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2007年10月29日

429 第3回 神経・筋に関するボツリヌス療法懇話会 を聞いて

シンポジウム:各診療科での眼瞼痙攣/片側顔面痙攣の治療を中心に聞きました。
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シンポジウム
各診療科での眼瞼痙攣/片側顔面痙攣の治療

41 ○坂本貴先生 国立精神神経センター国府台病院神経内科眼瞼痙攣では、ごく軽症例では薬物治療から開始することもあるが、第一選択はボツリヌス治療であると。30単位前後で確実な効果が見込める。上眼瞼挙筋と涙嚢への注射は避ける。外科治療や深部脳刺激治療(DBS)にも言及した。
片側顔面痙攣では原因となる神経圧迫が明らかならJanetta手術を第一に推奨し、薬物治療、ボツリヌスも考えると。薬物が片側顔面痙攣にはある程度効くが眠気を起こす。副作用を避けるためには初回は少量にして次回から増やしてゆくと話された。

8清澤の感想:私のような開業医では有料で行う最初の施術の効果が弱いというのも心配です。が、”片側顔面痙攣のボトックス治療で顔面筋の麻痺を経験しその恐怖をいったん感じた患者はもうボトックスには戻らない”という指摘も大変正しい。だから、少量のボトックスで初めて以後回を追うに従って増量すると良い”という指摘には納得。
井上眼科にははるかに及ばないが、当医院も毎月のボトックス症例が50例程度に伸びてきたので、症例数は少なくはないと変なところで自信を感じた。

7 ○根本裕次先生 帝京大学
うつべきかそれとも切るべきか 眼瞼痙攣治療方針

ボトックスの合併症ではない眼瞼痙攣の併発症を詳しく示した。
眼瞼皮膚弛緩、眼瞼内反、眼瞼下垂、眉毛下垂などの併発症ではボトックス追加ではなく:それぞれに適した眼科的外科処置が必要であると述べた。
ボトックス施行例には全例閉瞼筋力を測定しているというお話。
ボトックスの再投与(量と時期)は患者の自己決定に任せるということを強調しておられた。

6清澤の感想:
さすがに丸尾先生のお膝元。あらゆるオプションを駆使しているのが良く分かった。座長の梶先生は、形成外科で行う処置が眼瞼挙筋の前転短縮と皮膚切除を同時に行うものだということを改めて根本先生に確認された。確かにこの併発症を的確に判断し治療野選択肢を広げるのは眼科医にはアドバンテージがありそうだ。

5 ○田草川豊 先生、三井記念病院脳外科
(眼瞼痙攣ではなくて)顔面痙攣への選択肢は、ボトックス、神経減圧術、経過観察であり、薬物治療は使わないという。お話では、どのような例には手術を行わないかを丁寧に話された。いわく、患者が望まない、罹病期間が短い、重篤な合併症、高齢者、反対側の耳に難聴がある、すでに他医で手術されている、単純な動脈圧迫以外の病変がある。ちゃんと教育されてない外科医がこの手術には手を出すべきでないという自信が感じられた。

4清澤の感想:この手術は田草川先生程度に熟練した人がやらないと危険が大きくて効果が不安定な模様である。そう考えると、先の坂本貴先生(国立精神神経センター)は血管圧迫があればjyanetta手術が第一選択とおっしゃったが、私はやはり、どうしても手術を受けたい人意外にはこの手術は紹介せず、ボトックス第一、必要に応じて薬物療法を最小限に追加という従来の方針を今後も続けようと思った。ジャネッタを必要な患者さんを安心して紹介できる先が見つけられて特に良かった。

3 ○大瀬戸清茂先生 NTT東に本病院ペインクリニック科従来はオブライエン法でエタノールを打つ顔面神経末梢枝ブロックを行ったが、今はボトックスを使うと。

清沢の感想:オブライエン法での顔面神経ブロックはかつて眼科でも白内障手術時の閉瞼を押さえるのに使われていた。20年ほど前のことである。

結論:というわけで勝手な感想を述べました。ジャネッタ手術はその手術に熟練した術者を選ばなくてはいけません。ボトックス注射も然りと思います。

トピックス演題:
○ボツリヌス毒素の美容と癲癇治療に対する利用 目崎高弘先生、榊原白鳳病院

美容:
美容目的での利用の最初は1987年、Jean and Alastair Chrruthersであると。局所性の筋の過収縮または筋肥大により美観が損なわれていると本人が感じた場合にはボツリヌス毒素投与の対象になりうると。危険なので、人体への試用を許可された製剤意外を用いてはいけない。
癲癇:
E型ボツリヌス毒素をラット海馬に注射するとカイニン酸によるキンドリングが抑制され、神経細胞の減少が抑制される。(アポトーシスの連鎖を進めるe-junのリン酸化およびカスパーゼ3の切断が抑制される。)癲癇発作の抑制はグルタミン酸を神経伝達物質とする興奮性神経細胞への作用であり、GABAを神経伝達物質とする抑制性神経細胞への効果はほとんどないという。

清澤の感想:留学当時に興奮性アミノ酸の視覚系での神経伝達を以前に弱視発生との関係で考えたことがあったけれど、この話を聞くとボツリヌス毒素は弱視のコントロールにも使える道が出てくるかもしれないと思う。いま、東京都老人研究所と医科歯科大の眼科で共同で進めている眼瞼痙攣患者のGABA受容体の脳内密度分布の研究もまんざら見当外れでもなさそうだ。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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