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2007年11月10日

438 家族性滲出性硝子体網膜症は何%が失明するか?

家族性滲出性硝子体網膜症(清澤眼科医院通信108)のコメント欄から

15家族性滲出性硝子体網膜症は確率的に何%で失明してしまうのでしょうか??
また、高齢出産で生まれた子どもが家族性滲出性硝子体網膜症になることはあるのでしょうか?
という切実な質問をいただきました。

14お答え:難しい質問ですがお答えしてみます。
当ブログの家族性滲出性硝子体網膜症の頁も併せてご覧ください。

FEVR.netというサイトを参考に調べてみました。その中に、この疾患FEVRの予後という項目がありました。そこに引用されていた論文を紹介します。

13少し古いですが、アメリカ眼科雑誌という有力な雑誌(脚注参照)のなかに(Am J Ophthalmol 1991 Jan 15;111(1):34-41)FEVRの兆候と合併症という論文が出ています。(原論文は血液凝固にも言及してますがこれは省略)

この著者オランダ人のvan Nouhuys CE.によれば、16家系106人の家族性滲出性硝子体網膜症FEVR患者が調べられていて、内5人は家族発生がない弧発例だったといいます。

12家族性滲出性硝子体網膜症FEVRの合併症としては、後部網膜の襞状の変形、硝子体出血、網膜剥離があります。170眼のうち網膜血管新生が18眼(11%)、網膜浸出物が16 眼(9%). さまざまな形の網膜剥離が180眼中の37眼(21%)に見られましたが、その治療結果は不良だったといいます。鎌状の網膜ひだは14 眼 (8%)に有りました。

網膜剥離の手術は14眼で行われましたが、7例のみが復位したとされています。しかし、別のテキストには、患者の予後は症例ごとに全く異なるので確率では論じられないという記載もあります。

11これらをまとめて私が勝手なコメントをすれば、(この時代には、今ほど硝子体切除術の技術が進んでいませんから、今の成功率はこれよりは良いでしょうが、)網膜剥離に至るのは家族性滲出性硝子体網膜症FEVRの約20%で、網膜復位率が50%というのがおおよそのアウトラインといってよさそうです。そうすると残念ながら眼の数で言って凡そ10%くらいが失明することになります。

この網膜剥離のほかにも家族性滲出性硝子体網膜症FEVRには緑内障や白内障など網膜剥離以外の合併症も起きることが記載されています。

6 この疾患は、3種の異なった遺伝形式で遺伝しますが基本的に親からの遺伝子で発生するものです。ダウン症候群などのように高齢の出産で多くなる類のものではないと考えられます。(清澤)

5脚注:Bosley TM, Kiyosawa M, Moster M, Harbour R, Zimmerman R, Savino PJ, Sergott RC, Alavi A, Reivich M.
Neuro-imaging and positron emission tomography of congenital homonymous hemianopsia. Am J Ophthalmol. 1991 Apr 15;111(4):413-8. 私も共著の”先天性半盲”論文が同誌の同年4月号に載っています。Bosley先生の世話になり、米国で勉強した楽しかりし日のセピア色の思い出です。

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