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2007年11月27日

455 脳硬膜海綿静脈洞瘻と外傷性内頚動脈海綿静脈洞瘻の眼科診断

脳硬膜海綿静脈洞瘻と外傷性内頚動脈海綿静脈洞瘻は眼球の周りに欝血を起こし静脈還流も悪化させて眼科を複視や眼球突出等を主訴に訪れることのある疾患です。眼科医が治療の主導権をもつわけではありませんが適切な診断を行って脳外科などに早急に患者を渡す必要のある疾患です。これも米国眼科学会の疾患取り扱いマニュアルの翻訳案です。
当ブログ内の関連項目
42 海綿静脈洞部の脳硬膜動静脈奇形⇒リンク
138, 赤眼短絡症候群、(carotid-cavernous fistula, CCF,頸動脈海綿静脈洞瘻)⇒リンクもご覧ください。

ーーー引用開始ーーー

脳硬膜海綿静脈洞瘻と外傷性内頚動脈海綿静脈洞瘻

I. 診断を確立するアプローチを説明します

A. この病気の病因について説明します
1. 直接型(外傷、海綿静脈洞に破裂した内頚動脈瘤、弾性組織病)と 間接型(自然発生的で、年配者に見られる)があります

B. 病気の疫学的側面を説明します
1. 直接型の頚動脈海綿静脈洞瘻(CCF) の80%は外傷性です
2. CCFの大多数は、間接型であって、ゆっくり進行しま

C. 病歴の重要な成分を記載します
1. 頭痛と眼窩部痛
 2. 眼窩の雑音
 3. 眼球突出
 4. 結膜充血(上強膜血管の動脈血化)
 5. 視力減退、複視、眼筋麻痺
 6. 眼圧の上昇
 7. 脈圧を増加
 8. 網膜出血、乳頭浮腫

D. 診断を確立するために適切な検査について説明します
1. 良い頭部コンピュータ断層撮影法(CT)か磁気共鳴イメージ(MRI)を用いても見逃されることがあります
 2. 眼窩部のCTかMRI上に現れる拡大した上眼静脈
 3. CTアンギオグラムや磁気共鳴血管造影(MRA)でもそれを見逃すことがあります。MRAの源画像がしばしば役に立ちます。
 4. 従来の血管造影は今でも標準的な診断法です。CTとMRIが否定的で臨床像からこれが疑われるときには行われます。それ以外では治療が予定されているときだけ行います
 5. 超音波検査では筋肉の太さと上眼静脈の太さを算定することができます。

II. 危険因子を定義します

A. 外傷
B. 妊娠
C. 高血圧
D. 弾性繊維病
E. 海綿静脈洞動脈瘤

III. 鑑別診断を記載します

A. 眼窩突起
1. 甲状腺眼症
2. 眼窩筋炎
3. 腫瘍

B. 海綿静脈洞血栓症か海綿静脈洞への浸潤性病変/新生物/感染

C. 慢性の眼瞼結膜炎

IV. 治療と経過観察での患者の取り扱いを説明します。

A. 内科的処置の選択肢につい説明します
1. 角膜の露出を治療します
2. 眼圧の上昇を治療します。
3. 複視を治療します
a. 片眼遮蔽
b. プリズム
  c. 安定しているときは、斜視手術も考えます

B. 外科的治療の選択肢について説明します
1. CCFの血管内手術
2. 外科的な手術は血管内手術が有効でなかったときのみ行います

C. 治療の適応
1. 絶対的適応
a. 大脳皮質静脈の導出
b. 進行性の視神経障害がある
2. 相対的適応
a. 強い眼痛
b. 強い結膜浮腫/露出性角膜障害

V. 治療の合併症、その予防および管理を記載します
A. 動脈瘤、脳卒中、再発、複視を伴う脳神経麻痺

VI. 元の病気に関連した合併症ついて説明します。

A. 視力障害(角膜の露出、角膜の浮腫、緑内障、静脈鬱滞網膜障害、硝子体出血、増殖網膜症、視神経症、滲出性網膜剥離、脈絡膜剥離)
B. 複視
C. 難治性の疼痛
D. 頭蓋内出血

VII. 適切な患者への指示を述べます
A. 診断と治療を目的に、血管内手術を行う放射線科医か脳外科医に紹介します
B. 眼科としての経過観察は眼合併症に対して行います

追加の情報源
1. AAO, Basic and Clinical Science Course. Section 5: Neuro-ophthalmology, 2004-2005.

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引用終了

日本眼科学会では米国眼科学会から版権を取得して、米国における各眼科関連疾患の取り扱いの基準を日本語に翻訳する作業を進めています。そのうち神経眼科に関連する部分の翻訳の一部は日本神経眼科学会を通じて依頼を受け、清澤が担当して進めました。その翻訳原案の一部をこのブログに記載します。ここでは単語を補ってなるべく分かりやすく記載するように勤めますし、原稿が更に加筆されますので今後印刷されるものとは詳細が異なります。
その第5項目がこの”脳硬膜海綿静脈洞瘻と外傷性内頚動脈海綿静脈洞瘻の眼科診断”です。

このブログのなかにある脳硬膜動静脈奇形の項目も併せてごらんください。

何かと参考になれば幸いです。翻訳上の難点などお気づきの点がありましたらコメント欄にお教えください。

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今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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