は病理と遺伝に付いても十分な知識と理解をもち、病理診断に応用することが必須である。

224、悪性リンパ腫を取り巻く環境 その背景と考察
6つの要素を抽出しそれらを関連つけた理論SHIFTを提唱した。

Cell 由来となる細胞
M1 = method 解析のための方法
M2 = Money 診断や解析に要する費用 とR=Responsibility責任の所在
 縁故関係等を通じた好意として無償で実施を受託するという形態は継続が難しい
 対価を求めることで責任の所在を明確にする
D1=Doctors 医師たちの意識
 先端の解析結果を求める医師と臨床現場は従来の病理レベルで良いとする医師達の意識に大きな乖離がある
D2= Distance施設間の距離とR=Responsibility 責任の所在

235、それではどうすればよいのか
この答えがREAD systemである。
所属する病院の病理医と事務の同意を得て病院をこのシステムに登録する。
委託する医師は生検組織のホルマリン固定と未固定の標本を検査機関に提出する。
委託/外注された組織に対してそれぞれの解析がなされ、READの病理医が報告書を作る。
必要な追加分析項目はMORE-testとして行う。
この中にはパラフィン包埋標本からインサイチューハイブリダイゼーションを行う方法も含まれる*

256、終わりに
2005年からはこうと微生物研究所とSRLという強力なパートナーと共により工事レベルのシステムを構築して行くことになった。

—–抄録引用終了—-

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R=Responsibility責任の所在のところで
「縁故関係等を通じた好意として無償で実施を受託するという形態は継続が難しいから、対価を求めることで責任の所在を明確にする」という辺りはあの当時に一迫先生におんぶに抱っこで仕事をしていただいた当時を思い出して耳が痛いです。
改めて一迫先生に当時からの厚情に感謝いたします。

29上記*の内容は、後に東京に来てから、私も手伝って医科歯科大学での症例を集め、NIHの先生方に分析をしていただき、医科歯科大学の江石先生の助言も受けてまとめた次の論文にも通じるものがありそうです。

Miyanaga M, Kiyosawa M, Takase H, Eishi Y, Shen DF, Chan CC, Mochizuki M. Microdissection and gene rearrangement analysis in paraffin-embedded specimens of orbital malignant lymphoma. Jpn J Ophthalmol 48:123-127, 2004

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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