お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2007年10月14日

422 ハードコンタクトレンズ装用者の眼瞼下垂 (不明愁訴5、症例3)

図3-3 ハードレンズハードコンタクトレンズ装用者に見られる眼瞼下垂
(眼と視覚の不明愁訴、不定愁訴5の症例3です) (管理頁
ハードコンタクトレンズを常用している患者さんに片側または両側の眼瞼下垂が見られることがあります。まず、その様な症状で私を訪ねてくださった患者さんを紹介します。

症例3 38歳 女性 事務職

主訴は片方の瞼の腫れと下垂、重苦感もうったえました。
現病歴:右目の二重瞼が変化し、強いて開こうとすると瞼が奥に引かれる重苦感があります。左眼も眩しく、瞼が重くてだるいと訴えました。長期に亘ってハードコンタクトレンズ使用者で、殊に 4年前からドライアイと診断されています。インターネットを見て来院しました。

初診時所見
• 視力 右0.02(1.2X-5.00=-2.0A5)、左0.02(1.2X-7.00=-1.25A170)
• シルマーテストは右4mm、左1mm。眼瞼結膜は慢性炎症が強く、眼瞼皮膚は軽度の浮腫を示し、眼瞼下垂を伴う。

図:ハードコンタクトレンズによる眼瞼下垂の例(eyelidsurgery.co.uk より)

• 治療:当医院では涙点プラグを設置して、その後は眼鏡使用を薦めましたが、本人はハードコンタクトレンズ装用を中止することを勧めましたが同意が得られませんでした。
• そこで、頻回交換型乱視コンタクトレンズへの交換を勧奨しました。それを試用してもらいましたが、頻回交換型乱視コンタクトレンズ(6-6トーリック)には満足しませんでした。
• 結局、本人の強い希望でレーシックに向かいました!!その後の経過は不明です。

追加(2007.10.15):再来で来てくれました。近視も無く、瞼の腫れや下垂も引いてかなりよくなっています。本人は満足だそうです。私はまだレーシック推進派ではありませんが、このような例には悪くは無いかと思いました。

図3-2図:涙点プラグ(Dr Patelのページから)

類似の症例:
これはホームページ“患者の気持”に設置した私への質問箱に寄せられた質問です。
• 長年コンタクトレンズを使用し、目を精一杯開けても開かず、新聞で腱膜性眼瞼下垂症という病気があることを知り昨年両目とも手術を受けました。 
• その後は悩まされ続けた頭痛も肩コリも見事になくなり喜んでいたのですが、最近片方の目が夜になるにつれて開きづらくなり、黒目の中央まで隠れるようになり頭痛や肩コリも戻ってきました。
• 手術したものがまた外れたのでは?と思いますが、思い切り目を開けるとちゃんと開きます。
• この症状はどのようなことが原因なのでしょうか。よろしくお願いします。

図3-4 ハードレンズ性下垂術前後図はハードコンタクトレンズによる眼瞼下垂での術前術後と紹介されている例です。(AAO, Eye Net より)

この質問で私が考えたことは:
• ハードレンズを長い間使うと、その刺激が原因で上瞼の裏側の結膜に慢性炎症が起き、眼瞼挙筋に波及して、筋が力を失って眼瞼下垂を生じることがあります。
• 下垂が軽ければレンズの装用中止を指示し、ステロイドの点眼なども行って、下垂が強ければ挙筋短縮手術を予定します。
• この質問者では手術が一時的に効き、また足りなくなってきたということでしょう。
• 縫い付けた筋と瞼板が外れることはまずないでしょう。むしろ、筋の脱力がさらに進んだということでしょう。

そこで、質問者への助言はこういたしました。
• ハードコンタクトレンズは手術後しっかりとやめているでしょうか?
このような場合にはハードレンズ装用の継続は薦めません。
• このほかに筋肉の脱力が起きる眼筋無力症やイートンランバート症候群などの眼瞼下垂を起こす全身疾患は確かに除外できているでしょうか?
• また動眼神経麻痺は無いことが確認できているでしょうか?
• 瞼がぴくぴくと収縮する眼瞼痙攣が見逃されている場合もあります。
図3-5眼瞼痙攣図:眼瞼痙攣(AAO,Eye Net より)。眼瞼痙攣や片側顔面痙攣でも、必ずしも眼輪筋に痙攣が見えるわけではありませんが、この疾患は眼瞼挙筋の筋力低下ではなく、不随意な閉瞼が現れる疾患です。

8226; 片側の交感神経麻痺(ホルネル症候群)も有ります。
図3-6ホルネル図:ホルネル症候群(Anesthesia UKより)。この場合には片側の交感神経の麻痺がありますので、ミューラー筋の機能低下で眼瞼下垂が現れ、瞳孔は反対側よりも小さくなっています。

質問者への助言 続き
• コンタクトレンズによる眼瞼下垂なら、ハードレンズを止めただけでかなり眼瞼下垂は改善し、更に手術までして下垂を直せば相当期間の永続的効果が有ることが多いです。
• このように一度手術を受けた後ハードコンタクトレンズによる刺激以外に眼瞼下垂を悪化させる別の原因が無く、どうしても眼瞼下垂を改善させたいというなら、一年くらい間をおいての再手術も考えられるでしょう。
• 私が、患者さんを実際に診察すれば、患者さんからの物語を伝え聞いただけでは気が付かなかった点に気付くことができる場合が少なくないので、可能ならば当医院への受診をお勧めすると返答しました。

• この症例での、診療上のポイントは眼瞼下垂の原因は、神経や筋の疾患ばかりではないという点です。神経眼科は苦手とおっしゃらず今一度患者さんの話を聞いて、ゆっくりと考えてみてください。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
管理頁
清澤眼科医院通信最新ページへ(リンク)します

Categorised in: 未分類