お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2007年11月27日

453 脳血管疾患の眼科での診断(翻訳原案)

脳血管障害は脳の血流が悪化し、視野欠損等を主訴に眼科を訪れることのある疾患です。眼科医が治療の主導権をもつわけではありませんが適切な診断を行って神経内科などに早急に患者を渡シ、視野の予後などを的確に説明する必要のある疾患です。
これも米国眼科学会の疾患取り扱いマニュアルの翻訳案です。

ーーー引用開始ーーー

脳血管疾患

I. 診断を確立するのに適切なアプローチを説明します。

A. この病気の病因について説明します
1. 虚血性と出血性
2. 動脈性と静脈性
3. 虚血であるなら: 塞栓性か血流動態性(低潅流)か
a. 塞栓性: 動脈から動脈への塞栓か、心臓に源のある塞栓か
b. 血栓症
c. 血流動態性: 不十分な側副血行
4. 出血性なら: 脳実質内か、くも膜下か、硬膜下か、硬膜上か

B. この疾患の疫学的な側面をのべます
1. 通常はアテローマ病を持ち年配者です
2. 若年者では動脈乖離を考えなさい

C. ありうべき病歴を記載します
1. 急性の神経学の障害または視力障害
2. 単眼の視力障害であるなら、同側の頚動脈領域の眼の乏血を示します
 3. 両眼の視力障害であるか同名半盲なら、頭蓋内で視神経交叉より後方での頚動脈か椎骨脳底動脈の領域での傷害を示します
4. 出血性卒中で頭痛は一般的です
5. 頭痛は、動脈乖離でも、椎骨脳底動脈梗塞でも、静脈疾患でも一般的です
6. 血圧、動悸
7. 巨細胞性動脈炎も検索します

D. 診断を確立するための適切な検査について説明します
1. 網膜虚血であるなら: 散瞳して塞栓を探します、蛍光眼底撮影もします
2. 緊急に造影なしで頭部CTをとります
3. 造影無しの脳MRIと拡散強調画像が理想的ですが、いつも利用可能なわけではありません。
4. CTアンギオと磁気共鳴血管造影(MRA)は頭蓋内と頭蓋外の循環を評価するのに使えます
 5. 頚動脈と脊椎動脈の超音波検査それに経頭蓋ドップラーは緊急時に使えるならば非常に役に立ちます
6. 従来の血管造影は、手術前か脳卒中専門の神経科医によって施行が決定される特殊な場合にのみおこなわれる
7. 心臓の評価、心電図
8. 経食道的なエコー検査は心臓と基部に近い大血管のアテローマ検索のためにつかわれます
9. 心臓血管リスク要素を評価します
10. 患者が年配であるなら、巨細胞性動脈炎を探しますか?赤血球沈降速度、C反応性蛋白、血算、血小板数を年配者の一時的な視力障害では調べます
11. 重い頚動脈の閉塞性疾患であるなら眼虚血症候群を探します

II. 危険因子を定義します

A. アテロームは最も一般的な脳血管疾患の原因: 年齢、高血圧、タバコ、高脂血症、糖尿病、高ホモシスチン血症、肥満
B. 心臓病
C. 凝固能亢進状態

III. 鑑別診断を記載します。

A. あらゆる急性であるか変動している神経学的疾患(多発性硬化症、偏頭痛、痙攣)
B. 一時的な単眼の視力障害が血管障害の機序で起きていると推定したなら: 視神経乳頭の先天異常からの一時的な視野のボケ、眼窩腫瘍、亜急性の隅角閉鎖、ドライアイ症候群、円錐角膜、前房出血、漿液性網膜剥離

IV. 治療と経過観察における患者管理について説明します

A. 薬物療法の選択肢について説明します
1. 抗凝血剤の適応は急性のものに僅かにあるだけです
2. 抗血小板薬の適応は通常は急性期のみ
3. もし最初の3時間以内に診察していれば、血栓溶解療法を考えます
4. 二次的な脳血管障害の防止
5. 血管の危険因子を扱う罹りつけの医師による評価

B. 外科的療法の選択肢について説明します
1. 頸動脈血管内膜切除術、(患者が症候を持っているか無症候性であるかによって、また患者が大脳半球に卒中を起こしたのかそれとも片方の眼に循環障害を起こしたかによって、その適応が変わる。北米有症状血管内皮切除術トライアル)
2. 内頚動脈または椎骨動脈の血管形成術ないしステント

V. 脳血管疾患治療の合併症、その防止、および管理を記載します

A. 血栓溶解、抗凝血剤、および抗血小板薬
B. 手術 (直接に脳血管障害に関連したものと、卒中や心筋梗塞と関連したものがある)

VI. 病気に関連した合併症について説明します

A. アテローマのその他の存在部位(冠動脈疾患)や、末梢動脈の病変
B. 目の血栓では視力を失う
C. 眼虚血症候群

VII. 適切な患者への指示について説明します

A. 二次的障害の
B, 脳卒中専門の神経科医への紹介
C. 一時的な虚血発作ないし一時的な視力障害であるなら、神経学医師に相談します。

追加の情報源
1. AAO, Focal Points: Neuro-Ophthalmic Complications of Cardiac Surgery, Module #6, 2001.
2. AAO, Basic and Clinical Science Course. Section 5: Neuro-ophthalmology, 2004-2005.
3. Rothwell PM, Eliasziw M, Gutnikov SA, et al. Analysis of pooled data from the randomised controlled trials of endarterectomy symptomatic carotid stenosis. Lancet. 2003;361:107-116.
4. Rothwell PM, Effective stroke prevention in patients with symptomatic carotid stenosis. Cerbrovasc Dis. 2004;17(S1):89-104.

ーーー引用終了ーーー
引用終了

日本眼科学会では米国眼科学会から版権を取得して、米国における各眼科関連疾患の取り扱いの基準を日本語に翻訳する作業を進めています。そのうち神経眼科に関連する部分の翻訳の一部は日本神経眼科学会を通じて依頼を受け、清澤が担当して進めました。その翻訳原案の一部をこのブログに記載します。ここでは単語を補ってなるべく分かりやすく記載するように勤めますし、原稿が更に加筆されますので今後印刷されるものとは詳細が異なります。
その第3項目がこの”脳血管疾患の眼科での診断(翻訳原案)”です。

何かと参考になれば幸いです。翻訳上の難点などお気づきの点がありましたらコメント欄にお教えください。

9
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
管理頁
清澤眼科医院通信最新ページへ(リンク)します

Categorised in: 未分類