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2007年11月29日

460 白質ジストロフィーの眼症状とは

“白質ジストロフィー疑い“の2歳の患者さんが眼科に紹介されて来ました。足の力が弱く、この数ヶ月は独り立ちが困難との事でした。視力は森実式近見視力カードで、0,8・0,8と良好。眼位は正位で、眼球運動は全方向に制限なく、眼振も無し。前眼中間透光体および眼底は正常でした。幸い今のところ眼には異常無しです。果たして、眼科医はこの乳児にどのような症状のあるなしを確認することが求められていたのでしょうか?

10The United Leukodystrophy Foundationのホームページhttp://www.ulf.org/whatis.htmlを見ますと、白質ジストロフィーは次のように説明されています。(この白質ジストロフィーは、先に記載した広い意味での白質脳症の一部に含まれる疾患です、443 白質脳症に伴う視覚症状(眼の問題)もあわせてご覧ください。⇒リンク

白質ジストロフィーは、神経細胞を絶縁するミエリン鞘の成長や維持を中断させることによって中枢神経系に影響するまれな遺伝子異常による疾患群です。進行性に悪化する傾向があるの疾患です。しかしながら、この過程には多くの重要な遺伝子があります。 個々の白質ジストロフィーの兆候は、それらの遺伝子的原因の違いでさまざまに異なります。

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しかも新しい白質ジストロフィーは、次々に見つかっています。 最新の情報では34種の白質ジストロフィーが知られています。此処では、最も代表的なMetachromatic Leukodystrophy異染性白質ジストロフィー(MLD)だけについて考えて見ましょう。

13さて異染性白質ジストロフィー(MLD)の兆候には何があるのでしょう。
異染性白質ジストロフィーには発病の年齢で定義される3つの型があります。
異染性白質ジストロフィーの晩期乳児型は、最も一般的であり、1歳と2歳の間に発症します。 一般に、異染性白質ジストロフィー幼児型は4歳と12歳の間で明らかになります、そして、異染性白質ジストロフィー成人型は14歳以降に起こります。
すべての白質ジストロフィーがそうであるように、兆候にはばらつきが大きいのですが、全ての症例に、長期に亘って進む肉体的および知能的な機能の進行性減弱が見られます。 一般に、発症が早いほど、病気の進行は、より急速です。

14晩期乳児型異染性白質ジストロフィー
明らかに通常な成長の一区切りを経た後に、歩行や会話などの技術が悪化し始めます。 臨床的兆候がいったん見え始めると、症状の安定する時期と進行する時期を交えて、それらはしばしば数カ月の間急速に進行します。子供は結局、ベッドに寝たきりになり、話すことが出来ず、一人で食べることもできなくなります。 この段階では痙攣があるかもしれませんが、それはいずれ消失します。 筋の拘縮がしばしば見られ、これは患者には苦痛です。

15子供はまだ両親に微笑んで、応じることができますが、やがて盲目で無反応の状態になるかもしれません。 そして飲み込むのが難しくなり、経管栄養が必要になります。 現代の治療とケアで、子供は5-10年間生き残る事が期待できます。 一般に、死は異染性白質ジストロフィーの直接の結果では無く、肺炎などの感染の結果として起こります。 遭遇するかもしれない他の兆候を以下に記載します。

21o発育遅延
o低緊張: 筋肉の正常な緊張の減少
o内斜視
o精神運動性の退化
o不器用
o痙縮: 増加する腱反射
o眼振(眼球振盪): 異常な目の振動の一型
o筋力低下
o会話能力の低下
o痙攣
o運動失調: 筋肉運動を調整する能力の損失
o四肢麻痺: 首から下の麻痺

22○若年型異染性白質ジストロフィーJuvenile MLD
一般に4-12年の間におきます。学齢期の初期に、症状が明らかになります。そして、一般に運動能力と学業成績の低下が起こります。(以下略)

 

24○成人型異染性白質ジストロフィーMLD
最初の兆候は14歳くらいと早期であるか、50歳まで遅れて事が起こる事があります。通常、初期の症状は性格の変化、職務遂行能力の低下、そして情動の不安定化です。
(以下略)

31今後この患者さんは、主治医の手で神経に蓄積する物質の分析や遺伝子の解析によって先にあげられた31種の白質ジストロフィーの何れであるのかが決定されるでしょう。その際には再度その疾患に関連した報告のある症状をチェックすることが出来ます。

しかし、とりあえず頻度も多いと考えられ、この患者さんの症状とも合う後期乳児期型の異染性白質ジストロフィーを考えるならば、眼科でその症状の有無を検査することが求められていた眼の症状は、眼振の有無と内斜視の有無ということになります。そして更に症状が進めば視神経レベルかその先の視路レベルかはわかりませんが実際に盲と呼ばれる事態も起こりうる様です。
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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