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2007年5月16日

340 全身疾患と眼、脳血管障害のみかた 2

全身疾患と眼、脳血管障害のみかた 2では
各基本診察項目の見方のコツを紹介してみましょう。 (管理頁

表2:
基本診察
 病歴:年齢、性別、主訴、現病歴、既往歴、内服薬、家族歴、生活歴
 視力、眼圧
 瞳孔:明室および暗室での瞳孔径、対光反応、相対性求心性瞳孔障害(relative afferent pupillary defect: RAPD)
 眼位、眼球運動:複視
 視野:対座法
 前眼部•中間等光体、眼圧

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病歴:

多くの眼科で扱われる疾患の診断が、細隙灯顕微鏡検査や眼底検査によって可能であるのに対して、脳血管障害では基本診察のうちでも特に詳しい病歴をとることが診断に大切です。

有効な病歴聴取によって疾患の原因や脳病変の位置はかなり正確に把握できるからです。

急性の発症を示したということは、脳卒中などの血管の閉塞に関係した病気を疑う一つの目安です。しかし、高齢者では病気の発症時期や、症状が出現したという自覚がはっきりしないことも多いのです。

「なんとなく歩き方がへたになった」といった付き添いの家族の話や診察時の会話の調子にも注意する必要があります。

特に老人に多くみられる慢性硬膜下血腫や微小脳梗塞では高血圧や糖尿病の既往歴を詳しく聞くことや、お薬の内服歴、過去の手術歴、また最近の転倒の経験といったエピソードを聴取することが大事です。

また、脳血管障害は交通事故や労働災害(労災)などの事故をきっかけに起きることも多く、うっかりしますと疾病利得が介在した利害関係から誤って詐病を疑ってしまうこともあり得ますので、慎重な注意が必要です。

医師は担当した患者を、先入観にとらわれずに客観的に見ることが大事です。患者さんもご家族も、“事故だ!誰が悪いのだ!“と短絡的に考えずに、まずは患者さんの頭の中で何が起きているのかをしっかりと主治医に見極めてもらってください。

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頭痛:
頭痛は最も代表的な脳血管障害の症状です。頭痛を眼痛と捉えたり、頭痛の原因を単なる眼精疲労と考えて眼科を初診する患者さんがいます。

突発ピーク型の頭痛では、まず脳血管障害(クモ膜下出血、太い脳動脈の梗塞、脳内血腫など)による頭痛を疑うことができます。

悪心嘔吐(気持ちが悪く、時には実際に吐くこと)は、頭蓋内圧亢進(注:頭蓋骨の中で脳を取り囲む液体を髄液(=脳脊髄液)と呼びますが、その液の水圧が上昇することです)や偏頭痛、それに自律神経症状などで起こることもあります。

偏頭痛での頭痛は、比較的短い時間内に徐々に増強する頭痛が日を換えて起こることが多いようです(注:偏頭痛と閃輝暗点は別ページにも解説があります)。

頭蓋内圧亢進に伴う頭痛では嘔吐直後に少し頭痛が軽減し、起床直後の頭痛が一番強いという特徴があるとされています。

発作時に眼前の暗黒感を伴えば、眼動脈(眼球に行く動脈で内頸動脈領域にあります)や後大脳動脈(この血管が左右別々に大脳視覚領に行く血管で、頚動脈ではなくてもっと頭蓋内では後方を灌流する椎骨脳底動脈領域にあります。)の梗塞や、さらに下垂体卒中(脳下垂体に出血をきたす疾患で、小さな良性の腫瘍などが原因の事もあります。本ブログに下垂体卒中の別項あり。)を考える必要もあります。

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眼球運動:
眼球運動にも脳血管障害ではしばしば異常が見られます。眼球運動は、HESS赤緑試験(このブログでは別項目でHessを説明しています。)がなくても赤色フィルター1枚で十分に検査が可能です。

まず患者に片手で赤フィルターをもたせ片眼の前にあててもらいます。どちらかといえば、視力が良好なほうの眼に赤フィルターを置いた方が患者は答え易いでしょう。

左右眼を片眼ずつ遮蔽して、検者のもつペンライトの光をそれぞれの目で確認させ、その後に遮蔽を解除してペンライトの白い光に対して赤フィルターを通した赤い光がどの位置に見えるかを答えさせるとよいでしょう。

正面、上下左右に各斜め方向を加えた合計9つの方向でこの検査を行って、どの位置で最も2つの光が離れて見えるかを問い掛けてもよいでしょう。

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突然に起きた上下複視の出現や、「階段を降りる時が怖い」といった訴え、また頭部外傷後の眼精疲労(眼の疲れ)の訴えを示す患者さんでは、特に上斜筋麻痺(これは、多くが滑車神経麻痺で起こります)を疑います。

眼球(視線)の上下偏位では、片眼に赤フィルターを置いてペンライトの光をみせた状態で頭部を左右に交互に傾け、上下偏位が増加する頭部傾斜の方向を答えさせる方法(Bielschowsky頭部傾斜試験)もその原因になっている麻痺筋の確定に有効です。

この場合、(片側の滑車神経の麻痺だけが原因であると仮定でき、)右側への頭部傾斜で右眼の上斜視による視界の上下へのずれが増大するならば、その患者さんがわずらっているのは右側の滑車神経麻痺です。(滑車神経麻痺にリンク

また、話は変わりますが、片側の瞳孔の散大(注:明るい部屋で悪い目の瞳孔が開いたままになっていること)を伴う動眼神経麻痺(悪い目の瞼が下がり、その眼は上側、鼻側、下側に向かって動かない。動眼神経麻痺にリンク)では、脳動脈瘤(注:内頸動脈と後交通動脈の分岐部に出来て、動眼神経を圧迫する特殊な動脈瘤のことです。)も疑われますので、翌日以降の検査を待つことなく、その日のうちに直ちに患者さんを眼科医の手から脳外科医に渡して相談するのが良いでしょう。

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視野検査:
視野も脳血管障害では侵されやすいものです。視神経、視路疾患の診断ではGoldmann視野計や自動視野計を用いなくても、対座法によって簡便に十分な検出が可能です。対座法は特に半盲の検出に適しています。

患者に片眼を遮蔽させ、検者の相対する側の眼(例えば被検者の右目が解放されているなら検者の左目)を見つめてもらい視野を共有した状態で測定します。

左右または上下に等間隔に指を出し、本数を答えさせたり、見え方の違いを比較させたりします。指の数は3本以上では答えにくいので1または2本がよいでしょう。

脳血管障害の疾患各論は次回(第3部)といたします。

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