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2007年6月17日

363 乾燥性角結膜炎の診断と治療

乾性角結膜炎(乾性角膜炎)
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ayame6両眼性にみられる慢性の結膜と角膜の乾燥であり,涙液の量が不足している(水性涙液欠乏性乾性角結膜炎)か,涙の質が悪いために蒸発が過剰になって涙液の損失が過多となる(蒸発性乾性角結膜炎、≒マイボーム腺機能不全)物に分類されます。

ayame7症状と徴候
 この乾燥性角結膜炎の患者は眼のかゆみや灼熱感,羞明(まぶしさ),ゴロゴロする感じ、眼を引っ張られる感じ,眼の奥の圧迫感,異物感などの不定愁訴を訴えます。

シルマーテストでは涙液の量が少ないにも拘らず、強い刺激感の後に涙があふれるように出たと述べる患者もいます。読書やコンピュータ作業,運転,テレビを見るなどの眼を長時間に亘って使う作業後には瞬目が減りますので眼の刺激症状は増悪します。

ayame8眼に対する非特異的な刺激が増加するような環境下ではしばしば症状が増悪します。例えば,ほこりが多い場所での荷物仕分け作業、タバコを吸う人が周囲に居る環境での仕事,飛行機やショッピングセンターなどの過度に除湿された環境に居る場合,低湿度の日,エアコンや扇風機の風が顔に当たり続けるような環境,相対的な湿度が低下する暖房された場所などである。

精神安定薬,利尿薬,降圧薬,経口避妊薬,抗ヒスタミン薬,胃腸薬など,抗アセチルコリン作用のある薬剤を内服した場合には、涙の分泌が減りますので眼の乾燥は増悪しがちです。

ayame9一方、空気の湿度が相対的に増す気温が低い涼しい日や、雨,霧,シャワー中などのような高湿度の環境では,眼の乾きの症状は改善します。

乾燥性角結膜炎では、視力の低下はめったに起きませんが,乾燥性角結膜炎の患者はときに眼の刺激感がひどいので眼を使えないと訴えます。眼瞼痙攣の症状を示す、あるいは眼瞼痙攣がこの乾燥のため悪化している場合も少なくはありません。

ayame10乾燥性角結膜炎の診断

 乾燥性角結膜炎の両型とも,結膜は充血し,しばしば角膜表面に散在する細かい点状の角膜上皮欠損(点状表層角膜炎)や結膜上皮の欠損がみられます。

侵される部位は,主に上の眼瞼と下の眼瞼の間で、眼瞼間または暴露ゾーンと呼ばれる部分であって、眼科の生体染色顕微鏡試験では、この障害部位はフルオレセイン色素の溶液を眼表面に僅かの量付けて青い光で照らすと、緑色に染色される点々としてて見ることができます。

ayame11乾燥性角結膜炎の患者はしばしば(大きなはっきりした)まばたきが多いと訴えます。しかし,実際には角膜表面に涙液を広げる軽い瞬きは減少していることの方が多く、角膜表面が3層(油層、水層、ムチン層)の涙液で適切に覆われた状態を維持できない、いわゆる乾燥した角膜になっている例も多く見られます。

涙液欠乏性の乾性角結膜炎では,結膜は乾燥して多数の微細なしわが寄り,本来の光沢を失ってみえます。この型の角結膜炎は,他の合併症なしに発症することが最も多く,閉経後の女性に比較的よくみられる。

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また、結膜弛緩症では下瞼に接する部分の結膜が緩んで皺を作り、本来涙液の水面:メニスカスを作る部分に結膜が膨隆してくるため、眼表面の涙液の貯留が不足した状態(シルマーテスト値の減少)も観察されます。

ayame13それよりは低頻度ですが,涙液の減少する状態は、涙の通路に瘢痕化を引き起こすこのほかの状態,例えば瘢痕性類天疱瘡や,スティーブンズ-ジョンソン症候群、トラコーマの二次的な症状として発症したり;涙腺の損傷や機能不全の結果として,例えば移植片対宿主病,局所放射線治療後,家族性自律神経異常症などで起こることがある賭されています。

ayame14シルマー試験は,幅5ミリ長さ50ミリの濾紙片を,局所麻酔なしで(これを第1法といいます。点眼麻酔をすれば第2法です。)下眼瞼の中央1/3と耳側1/3の中間の位置に置くことにより実施されます。

濾紙の涙液で濡れた長さが,2回連続して5分間に5mm以下の場合に,涙液欠乏性ドライアイと診断します。

ayame 10まれに,重篤で進行した慢性の乾燥により,眼球表面の角質化や角膜上皮欠損に至り,瘢痕化,血管新生,感染,潰瘍形成や,場合によっては穿孔をもたらします。これらの重症例では通常,深刻な視力障害が起きています。

ayame 11 蒸発性の乾燥性角結膜炎では,多量の涙液とともに眼瞼縁に泡沫が現れます。眼瞼炎がよくみられます。

この型のドライアイでは、角膜上皮欠損や視力低下を起こすほどの乾燥を来す例はごくまれです。蒸発増加が原因であって分泌低下が原因ではないので、シルマー試験の結果は通常は正常です。

ayame13高濃度のフルオレセインを少量点眼すると,涙液層が観測され,角膜全体を覆った涙液の膜が異常な速さで失われていく様子が明らかにできます。(涙液層破壊時間,BUT:tearfilm brakeup timeの略号です)。

 シェーグレン症候群(別項目参照)の患者には,水性涙液欠乏性乾性角結膜炎や口渇がみられる。この症状は眼単独の現象として(一次性シェーグレン症候群),あるいは慢性関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性の結合組織疾患と関連して起きることがあります(二次性シェーグレン症候群)。

ayame14最近の眼科の話題としてはアグレ教授が数年前にノーベル賞を与えられたアクアポリンという水チャンネルの異常がこの疾患に関連しているという慶応大学の坪田一男教授の仕事があります。(注:シェーグレン症候群のすべての用例がアクアポリン異常というわけではありません。)アクアポリンにもいくつかの亜型があるのですがその4番目のものに先天的な異常を持つ患者さんが見つかったというものです。当時の新聞記事ではアグレ教授自身が、慶応大学眼科(当時は東京歯科大学所属)の坪田先生や、東京医科歯科大学腎臓内科の佐々木成教授など日本人共同研究者が行った研究の業績にも言及しています。(→関連記事)

シェーグレン症候群は血清学的検査と口唇唾液腺生検により診断を確定します。一次性,二次性シェーグレン症候群の患者は,非ホジキンリンパ腫の発症率が正常の40倍と高く,医師による注意深いフォローアップが必要であるとされています。

ayame15治療
 乾性角結膜炎の両型とも,人工涙液の頻繁な使用が有効です。

より粘性の高い人工涙液の方が眼球表面を長時間覆うため,蒸発性乾性角結膜炎にはことに粘性の高い人工涙液有用です。(市販の製品としては0.3%ヒアレインミニがあります。)

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就寝前に使用する人工涙液軟膏は,夜間の兎眼および/または,朝起床時に刺激感を訴える患者に特に有用です。(市販の製品ならフラビタン軟膏でしょうか。)

大部分の症例は,以上のような補填薬により生涯適切な治療が可能です。

ayame16乾燥や風の当たる環境を避け,加湿器を使うことがしばしば助けになります。治療抵抗性の症例では,涙点閉鎖が適応となる場合もあります。

重症例では部分瞼板縫合を行い,蒸発による涙液の喪失を防ぐこともできます。(仙台の先輩、渡辺春樹先生に教えられて、聴神経腫瘍術後の強い顔面神経麻痺などに以前この手術はしばしば行っていましたが、最近は眼瞼形成手術を形成外科に依頼する程度で、瞼板縫合まで行うことはまずありません。)

最近は、重症の乾燥性角結膜炎に使えるよい方法があります。それは、涙点プラグというものです。上下の涙小点のうち下の涙小点を小さなシリコンゴムの栓で一時的にふさぐのです。入れる操作はひとつ5分以内、ひとつ入れるのに3000円くらいかかりますが、15分ごとに目薬を付け続けているよりもよっぽど楽と言う患者さんがほとんどです。(入れておきっぱなしでもよいですし、うるさければいつでもピンセットで外せます。抜け落ちてしまった場合には希望によってもうワンサイズ大きなものを後日入れることもできます。→涙点プラグ

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蒸発性乾燥性角結膜炎の患者はしばしば,随伴する眼瞼炎の治療により軽快することがあります。治療としては温湿布や眼瞼縁のこすり洗い,経口テトラサイクリン投与なども推奨されています。(→マイボーム腺梗塞の治療)。

さて今日はメルクのテキストを参考に気がつく点を加えて清澤流のドライアイ治療を述べてみました。患者さんが快適な眼で過ごせますよう、私も日々研鑽をつんで参ります。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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