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2008年2月16日

508 羊膜で保護した難治性緑内障への線維柱帯切除手術とは

1羊膜を用いた緑内障手術についての情報を求められた小児の患者さんの親御さんからの質問がありました。 (管理頁

調べてみましたら、その答えになりそうな論文が見つかりましたので”おばあちゃんにも解る”調に単語を足しながら翻訳して紹介します。この論文は”羊膜の難治性緑内障手術への応用”という論文で、北欧の眼科雑誌アクタ・オプサルモロジカ・スカンジナビカの2006年6号に出ています。ざっと翻訳してみますと次のような物です。(図は説明を理解していただくため無関係なページから借用しました。)

2要約
目的:マイトマイシンC(清澤注:組織の修復を抑える薬剤で、元々は抗癌剤。眼房水が眼球周囲に抜ける濾過経路が自己の修復過程によって塞がるのを妨害して水がたまったブレッブがつぶれてしまうのを防ぐ。)を用いた線維柱帯切除を(他人の)羊膜組織で保護する緑内障手術の方法の有用性を検討することを目的とした。

フラップ下水流 (図:通常の線維柱帯切除手術後の房水の流れ、組織の修復でこの流出路が塞がれないための工夫がこの手術ではなされる。)

方法:この研究の対象の殆どは2回以上のマイトマイシンを使った線維柱帯切除が無効であった非常に難治性の緑内障で、2003年から2004年の手術患者である。9人9眼で輪部(角膜周囲の部分)の切開で緑内障手術を行った。

フラップの作成(図:強膜フラップの作成、このフラップと強膜床の間に羊膜を挟むことになる。)
冷凍保存されいてる移植用の組織バンク羊膜を0,4mg/mlのマイトマイシンに暫時漬け、その後2分生理食塩水で洗って組織に残るマイトマイシンを極僅かになる様に調整する。この羊膜は一部を線維柱帯切除で作る強膜の弁の下に挿入し、一部は強膜に縫い付けて、更にその後方の部分を結膜下に(結膜下に房水の溜まる袋(ブレッブ)を作る予定の部分に広げて)水路を確保した。

3
手術前の平均眼圧は (IOP) 32.2 mmHgミリメートル水銀柱 (範囲は 22から44 mmHg)手術後6-18ヶ月(平均観察期間9.8つき)で 眼圧の平均は16.4mmHg( 11から26mmHgの範囲)。 必要な緑内障点眼薬は術前の2.4種から1.4種に減じる事ができた。壊滅的な合併症は無かった。

4
結論:
羊膜で保護した線維柱帯切除手術は、難治性緑内障の治療法として考えられる手段であり今後のさらなる臨床的な評価が望まれる。

5
Use of amniotic membrane as an adjuvant in refractory glaucoma
Authors: Drolsum, Liv; Willoch, Christian; Nicolaissen, Bjørn

Source: Acta Ophthalmologica Scandinavica, Volume 84, Number 6, December 2006 , pp. 786-789(4)

Keywords: trabeculectomy; amniotic membrane; mitomycin; glaucoma; scar tissue

amunion
(図;胎児、臍帯、胎盤を子宮の中で覆うのが羊膜です)
この方法は、すでに臨床的に安定し、確立されたものというわけではなくて、何回も手術しても眼圧が下がらない場合の最終手段であることをお忘れなく。子供がどの程度これらの症例に含まれていたのかは、この抄録だけではわかりません。

羊膜
羊膜は免疫現象によって排除されないことから眼科でも角膜や結膜の表面がひどく痛んでそのままでは癒着してしまうような場合の移植材料として粘膜の替わりになる従来からしばしば用いられて来たもので、これを組織内に埋め込んで使うというアイデアの様です。

6
ウサギなどの動物での基礎実験もこの3年位前にいくつか出ています。もしどなたかがこの方法を臨床で応用を試みられる際には、原論文に戻って薬剤の濃度や浸漬および洗浄時間などを再確認したうえで慎重に事を進めてください(翻訳者清澤)。

マイトマイシンCを用いた濾過手術はこちらもご覧ください⇒リンク

11少しでも質問を寄せてくださった患者さんのお母さんの参考になったらうれしいですが。

15

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