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2007年8月24日

399 フォン・ヒッペル・リンドウ病、von Hippel-Lindau病

ヒッペル病フォン・ヒッペル・リンドウ病von-Hippel-Lindau病の質問をインターネット医科大学からいただきました。

質問:
家人が7月仕事の関係でカナダに一ヶ月行っていました。そこで左の目の違和感(視界の真ん中がゆがんで見える)と頭痛で病院に受診したところ、病名ははっきりいわれていないようでしたが、「日本に帰ったら大きい病院に行き、手術してください」と言われたそうです。

お盆から日本に帰って病院で検査したところ、「von-Hippel-Lindau病」と診断されました。手術は未定です。近くの総合病院の眼科に9月に偉い先生がくるからその時にまた診てもらうことになっています。今は自宅で普通に生活しているのですが、セカンドオピニオンも考えています。

「von-Hippel-Lindau病」とはどのような病気でどんな治療があるのか、教えてください。
脳血管撮影

お答え:
フォン・ヒッペル・リンドウ病とは

フォン・ヒッペル・リンドウ病は、眼底の網膜にある良性の血管腫でフォン・ヒッペル病と呼ばれる網膜腫瘍(はじめの図)と、小脳に見られる同様に良性の血管性の腫瘍であるリンドウ病(二番目の血管撮影での黒い雲のようなもの2箇所)が合併するものです。(欧米の文献ではこのほかに副腎腫瘍を合併する亜型もあります。)

ヒッペル
Eugen von Hippelが網膜の血管腫症を1904年に.Arvid Lindauは小脳と脊髄の血管腫を1927年に記載しています。(上がヒッペル博士、下の肖像がリンドー博士)

リンドー
(angiomatosis retinae, angiophakomatosis retinae et cerebelli, familial cerebello-retinal angiomatosis, cerebelloretinal hemangioblastomatosis, Hippel Disease, Hippel-Lindau syndrome, HLS, Lindau disease、retinocerebellar angiomatosisはすべてこの疾患の別名です。

ヒッペル眼底フォン・ヒッペル病では眼底の検査をしますと、太い網膜の血管の蛇行した先に蕾か塊のような血管の一塊(フォン・ヒッペル病)が見えます。(頭初とこの図の出典、ここに多くの眼底写真があります。)時にこの血管から滲出液が出て網膜に浮腫を作ったり、網膜に出血を起こしたりして、視力低下や視野欠損を起こします。

小脳への圧迫や出血で気づかれたり、”眼底に血管腫の変化があったので”という理由で小脳の血管を造影してみて見つけられるのが血管芽腫症hemangioblastomasリンドウ病です。(2番目の図がその見本です)

ヒッペルリンドー抑制蛋白この両者は遺伝的な原因でおき、しばしば合併します。 第3染色体上のフォン・ヒッペル・リンドウ病抑制蛋白の遺伝子Von Hippel-Lindau tumor suppressor (VHL) geneの異常でこの病気は発症し、常染色体優性遺伝です。80%は親から来ていて20%がその人でおきた新たな変異による病気と考えられています。それで、このようにひとつの病気の各部分症状として認識されています。このほか副腎、腎臓そして膵臓などに腫瘍が発生することもあります。

リンドー病脳CT
出典
症状は:
フォン・ヒッペル・リンドウ病の治療は腫瘍や随伴するのう胞の部位や位置に依存します。

フォン・ヒッペル・リンドウ病の症状には、頭痛、平衡覚や歩行の障害、めまい、四肢の脱力、血圧亢進がありますが、病変の大きさと部位により症状が異なります。嚢胞(のうほう)ないし(良性または悪性の)腫瘍(血管芽腫)が生じ上記の症状を生じます。腎臓などにある種の癌を発生する比率も普通より高いです。

小脳や脊髄の腫瘍については必要があれば手術か、経過を見るにとどめるかが検討されると思います。一般に治療目的は腫瘍が症状を引き起こしているならばその腫瘍の成長を抑えることです。しかしその腫瘍が小さくて脳や脊髄への圧迫や脳脊髄液の循環障害による永続的症状を起こさないのであれば、普通は特段の処置はなされません。

しかし、その治療は腫瘍が大きくなりすぎて害を及ぼすようになる前に行われます。脳腫瘍への高い線量の放射線が有効な場合も有ります。

眼科にとって重要な視力の障害も治療の対象です。眼底の網膜病変についても、出血の吸収を待ち、場合によっては光凝固や網膜冷凍凝固が試みられます。というわけで、眼底の病変からヒッペル病が疑われましたら、通常の眼科検査のほかに精密な眼底撮影を行い、流入血管や流出血管を決め、今後の治療方針を考えることになります。

眼の症状については眼科の専門医を受診なさってください。但し、この疾患は稀(rare)で人口2000人に1人以下しか居ないものですから、実際にこの疾患を見たことが無い眼科専門医も少なくは無いと推測されます。したがって、フォン・ヒッペル・リンドウ病の患者には眼科にしろ脳外科にしろ、この疾患の取り扱いによくなれた医師や医師団による慎重な経過観察が必要です。

フォン・ヒッペル・リンドウ病の予後は?

フォン・ヒッペル・リンドウ病患者の予後は腫瘍の部位と大きさによります。フォン・ヒッペル・リンドウ病を治療しなければ失明や永続的な脳の障害をきたすことがあります。 早期に発見し、治療すれば予後は明らかに改善されます。もしこの病気で患者が死亡するとすれば、その原因は脳腫瘍か腎臓の癌によるものとされています。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。多少は患者さんの参考になりましたでしょうか?このページに引用させていただいた諸図の著者に感謝します。

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