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2007年12月16日

471 Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群とsticklerスティックラー症候群の眼症状

ピエール・ロバン
とてもゆっくりした水平で振り子状の眼振を持つ乳児が母親に連れられて受診しました。この子供に付けられていた以前の診断はPierre Robin(ピエール・ロバン)症候群だったのですが、最後の某大学の小児科への入院では多少違う診断となっていました。(図はあごが小さいロバン症候群の患者の図、

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この患者さんを拝見するために、①Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群とは どのような疾患なのか?
②私たちはこの眼にどのような異常を探したらよいのか?また、
③Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群には眼振が伴うことは普通なのかを考えて、いつもの”おばあちゃんにも分かる”風に説明をして見ます。

20Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群とは
ピエール・ロバン症候群とは新生児において希に(発生率は3000人に1人とも3万人に1人とも言われる)起こる先天性かつ複合的な疾患です。主な症状としては小下顎症(micrognathia または下顎後退症(retrognathia)) 、舌根沈下(glossoptosis)、気道閉塞(狭窄)です。ピエール・ロバンと診断されず、ただ小顎症と診断されている症例も多い様です。

小顎と口蓋裂
図:ロバン連鎖の小顎と口蓋裂
遺伝が関連しないものは、ひとつの奇形が他の奇形を誘発するとしてピエール・ロバン連鎖(英語ではPierre Robin Sequence)と呼ばれることがあります。
このピエール・ロバン連鎖は母体内が窮屈であったりした場合、胎児が頭を過度に内側に抱え込み、顎の部分が胸に押されて発達が押さえられて小顎になり、さらにそれによって舌が上に巻き込まれる様に伸びて上顎に挿入され、口蓋が閉じるのを妨げるために口蓋裂が起こり、舌根が咽頭部に沈下して気道狭窄が起こる、と一続きの変化が説明されています。(本当にこのような単純な説明でようのか?海外のページでは鰓弓の発生に関連付けて説明したものもあるようですが。:清澤注)(参考ページ http://harahara.net/pr/pr.htm)

24②Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群の、付随的な症状としては軟口蓋裂(cleft soft palate)、近視、緑内症、摂食障害(dysphagia)、チアノーゼ(cyanosis)、不眠症、心房(心室)中隔欠損症、心臓肥大(cor pulmonale)、肺動脈高血圧症(pulmonary hypertension)、動脈管開存症、脳障害、言語障害、運動機能障害などを伴うこともあります。

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この疾患Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群はしばしばsticklerスティックラー症候群との関連で論じられることが多いようです。スティックラー症候群は重度の進行性近視、硝子体変性、網膜剥離、進行性感音難聴、口蓋裂、下顎形成不全、関節の過剰もしくは低可動性、多様な骨端異形成症および関節痛からなっている多様な障害(脱臼やdegeneration)などが比較的多くにみられる、常染色体優性の疾患です。

Pierre Robin(ピエール・ロバン)症候群の子供の眼症状については台湾からの報告があります。それによれば、

26ーー引用、翻訳ーーーー
ロバン異常を持つスティックラー症候群の小児患者における視覚的な合併症
Huang Fほか、Chang Gung記念病院 Kaohsiung医療センター、Chang Gung医科大学 台湾.

背景: ピエール・ロバン連鎖をもっている患者で最も頻繁に合併する診断はスティックラーStickler症候群です。(その症候群は先天的な高度近視とかなりのリスクを伴う網膜剥離の合併症を持っています。) この研究の目的は、著者らが治療しているロバン症候群でのスティックラー症候群の有病率を明らかにし、ロバン症候群ないしスティックラー症候群の小児患者での視覚的な能力を明らかにすることです。

27材料と方法: ロバン症候群またはスティックラー症候群である10歳以下の8人の子供(6人の男性と2人の女性)が、6カ月毎に眼科で経過観察されるように紹介されました。
3人の患者は著者の研究グループから、そして他の5人はその他の口蓋裂を扱う外科医から紹介されました。 眼科で反復的な検査が行われ、それには眼底検査、毛様体筋麻痺薬を使った屈折検査、そして生体細隙灯顕微鏡検査を含んでいます。(これはごく標準的な眼科検査の一式です。清澤注) 明確な眼科学的な検査結果があれば、網膜変性に対するレーザー光凝固術(2例)や網膜剥離に対する手術(3例)が行われました。

29結果: 孤発している口蓋裂が筆頭著者によって確認された新生児91人のうち8人の患者がロバン症候群(ロバン連鎖)でした、そして、このうち、3人がスティックラー症候群でした。このロバン症候群でのスティックラー症候群の有病率は37.5%(3/8)でした。

11著者らが見つけたこの3人の患者と、他の口蓋裂専門の外科医に紹介された追加の5人の、合計8人の16眼での最初の毛様体筋麻痺薬使用下での球面等価の屈折値の平均値は-12.39+/- 2.72ジオプトリ(D)(-18.5Dから-8.75)と強い近視(10歳以下でこの近視は明らかに強い普通は見られない近視です。清澤注)でした。

3この8人の患者では、5人は特に治療を必要とせず、1人の子供は右眼だけに網膜剥離を持っていましたが、2人の子供が左眼に変性があり右目には網膜剥離を持っていました。レーザー光凝固術は、左眼の網膜変性の有る眼で施行され奏効しました。手術は網膜剥離の3眼に施行され、1眼は復位しましたが、2眼では奏効せず4歳と6歳でそれぞれ失明しまし、これらの3人の網膜合併症を示した子供では、1人の子供だけが追跡している期間には視力低下を経験しませんでした。

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結論: 口蓋裂を扱う外科医によるピエールロバン症候群をもつ子供でのスティックラー症候群の早期発見が、近視の検出、網膜剥離の検索には必要です。そして視覚に影響する余病の防止のためには眼科医に早めの紹介をする必要があります。
ーーーーー

1当ブログでの清澤の結論:というわけで、小顎症micrognathiaと眼振nysTAGSmusの合併例の報告は多少有りましたが、ピエール・ロバン症候群に眼振はつき物というわけでは有りませんでした。眼振についてはもう少し成長を待ち視力や屈折も測って、眼鏡あわせやプリズム処方なども考えたいと思います。前眼の形成異常や網膜剥離、緑内障も早期において必要な、除外項目ということになります。

なお、先天眼振に関する項目も併せてごらんください。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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