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2007年11月23日

447 皮膚科疾患と目 (ベーチェット病などの話題)

17またまた、打倒 眼と視覚の不定愁訴・不明愁訴という易しく読める眼科医むけの本の続巻を作ろうとして挌闘を続けています。 (管理頁

ぶどう膜疾患を専門とする岩永洋一先生がそこに皮膚疾患と眼の原稿を寄せてくださいました。専門医の視点で見たやや専門的な意見として皆さんの参考になると思いますので、皆様にも供覧いたします。(岩永先生も御了解ください。)

16読者の目を休めるために相川さんの花の写真を挟みます。

このブログに私がすでに書きましたベーチェット病の記事(2006年07月17日 124 ベーチェット病とは ⇒リンク)やアトピー性皮膚炎と眼の記事(2006年02月13日47 アトピー性皮膚炎に伴う眼の症状⇒リンク)2007年11月06日 436 アトピー性皮膚炎の眼合併症 (健康教室683より) ともあわせてご覧ください。

引用開始ーーーー

皮膚科疾患と目

161.はじめに
皮膚科疾患に眼症状が合併するケースは日常の診療において非常に多い。そのなかで、もっとも頻繁に接するのはアトピー性皮膚炎の患者であろう。本邦の罹患者は、約1200万人と推定されており、さまざまな眼症状を呈する。代表的なのはアレルギー性結膜炎であるが、ほかに角膜炎、白内障、円錐角膜、網膜剥離などを合併する。白内障の合併頻度は文献によって多少異なるが、約5%~25%と報告されており、また網膜剥離は約1%~11%である。そのため、前眼部から眼底までの精査が必須である。

15また、粘膜に障害をきたす皮膚科疾患では、結膜も同時に障害されうる。天疱瘡や類天疱瘡といった水疱性疾患に代表される。

天疱瘡は、皮膚粘膜の上皮内に水疱を形成する自己免疫疾患であり、40代50代に好発する。眼には偽膜性結膜炎を呈する。

一方、類天疱瘡は、上皮基底膜下に水疱を形成する自己免疫疾患であり、高齢者に好発する。眼所見は、カタル性結膜炎で発症、次第に瘢痕化し、眼瞼結膜癒着へと進行する。いずれの疾患も皮膚科でのステロイド全身投与と、眼局所でのステロイド投与で治療する。

13眼病変を呈する皮膚科疾患のうち遺伝性のものには、色素失調症、弾力線維性仮性黄色腫、Werner症候群、Sturge-Weber症候群、結節性硬化症などが挙げられるが、いずれも頻度はまれであり、ここでは詳述しない。

 上述の疾患はいずれも皮膚科で診断がついてから眼科に紹介されることがほとんどであり、皮膚科からの紹介状を見るだけで眼科精査のポイントが絞れるため、本書の対象とするところではない。ここでは、眼科愁訴がはっきりしないために皮膚科で漫然とフォローされていた粘膜・皮膚・眼症候群の一例につき症例呈示する。

92.症例呈示(症例)29歳、男性。以前よりにきびが多く、皮膚科にて毛嚢炎としてフォローされていた。また以前から、かみそり負けしやすく、皮膚科では敏感肌と言われていた。さらに上肢や下肢に紅斑が出現することもあったが、自然に消失していたため放置していた。また、口内炎も数ヶ月に一度の頻度で出現していた。

81年前からときどき目がかすむことがあったが、数日で自然軽快していた。ところが3日前より右眼が急に見えにくくなったため、近医眼科受診した。ぶどう膜炎と診断され、大学病院へ紹介された。
初診時視力は右眼0.04(0.08)、左眼0.1(0.9)。眼圧は右眼12mmHg、左眼16mmHg。前眼部、中間透光体は、右眼角膜fine KP、前房cell4+ flare3+、左眼前房cell1+ flare1+。隅角鏡では右眼下方にわずかに前房蓄膿を認めた。右眼眼底には網膜出血、軟性白斑が散在し、視神経乳頭発赤腫脹、黄斑浮腫も認めた。左眼眼底には網膜出血を認めた。

73.鑑別診断
  蛍光眼底造影を施行。両眼の網膜毛細血管からのシダ状の蛍光漏出といった特徴的な造影所見から、皮膚症状と併せてベーチェット病が疑われた。経過中、陰嚢に潰瘍が出現したため、皮膚科へ紹介。ベーチェット病による外陰部潰瘍と矛盾なく、完全型ベーチェット病と診断した。

15視力低下を伴う非常に強いぶどう膜炎の出現によって眼科にてベーチェット病と診断され、漫然とフォローしていた皮膚病変の原因が明らかとなった。その後、膠原病内科に紹介、コルヒチンの内服を開始し、その後皮膚・粘膜症状の出現頻度は低下した。

しかし依然として眼炎症発作を繰り返していたため、シクロスポリン内服も開始するに至った。その後、眼炎症発作は比較的良好にコントロールされている。
 
14.考察
  20代、30代の男性に前眼部から眼底の繰り返す眼炎症発作を診るとき、その炎症発作が軽微なものであってもベーチェット病を鑑別のひとつとして忘れてはならない。本症例では以前より、眼炎症発作を繰り返していたとみられるが、自然寛解したため眼科には受診していなかった。本来はその時点でベーチェット病の鑑別のため皮膚科医からの眼科紹介があってしかるべきであったであろう。

2眼科所見とともに肝要なのは問診であり、反復する両眼性の汎ぶどう膜炎に加えて上記のような特徴的な粘膜・皮膚症状があれば本症例のように診断に導かれる。4主症状(ぶどう膜炎、口内炎、外陰部潰瘍、皮膚症状)がすべて認められた症例は完全型と分類され、4主症状中3主症状あるいは2主症状と2副症状が認められる症例は不全型と分類される。

4現在でも失明に至るベーチェット病患者は多く、4主症状のうちでも眼症状こそがその若い患者の長い将来のQOLに直結するため、眼科医に課せられた使命は大きい。炎症発作を繰り返すことで視神経萎縮と網脈絡膜萎縮が進行し失明に至るため、炎症発作を起こさせないことが本疾患の治療の主眼となるが、現在の治療ではなかなか完全にコントロールすることはできない。そのため炎症発作が起こった際に、迅速に必要十分な量の薬剤投与により消炎を図ることが肝要となる。

6
これまでレミケード(抗TNF-α抗体)は関節リウマチやクローン病などの慢性炎症性疾患に用いられ、消炎に非常に有効であることが示されている。このレミケードをベーチェット病へ応用した臨床治験が施行されたが、治療成績がたいへん良好であった。そのため2007年にベーチェット病への適応が認められ、今後の治療に大いに期待されている。

東京都保健医療公社 東部地域病院眼科 / 東京医科歯科大学眼科 岩永洋一
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引用終了
少し専門的では有りますが参考になればと思います。
(清澤)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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