お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2007年6月24日

367 眼と身体表現性障害

身体表現性障害 (管理頁

ゆり6今夜は若倉雅登先生(井上眼科病院院長)と気賀沢一輝先生(杏林大学非常勤講師)が音頭を取って始められた心療眼科研究会の第一回集会がありました。井上眼科病院の会議室を借りて30人以上が集まり大盛況。このような疾患の患者さんの治療に悩む眼科医が多いことがよくわかります。

そこでの話題をひとつ。石郷岡 純 先生(東京女子医科大学教授)が身体表現性障害とその治療法の話をされました。

ゆり7その後の世話人会で私も監事をお引き受けすることになりました。

さて今日の話題は身体表現性障害 somatoform disorderです。
身体表現性障害 somatoform disorderには以下の5つのサブカテゴリーがあります。

1、身体化障害 somatization disorder
2、転換性障害 conversion disorder
3、疼痛性障害 pain disorde
4、心気症 hypochodriasis
5、身体醜形障害 body dysmorphic disorder

ゆり8身体表現性障害 somatoform disorderとは

■ 身体表現性障害とは、(此処では特に眼の)痛みや吐き気、痺れなどの自覚的な身体症状があり、日常生活を妨げられているものの、それを説明するような一般の身体疾患、何らかの薬物の影響、他の精神疾患などが認められず、むしろ心理社会的要因によって説明される障害です。

DSM-IV(米国で作られた精神科疾患の分類表、デーエスエム フォー)は身体化障害と転換性障害、疼痛性障害、心気症、身体醜形障害などを臨床上の便宜から1つに集めたものです。

これらは病因や経過が共通しているわけではなく、治療の便宜から集められて名前が与えられて居ます。

ゆり9この疾患、身体表現性障害では、多数の医療機関を渡り歩く例があり、内科や外科医にとっても困難な患者です。眼科医にとっても同様です。

患者の強い治療欲求による問題を軽くするためには、患者に対応する医師を1人に集約し、検査などの患者の欲求に部分的に応じながら、信頼関係を結び、身体の症状に精神科的な理由があることを患者が気づくようにし、患者が進んで精神科を受診するようにしていくのがよいそうです。

身体症状の原因はすべて心理社会的なものであると患者に説明するのことは効果が無く、眼科医には眼の痛みがあるという訴えをそのまま聞き入れる姿勢が必要です。

うつ病性障害や物質関連障害、反社会性人格障害などを合併することも多く、合併する精神疾患に対しては抗うつ薬などの精神科的治療が有効であるそうです。

身体表現性障害の種類には次のものがあります。

ゆり10
1、身体化障害 somatization disorder

■ 30歳以前に様々な身体症状が起こり、数年以上持続します。
身体化障害は重度の慢性障害で、様々な身体症状(主に痛み、胃腸症状、性的症状、神経症状など複数の症状)が繰り返し発生し、原因となる体の異常が見あたらないのが特徴であり、女性に多いそうです。

身体化障害の患者にみられる身体症状は、助けてほしい、気にかけてほしいと訴えるコミュニケーション手段と考えられます。

そのため患者の訴えは誇張されていたり、既往歴に一貫性が欠けていたりします。生活環境や文化も症状に関係します。

慢性に経過し、寛解することはまれです。

身体化障害そのものに対する薬物療法はあまり効果がありません。

なお、身体化障害のある人にも、本当に体の異常が生じる場合があるので注意が必要です。

ゆり11
2、転換性障害 conversion disorder
■ 転換性障害は以前にヒステリーと呼ばれていたもので、随意運動または感覚機能についての症状または欠陥で身体的異常では説明ができないものです。

通常は単一の症状(それが眼であれば視力低下や視野狭窄)を示します。

転換性障害は精神的・心理的なストレスや葛藤が原因で起こりますが、その原因になったストレスの原因を特定しようとするのは困難でもあり、無益です。患者はそうしたストレスや葛藤を、無意識のうちに身体症状へ転換する。

転換性障害は青年期から成人期初期にかけて起こる傾向にありますが、初回の発症はどの年齢でも起こることがあります。
この障害は一般に男性より女性に多い。

症状は多くの場合、社会的または精神的につらい出来事が引き金になって発症します。

生涯で1回しか発症しない場合もあれば、散発的にときどき起こる場合もあります。

1回ごとの症状は普通は短期間しか続かず、2週間以内に症状が消失することが多いです。ただし再発が多く、約4分の1の患者は1年以内に再発し、症状が慢性化する場合もあります。

麻痺や失声、盲は治りやすく、振戦や痙攣は治りにくいです。

体の異常がないかどうかを調べ、重大な病気を示すような症状ではないことを患者に伝えて安心させると、たいていの場合、患者は良くなったと感じるようになり、症状は消えてゆきます。

発症のきっかけとなる精神的な悩みがある場合は、心理療法が特に効果的とのことでした。ただし、どの患者にも一様に効果がある治療法は知られていません。

ゆり123、疼痛性障害 pain disorderとは

■ (眼の)痛みの訴えが中心であるもので、セネストパシーとも呼ばれるものもこれに相当します。

痛みを説明するのに十分な身体的異常がなく、心理社会的な要因が症状の経過に影響している。(あくまで関係があるのであって、原因とはいいません。)
女性に多く、遺伝負因が強いともいいます。

一般的な鎮痛薬によって完治する場合もあるが、疼痛性障害そのものに鎮痛薬が有効であるわけではない。

バイオフィードバック、セルフモニタリングなどの行動療法、三環系抗うつ薬による鎮痛効果が期待できる。

石郷岡先生は、痛みの感覚を脊髄後根の末梢神経レベルで抑制するノルアドレナリンやセロトニンが痛みの抑制に有効としてSSRIなどの投与が有効であることを話されました。

ゆり44、心気症 hypochodriasisとは

■ 身体症状または身体機能に対する誤った解釈に基づき、重病にかかっているのではないかという恐怖や考えにとらわれてしまう障害です。

内科や外科を受診し適切な医学的評価や説明を受けても、現代医学でもわからない奇病にかかっているなどといった考えが持続します。

心気症は20~30歳で起こることが最も多く、男性にも女性にも同程度にみられます。
数ヵ月から数年間の病相期と同じくらいの長さの寛解期が交互に現れます。
規則的な身体的診察が日常生活の障害を防ぐために有用とのことです。

ゆり55、身体醜形障害 body dysmorphic disorderとは、

■ 実際には欠陥はまったくないか、あったとしてもごくわずかであるにもかかわらず、自分の外見に欠陥があると過度に思い込み、深く悩んだり、機能障害が生じたりする障害です。

鼻などの顔の一部に関心が向けられていることが多いです。

青年期に発症することが多く、発症率に男女差はないといわれています。

身体醜形障害の人は自意識が強いため、仕事に出かけたり社会活動に参加することを含めて、人前に出るのを避けようとする傾向があります。

夜間にしか外出しなくなったり、まったく外に出なくなる人もいます。
その結果、社会的に孤立した状態に陥る場合もあります。

身体醜形障害から生じる苦痛や心身の機能不全のために、入退院を繰り返したり、自殺を図ることがあります。

身体醜形障害の人は自分の症状について話したがらないため、何年間も障害が見過ごされることがあります。

正常な人にも外見に関する悩みはごく普通にみられるが、身体醜形障害の場合は悩みに非常に多くの時間を費やし、激しい苦悩や機能障害が生じている点が異なります。

効果的な治療に関する情報はあまりないです。セロトニン動作性薬物が有効な場合があり、強迫性障害との共通性が指摘されています。

ゆり6
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

清澤眼科医院通信最新ページへ(リンク)します

Categorised in: 未分類