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2007年6月1日

351 ウエルナー症候群 Werner’s syndrome (ウェルナー症候群)

ウエルナー症候群 (Werner Syndrome) (管理頁

女性wsウエルナー(Werner)症候群は早く老人様の容姿を示すようになる疾患で、癌になりやすい体質もあわせて持つという疾患です。左が15歳、右は同人物の48歳の写真というのですから早く老人になるというのがよくわかっていただけると思います。

薔薇8ウエルナー症候群Werner Syndromeは眼科でも白内障を合併することで知られ、その白内障の手術後には角膜が水疱性角膜炎になりやすいことも知られています。私も今までに何人かの患者さんを担当させていただきましたが、”おばあちゃんにもわかる”的に眼と全身症状を簡便に説明をして見ましょう。

1、眼症状とその治療
眼科としての治療にあったってのトピックスがいくつか有ります。

ウエルナー症候群の眼所見は、両眼性の若年性白内障がほぼ必発で、その形は後嚢下混濁です。
まず、白内障手術では術後の傷の直りが遅いため、前房形成不全、虹彩脱出、虹彩癒着などが高頻度でおきます。ですから、縫合を省略した自己閉鎖創を用いるよりは、角膜縫合をひとつでも置くのがよいでしょう。

また、角膜の内皮(眼の表面で透明な角膜のもっとも裏側にあって、再生能力が弱くて角膜の弱点になっている細胞層です)は特に弱く、ウエルナー症候群Werner Syndromeの白内障手術では、その内皮障害から術後5年で水疱性角膜症による角膜混濁と永続的な視力障害を生じる事があります。ですからあらゆる工夫をして、白内障手術時の内皮への障害は最小に抑えたいです。

そのような訳ですので、”ウエルナー症候群の白内障手術では、特に熟練した術者による慎重かつ短時間での手術が行われるべきである”という内容が本にも記載(眼科診療ガイド、文光堂)されており、私もまったく同意見です。

ウエルナー症候群Werner Syndromeでは、このほかに屈折異常、眼球振盪、眼球突出、角結膜炎、角膜混濁、青色強膜、虹彩血管拡張、加齢黄斑変性、網脈絡膜炎、網膜色素変性などの報告もあります。

しかし、私は約30年で5-6名程度のウエルナー症候群Werner Syndromeの患者さんに出会ったと思いますが、これらの諸症状を実際に見た記憶がありません。おそらく、白内障に比べれば、稀な症状なのでしょう。

ウエルナー症候群Werner Syndromeの眼の諸症状の治療は、各症状に対する対症療法で良い様です。

2、ウエルナー症候群Werner Syndromeの全身症状:
薔薇7ウエルナー症候群患者は10歳までは正常に成長しますが、通常20歳台なると白髪化や脱毛,嗄声,強皮症様の皮膚変化などが現れ、その後30歳台でには白内障,2型糖尿病,性腺機能低下症,皮膚潰瘍や骨粗鬆症が現れます。心筋梗塞やがんはもっとも多い死因であり,典型例では48歳頃に生じるとされています。

蛋白WRN遺伝子は本症との関連がある遺伝子で患者の約90%に認められるますが、分子遺伝学的検査は研究ベースでのみ行われているものです。(最近このウエルナー症候群の遺伝子異常に付いての論文や発表は無数にありますが、治療には直接は関連しませんのであっさりまとめます。)

DNAヘリカーゼ(DNA helicase)はデオキシリボ核酸|DNAの二重らせんを解き、一本鎖DNAにする酵素です。一般的にはDNA複製|DNAの複製の際に二本鎖のDNAを一本鎖にすることによってDNAポリメラーゼがDNAに結合しやすくするという役割を果たしています。このウェルナー症候群では本酵素の遺伝子が損傷していることが知られています。破損した遺伝子の補修がうまくいかず癌化しやすいということのようです。

薔薇5古典的な遺伝の話では、ウエルナー症候群は、常染色体劣性の形をとって遺伝しますので、受精時に患者の同胞が罹患する確率は25%,無症候性保因者となる確率は50%,罹患せず保因者にもならない確率は25%です。

男ウエルナーその容貌には特徴があり、インターネットに公開されている図の女性や男性の容姿はその特徴をよく示したものです。

男ウエルナー臨床診断基準としては10歳以降の発症の主徴候として
O 両側性白内障
o 特徴的な皮膚病理像(硬化,萎縮,色素沈着,潰瘍形成,過角化症,部分的皮下脂肪萎縮)
o 特徴的な鳥様顔貌(鼻稜が突出し,皮下脂肪が少ない)
o 低身長
o 頭髪の早期の白髪化や禿頭
o 両親の近親婚(3度近親以内)または罹患した同胞
o 可能であれば,24時間尿でのヒアルロン酸試験陽性(排泄増加) があり、

薔薇6副徴候には、
o 2型糖尿病
o 性腺機能低下症(二次性徴発達不良,不妊,精巣や卵巣の萎縮)
o 骨粗鬆症
o 四肢末梢の骨硬化像
o 軟部組織石灰化
o 早期動脈硬化症の所見(心筋梗塞の既往など)
o 主に間葉系の腫瘍(すなわち肉腫),まれな腫瘍,多発腫瘍
o 声の異常(甲高い声,嗄声)
o 偏平足
があります。

その分類では、確実(definite)例は、すべての主徴候と副徴候のいずれか2つを満たすもの、
疑い(probable)例は主徴候の最初の3つとその他のいずれか2つを満たすもの、
そして、可能性(possible)例は、白内障または皮膚変化とその他のいずれか4つを満たす物です。

薔薇4
ウエルナー症候群の自然経過では
ウエルナー症候群患者のがんは肉腫やまれな型のがんが多く、日本人患者で最も高頻度に見られるのは軟部組織肉腫,骨肉腫,黒色腫,甲状腺がんです。末端性黒子性黒色腫(足と鼻粘膜によく見られる)は一般人口集団と比較しても特に多いです.

薔薇3o ウエルナー症候群の日本人における罹病率はヘテロ接合体の頻度に基づいて1/20,000から1/40,000と算定されます。男女比は1:1です.(血縁のある結婚で生まれる子供では頻度が高くなるため、日本人では米国より頻度が高いそうです。)

薔薇2
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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