お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2007年11月5日

434 大脳障害による眼球運動異常

今日の眼疾患治療指針第2版大脳障害による眼球運動異常 清澤源弘 
(今日の眼疾患治療指針第2版の原稿を書き下したものです。)

11概念:
眼球運動の発生に関連する大脳皮質領域は、前頭葉の前頭眼野と頭頂後頭側頭葉の連結部分にある後頭眼野とです。これらの部分と脳幹の眼球運動中枢である傍正中橋網様体(pontine paramedian reticular formation, PPRF)とを結ぶ経路が傷害されれば特有な核上性の眼球運動障害が発生します。

101. 説明:
古典的な説明では、前頭眼野は前頭葉の外側面にあるBrodmann8野にあり、眼球の反対側への衝動性眼球運動を駆動しています。このため、前頭眼野の麻痺性障害では患側をにらむ方向への共動偏視が発生し、刺激性病変では病巣と反対側への共動変視が発生します。

また、後頭眼野は後頭葉外側面の上前の端当たりにあるBrodmann19野にあって、眼球の同側への滑動性追従運動を駆動します。このためこの部分を含む病変では病巣と同じ側への滑動性追従運動が冒されるので、この眼球運動に視標追従の遅れを生じます。この結果その遅れを補うための衝動性眼球運動の混入がみられて、階段状の眼球運動を呈するようになります。

大脳皮質のおのおのの部分の障害ばかりでなく、中脳付近に病巣が存在する症例では皮質と脳幹を結ぶ経路が冒されて、眼球の共動運動が損なわれる場合も見られます。

症状:
共動性眼球運動が侵される大脳性の病態としては先天性眼球運動失行とBarint症候群が代表的です。

8先天性眼球運動失行:先天性の眼球運動失行症congenital ocular motor aplaxiaは、水平性の眼球の衝動性の動きと滑動性の動きが共にないことを特徴とします。

このことは大脳皮質に原因がある“失行“があるわけではなくて、むしろ大脳との連絡の障害で先天的な眼球運動の急速相の欠如、または先天的な側方注視の麻痺と呼ぶべきものの存在が推定されます。

思う方向に眼を動かせないにもかかわらず、この疾患では眼筋の麻痺とは違って眼振の急速相や体を回したときに平衡感覚によって眼が正面に残る運動などを利用して眼球を動かすことが出来るのです。

7後天性眼球運動失行:正常に生まれ育ってからある時期以後で起きるという意味での後天的な眼球運動失行は両側の大脳半球の、殊に前頭葉から側頭葉の病変でおきます。臨床的に特徴があり注目されるバリント症候群は、広範囲な両側性(頭頂・後頭葉)疾患に伴って見られ、全方向への随意性急速眼球運動と追従運動の欠如がありますが、前庭性運動は残っています。

またこの疾患はしばしば認知症と視野異常を合併する事が知られています。その3主徴は、

精神性注視麻痺; 眼球の動きに制限はないのに、患者の目の前で検者が示した指先への注視運動が出来ず、視点が定まらない。

視覚失調;凝視した物をつかもうとしてもずれてしまう。

視覚性注視障害; 音などの刺激には正常に反応するのに、注視しているもの以外に新しく視野に入ってくる対象に注意が払われない、というものです。

6診断:
眼科の医師は、患者の眼球運動の特徴を見て大脳に原因のある眼球運動障害を推定し、CTやMRI
画像を見て其の診断を確認すると良いでしょう。

大脳性の眼球運動障害は脳血管障害や脳に関連した外傷の経過における一時期のみに観察される場合も少なくないので、其の診断にはそれぞれの眼球運動の特徴を知って患者を観察する必要があります。

53.治療
治療指針:基本的には眼科医はベッドサイドで眼球運動を観察し、脳外科医や神経内科医など其の患者の治療に当たる医師の方針決定の助けとなる情報を提供します。

具体的治療法:眼科としての特異的な治療法は無いですが、視覚に関連した中枢神経系の欠落症状に対してはそれに対応したリハビリテーションがありますのでリハビリテーション医との連絡を保つことも必要です。

124予後:
予後は現疾患に依存しますので、一般的な予後は予測できません。

4今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
管理頁
清澤眼科医院通信最新ページへ(リンク)します

携帯SEO
今日:
昨日:
相互リンクページ

Categorised in: 未分類