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2007年11月20日

444 黄斑上膜epimacular membrane

黄斑上膜epimacular membrane

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打倒 眼と視覚の不定愁訴・不明愁訴という易しく読める眼科医むけの本の続巻を作ろうとして挌闘しています。

網膜硝子体診療を専門とする堀江真太郎先生がそこに黄斑上膜の原稿を寄せてくださいました。専門医の視点で見たやや専門的な意見として皆さんの参考になると思いまっすので、皆様にも供覧いたします。(堀江先生も後了解ください。)

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このブログに私がすでに書きました黄斑上膜の記事(2006年12月25日 241 網膜前黄斑線維症、網膜前線維症、網膜前膜、(黄斑上膜、マクラパッカー) ⇒リンク)や黄斑円孔の記事(2007年01月27日 267 黄斑円孔の治療⇒リンク)とあわせてご覧ください。

ーーーーーー引用開始ーーーー

黄斑上膜epimacular membrane

10 黄斑上に膜組織が見られる場合を総称し黄斑上膜とされ、セロファン黄斑症や、黄斑パッカー、premacular fibrosisなどの様々な類似の呼称がある。 黄斑上膜は主として細胞成分とコラーゲン繊維により構成されており、特発性黄斑上膜の発生機序の一つとして、後部硝子体剥離後の残存硝子体皮質に加え内境界膜の欠損によるグリア細胞の増殖も関与しているとされる。

ERM

また後部硝子体剥離の完成していない眼における硝子体黄斑牽引症候群  vitreomacular traction syndrome は、後部硝子体皮質の黄斑部の接着と収縮によるもので病態はやや異なるものもいわゆる“黄斑上膜”といった場合の疾患概念に混在している。

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さらに続発性黄斑上膜の構成成分は原疾患によって様々で、網膜裂孔や増殖硝子体網膜症に伴うものは網膜色素上皮細胞であり、増殖糖尿病網膜症における繊維血管増殖やサルコイドーシスなどの炎症眼疾患に伴うものとはそれぞれ性状は異なる。黄斑上膜は主として黄斑部を接戦方向や膜の中心への求心性に牽引し、OCTでは黄斑部網膜の肥厚、中心か反射の消失、視細胞層の分離、嚢胞形成を認める場合が多い。

8 患者の自覚症状の程度はさまざまで、視力低下や変視、歪視などがない場合も多い。手術治療の適応を決める際は、症状、視力低下(少数視力で2段階以上の視力の低下がみられる等)、視機能の要求度、年齢、全身状態などが総合的に考慮される。他の疾患による黄斑部の障害があり視力向上の可能性がない場合は適応とはならない。

術前の視力が良いほど術後の予後が良いことはよく知られており、罹病期間も重要視されるが10年以上経過したものであっても軽微な牽引によるものの場合視力が向上する場合があるといわれている。また、たとえ手術後に視力は改善しても変視が残る場合は多く、術後の患者の満足度がかならずしも高くないことも多い。

8このため手術の適応判断は比較的難しく、治療このため手術のタイミングについての確固とした定見は未だないものと思われる。最近は精度の高いOCTが開発されており、視力だけでなく黄斑の変化を注意深く経過観察することも手術のタイミングを決める上でも重要な要素となるであろう。

診断においては、自覚的な検査法としてのアムスラーチャート、M-Chartなどが有用とされている。簡便な方法であり必須のものであろう。

6OCTは最近の第3世代、さらにフーリエドメインOCTに至るまで開発進歩がめざましく、様々な黄斑部疾患における病態の解剖学的に新たな知見が明らかにされつつある。

 治療は硝子体手術によるが、技術的な面では従来の20ゲージシステムよりも小ゲージ手術の良い適応と考えられており、25ゲージ、23ゲージで結膜を切開することなしに行われる症例が飛躍的に増えている。また硝子体切除せずに硝子体セッシのみで膜剥離のみ行う手法もおこなわれている。

5小ゲージ手術の導入による手術時間の短縮や、周術期の負担軽減により黄斑上膜の手術が以前より行われやすい環境になっているが、かならずしも適応拡大の理由とはならないことに注意したい。

3また以前より議論が尽きないことであるが、術後の再発防止や変視の改善に有利であるという理由から内境界膜剥離を併用するべきであるか否か、その場合も内境界膜をICGで染色してかまわないのかあるいはトリパンブルーやトリアムシノロンを使用したほうが良いのかという問題も未だ結論は出ていないように思われる。

2症例
58歳男性
飛蚊症を自覚し、近医を受診し網膜裂孔を発見された。後部硝子体剥離に伴って網膜格子状変性、顆粒状変性から生じ、周囲に網膜剥離を伴わない合計3カ所の裂孔に対して光凝固術を施行された。施行1ヶ月後の外来で、裂孔周囲の光凝固斑は瘢痕化していたが、矯正視力は(1.2)から(0.6)まで低下しており、変視、歪視の訴えがみられた。検眼鏡的に黄斑部に膜組織が認められ、OCTにて網膜の肥厚がみられた。患者に治療の希望があり、25ゲージ硝子体手術による膜剥離、ILM剥離を行い視力は術後3ヶ月で(1.0)に回復した。

1解説
本症例は網膜裂孔に伴った続発性の黄斑上膜である。網膜剥離を生じていないが複数箇所の裂孔があり、散布された網膜色素上皮細胞も比較的多かったものと思われる。このように、網膜裂孔に続発する黄斑上膜の場合、複数個の裂孔や裂孔が大きいもの、網膜剥離を伴っていたものに多い。また逆に黄斑上膜を発見した場合は、かならず周辺部に裂孔がないかに注意を払うべきである。

Reference

Steve Charles : vitreous microsurgery fourth edition, Lippincott Williams & Willkins
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引用終了

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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