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2008年3月16日

529 上強膜炎と強膜炎、その診断と治療

上強膜炎と強膜炎(きょうまくえん、じょうきょうまくえん)の診断と治療

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はじめに; 眼の表面の炎症の代表的なものが角膜炎と結膜炎です。このうちの結膜炎よりも少し深い層に炎症が表れたのが上強膜炎と強膜炎です。特に上強膜炎は比較的良く見られる疾患です(episcleritis:上図:強膜炎episcleritisの出典にリンク)
。今日はこれらの疾患を説明してみます。

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上強膜炎、強膜炎とは: 眼球壁のうち角膜の周りで前から見て白く見える部分が強膜です。この部分は上を結膜という透明な粘膜が覆っていて、そのすぐ下がテノン膜または上強膜と呼ばれるやや塑造な結合組織です。この強膜あるいはその表面の上強膜(テノン膜)に炎症を起こした状態が強膜炎と上強膜炎です。

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強膜炎(下図)強膜炎は上強膜炎より病変が深く、充血していて時には盛り上がりを示します。

瞼裂斑炎
似たものに瞼裂斑ないし瞼裂斑炎があります。これは慢性の刺激に対する反応で、角膜寄りの結膜下に炎症性の細胞が集まったものですが、ステロイドを長期にわたって点眼で使っても完全に消す事はなかなか困難です。ハードコンタクトレンズを多少無理をして長期に亘って使用したという既往歴の患者さんなどによく見られます。翼状片とは別物で、その切除も通常はできませんので、女性が美容的な観点で気ににする場合には対応に苦慮する場合があります。(切除した後の炎症反応で一時的にはもっと目立つ様になるであろうと考えられるので、普通は切除が勧められてはいません。)

原因: 自己の組織に対する免疫反応が起きると、其処にはリンパ球などを中心とする炎症細胞が集まって組織が肥厚し、血管は拡張して組織は痛みを伴ってが充血します。強膜や上強膜の炎症ではその表面を覆う結膜が透明ですから充血は表面から良く見えますが、目脂(めやに)は結膜炎ほどには強くは出ません。

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自己の組織を攻撃する自己免疫疾患や、さまざまな全身性に血管の炎症を起こすような炎症性性疾患などがその原因となります。慢性関節リウマチ、結節性動脈周囲炎、SLE(systemic lupus erythematosus)、炎症性腸疾患、サルコイドーシス、痛風(つうふう)、結核、梅毒などもその原因には挙げられますがそれらの疾患の存在が確定されるケースはそれほど多くはありません。別の文献では、この他にウエゲナー肉眼腫症(Wegener’s granulomatosis)、ヘルペスゾスター(帯状疱疹ウイルス)の局所の感染も原因としてあげられています。多くは原因不明のままステロイドや抗生物質による治療で2-3週で消退してゆきます。両眼の場合もありますが実際に治療する症例の多くは片眼です。

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症状: 充血が強いですが、上強膜炎ではそれ以外の症状は軽度です。強膜炎ではさらに強い充血を示し、病巣が深いので痛みも強くて充血の範囲も広く表れます。眼球の後ろの強膜を中心に侵す後部強膜炎では視神経にまで影響が及ぶので視力低下もおきることがあります。非常に炎症が強くて強膜に血流障害を生じ、強膜が壊死に陥り、結膜が青い脈絡膜をかろうじて覆っているというものを壊死性(えしせい)強膜炎と呼びます。

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検査と診断 :通常の外来では軽い上強膜炎は初期の治療で消退するので、全例にまでは採血検査は行いません。

より重症の例では原因を検索するために、血液検査や特殊検査が勧められます。
局所の感染が疑われる場合は炎症を起こしている部分の擦過物や涙から細菌や真菌、ウイルスの検査を必要に応じて行います。

1 眼底検査を行って網膜への影響や網膜血管に炎症兆候がおきていないかも見ます。強膜や脈絡膜に炎症が及ぶと脈絡膜剥離や非裂孔原性網膜剥離を伴うこともあります。
治療 : 局所の感染が疑われれば、その原因を除く薬物を投与します。局所の感染でなければ、副腎皮質ステロイド薬を投与します。

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上強膜炎は、リンデロンやデカドロン、フルメトロンなどのステロイド点眼ないし眼軟膏で比較的容易に軽快します。炎症が強い強膜炎の場合にはその多くでステロイドの経口全身投与が行われ、必要なら更に点滴でステロイドパルス療法も行います。サルコイドーシスや痛風など原因となる特定の疾患が見つかった場合は、その治療を行います。

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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