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2007年7月5日

377 POEMS syndrome、ポエムス症候群、Crow Fukase, クロウ・フカセ症候群、高月病

ポエムス症候群,
詩を口ずさむ症候群みたいな名乗りですが、是は眼科ではうっ血乳頭を示すことで知られる疾患の名前です。昨日の大学の外来にこの病気の新しい患者さんが神経内科から紹介されて来ました。

サボテン1
POEMS症候群 (クロウ・フカセ症候群)を説明した一般向けページ医療従事者向けページを参考におばあちゃんにも解る様に説明して見ましょう。

POEMS症候群、ポエムズ症候群,クロウ・フカセ症候群(Crow Fukase syndrome)、高月病(Takatsuki disease)は、すべて同じ病気の名前です。

POEMS症候群とは免疫グロブリンを産生する形質細胞という名前の細胞に異常が起き、この異常な形質細胞が産生する特殊なタンパク質が原因となって,末梢神経障害,手足のむくみ,皮膚の変化 (色素沈着,剛毛,血管腫),胸水・腹水,など全身の様々な症状が出現します.

日本では報告者の名前をとってよくクロウ・フカセ症候群と呼ばれます.

欧米では主な症状の頭文字をとってPOEMS症候群
P: polyneuropathy-多発神経炎,
O: organomegaly-臓器腫大,
E: endocrinopathy-内分泌障害,
M: M-protein:M蛋白,
S: skin changes-皮膚症状) と呼ばれます。

POEMS症候群は
手足がしびれて感覚が鈍くなる
手足に力が入らない
手足がむくんでくる
皮膚が黒っぽくなる
体毛が濃く,固くなる
腹水や胸水がたまってくる
(男性の場合) 女性化乳房
などがあると疑われます。

サボテン52004年に神経難病の研究班が行った調査では,全国に約340名の患者さんがいると推定されたそうですが、私も少なくとも3人の患者さんを診察しています.

この病気の原因は骨髄や一部のリンパ節に発生した形質細胞腫から分泌される血管内皮増殖因子 (VEGFと略されます) というタンパク質が症状を起こしていることが推定されています.M蛋白自体が症状を引き起こしているという考えは否定されつつあるようです。

サボテン41VEGFは血管の増殖を促進し,体液の血管外への透過性を亢進させます。
患者さんの血液中にはVEGFが非常に高い濃度で存在し,病気の活動性とも相関することがわかってきました.

多くの患者さんは末梢神経障害による手や足先のしびれ感や脱力で発症し,この症状が進行するにつれて,皮膚の色素沈着や手足の浮腫 (むくみ) が出現してきます.患者nさんによっては胸水や腹水の貯留が先に発見されたり,また男性では女性化乳房から発症することがあります.これらの症状は未治療では徐々に進行して行き,次第に様々な症状が加わってきます.

サボテン4診断は末梢神経障害や骨病変の精査,血液検査によるM蛋白の検出や血管内皮増殖因子の高値などに基づいてなされます.診断には神経内科が中心となります.

この病気の標準的治療法は確立されていません.現状ではさまざまな治療が行われており,自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法などの新しい治療の試みもなされています

サボテン3眼の症状としては、うっ血乳頭が30-50%の症例に見られるとされています。このうっ血乳頭が続けば視神経萎縮を経て視力が失われます。また網膜にも浮腫が広がれば網膜の機能、特に黄斑部の機能が低下しますので、視力の低下が起きます。

以前、私は岡部仁先生たちに東北大学から、”視神経開窓術が有効であったうっ血乳頭を伴うCrow^Fukase症候群の1症例”という演題をアメリカ眼科学会にだしてもらい、共著者にしてもらったことがあります。

サボテン2今回調べて見ますと、日本のCrow-Fukase病ではうっ血乳頭の記載はほとんど見つけられず、欧米のPOEMS症候群では30-50%という記載です。

全身に見られる浮腫と視神経乳頭に見られる乳頭浮腫(うっ血乳頭)をいきなり同じものと考えるのはいかにも乱暴な話です。海綿静脈洞の血栓症の合併を考えている人もいるようですが、脳脊髄圧がどのような経緯で亢進しているのか、さらに髄液圧に本当に亢進が有るのかも明らかではありませんでした。

今後の治療法の確立の中で、うっ血乳頭からの視神経萎縮に対抗する今後の治療法の進展を大いに期待するものです。

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