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2007年11月21日

445 硝子体除去後の水(液体)について

[硝子体除去後の水(液体)について その1] 患者の気持ち質問箱に寄せられたサンリオママさんからの相談  

硝子体切除
(図:硝子体手術では、水を入れるインフュージョン、硝子体切除をするカッター、そして光を入れるライトガイドの3つが眼に入ります。)
質問
硝子体手術後についてご質問させていただきたいのですが、硝子体を取り除いた後 水(のようなもの)に置き換わるというような説明を主治医から受けたのですが、房水と考えてよろしいのですか? その水は日々新しいものに循環されているのでしょうか? 

17半年前に手術を受けて経過も良く趣味のスポーツも再開して楽しんでいるところです。若干 手術をした方の眼に白内障が出ているのですが 日常生活に支障はなく手術も必要は無いとの診断です。眼の中での房水の流れ(あるべきはずの硝子体が無い場合、水がどのように満たされて その後排出されていくのか)をご説明いただけますか? お忙しいところ申し訳ありません。

お答え
硝子体と房水
(図:手術前のこの図では、左側に硝子体があり、レンズの上下に後房が見えています。)
硝子体切除術後の眼球内の液体の流れは?という質問ですね。
眼球の中央部分はゼリー状の硝子体(しょうしたい)と呼ばれる物質で満たされています。網膜剥離や硝子体出血で行われる硝子体切除術ではこれを切り取って、生理食塩水(厳密には多少成分は違うのですが)に置き換えています。 この空間はその前方に本来存在する後房と呼ばれる水のたまった部分に境目無くつながっていますので、硝子体が入っていた空間(硝子体腔)はこの後房にある房水によって置き換えられていると考えられます。(いったんエスエフシックスなどの特殊なガスで満たした後この吸収を待って液体に代わるのを待つ場合も有ります。)

房水流
(図:正常の房水の流れが矢印で示されています。これは、有名なアメリカ眼科学会の教育用スライドの一部です。)
この房水は特有な流れをすることが知られています。まずその産生は毛様体の上皮から分泌されます。毛様体はレンズ(水晶体)を吊っている細い糸の束が出ている部分の筋肉で、眼球の前方内側で虹彩(眼の正面から見て茶色に見える茶目)の陰に有り、一回りのドーナツ状の形をしています。 

毛様体の主な働きはピントを合わせる筋肉作用ですが、その表面には眼内に栄養を与えるため常に新鮮で栄養と酸素の多い房水を一定の圧力で産生するという働きもあるのです。

16分泌された房水はいったん虹彩の後ろの後房と呼ばれる空間に貯まります。
次に、此処毛様体から分泌され後房にたまった房水は、レンズの周りを前方に流れて、瞳孔(瞳、黒目です)の中を後ろから前に流れ出て、前房に達します。前房というのは、先に出てきた虹彩の前にあって透明で眼球の前面を形成する角膜の後ろの空間です。

開放隅角
角膜の周囲の白目(医師は強膜と呼びます)と接する部分、つまり前房隅角には、この房水を吸収してリンパ組織に誘導するシュレム管(Schlemm’s canal)という一回りのドーナツ状の構造物があります。房水はそこに流れ込み、リンパ管を経て眼の周りの静脈へと戻ってゆきます。

もともと、硝子体は流動性のないゼリー状のもので、細胞成分もあまり多くない構造ですが、硝子体手術の後では細胞も無くなって、液体が入った後房と境目無く接して居ますので、この房水によって置き換えられ、循環してているだろうというのが私の説明です。

[硝子体除去後の水(液体)について その2]

16質問:
先日 相談させていただき早急にご回答を賜り 誠にありがとうございました。大変判り易く拝読いたしました。

先日も少し触れた白内障についてですが 例えば 見え方を一つの円とすると 4分の3はクリアなのですが 鼻寄りの下4分の1の部分に軽い霞み(少々ぼやける)がみられます。それがなんとなくなのですが日々薄く(見えやすく)なっているように思われます。情報によると一度濁った水晶体は戻らないと知りましたが 徐徐に薄くなっていくなどという事があるのでしょうか?お礼を差し上げるつもりが またまた質問になってしまいました。申し訳ございません。 

15お答え:
質問歓迎です:水晶体の上半分がにごっているから視野の下半分が見えにくいとかといった、視野と水晶体の混濁部位の対応があることは無いはずです。
視野の一部にぼやけがあるならば、其れは硝子体の対応した部分に濁りが偏在しているか、または網膜の一部に浮腫などがあって其れが視野欠損に対応しているはずと考えます。

15
ーーーーーー
と、硝子体切除後の硝子体部分の水の流れについての質問にお答えしました。硝子体手術を受けた患者さんや、今後受けようという患者さん参考になればと思います。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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