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2007年5月16日

339 全身疾患と眼、脳血管障害のみかた 1

21臨床眼科2007年増刊号に堀江長春先生が私との共著で“眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて、中枢神経疾患11.脳血管障害”を説明してくださいました。今日はこれを参考に、いつもの”おばあちゃんにも解かる目の病気調子でお話してみましょう。(管理頁

              堀江長春  東京医科歯科大学眼科学 
              清澤源弘 清澤眼科医院 東京医科歯科大学眼科学
191. 脳血管障害の診断に有効な眼科検査
脳血管障害では処置が遅れるとそのために患者が死亡したり、患者に重篤な後遺症を残したりすることにつながる危険があるため、眼科でも救急の対応が必要なことが少なくありません。(注:遅れなくても良くない結果に終わることもあるのですが。)

脳卒中の5大症状(表1)の1つに視力障害が挙げられているように、患者がその原因を脳血管障害とは気が付かずに、神経内科ではなくまず眼科を受診することもまれではありません。

18表1.
脳卒中の5大症状:米国脳卒中協会(American Stroke Association: ASA)による
① 突然の片側顔面や手足のしびれ、脱力 
② 突然の意識障害、言語障害 
③ 突然の片眼または両眼の視力障害 
④ 突然の歩行障害、めまい、ふらつき 
⑤ 突然の激しい原因不明の頭痛 

17また、突然の意識障害や手足の麻痺を伴えば、多くの患者や家族の家族が最初から脳血管障害の発生を疑って脳外科などの診療科を受診することが考えられますが、最初に眼科を訪れる脳血管障害の患者ではむしろ目以外の症状は乏しく、脳血管障害であるという判断をつけるのが難しいような症例であるかもしれません。

眼科外来には高齢者、高血圧、糖尿病といった脳血管障害を起こすリスクをもった患者が来院することも少なくありません。

このような状況で、脳血管障害を見逃さない一番のポイントは結局、基本診察を確実に行うということにつきます(表2)。

16表2.
基本診察
 病歴:年齢、性別、主訴、現病歴、既往歴、内服薬、家族歴、生活歴
 視力、眼圧
 瞳孔:明室および暗室での瞳孔径、対光反応、相対性求心性瞳孔障害(relative afferent pupillary defect: RAPD)
 眼位、眼球運動:複視
 視野:対座法
 前眼部•中間等光体、眼圧

15外来診察でこれらを毎回行うには時間がかかると思うかもしれません。しかしここに示した項目は、一般眼科医が日常診療で主に行う細隙灯顕微鏡検査や眼底検査以外の項目であっても、それらはどれも簡便に、特別な器械がなくても救急の処置が必要な状態かどうかのスクリーニングレベルの検査が可能な優れた方法です。

神経眼科を専門とはしない眼科医であってもこれらを考えながら診療時にきちんと一つ一つの基本診察を行うことによって疾患の見落としは格段に減るだろうと考えられます。

次回にこれらの各項目を解説してゆきます。

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