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2007年5月11日

336 VDTと眼の健康管理

VDTと健康管理 (管理頁

てっせん7本日は特許庁の新任職員研修の講師を頼まれて,昼休みに霞ヶ関に駆けつけて話をしてきました。第2回目の本日の講義は50分でしたが、聴衆は200人でVDTと眼の健康管理というのがその演題です。

今日の話題として、その内容を記載します。この話の資料は多くを山田昌和先生に戴いていて(285-2 涙ーこの神秘の世界ー山田昌和先生講演を聴いて ⇒リンク)、それに参天製薬のホームページの内容から追加材料の提供を受けています。

○ まず涙液の流れの90%は鼻に流れ、10%が表面からの蒸発です。涙液 – tear fluids – は眼表面の粘膜を保護する細胞外液の1種です。この涙液は血液を原料にして涙腺で作られますが、涙液の組成は、血清と異なり蛋白、糖、脂質を含まないというのが特徴です。涙腺では涙に含まれる独特な蛋白が作られます。

○ 涙液膜の構造は3層で眼表面を物理化学的に保護します。3層とは油層、水層、粘液層です。涙液は表面張力が低く、眼表面で拡がりやすい性質があります。涙液膜は瞬目によって生成され、眼表面を守ります。

てっせん6◎(参天のページに)ドライアイの自己診断というのがあります。これは
1、眼が乾いた感じがする。
2、眼が疲れやすい。
3、なんとなく眼に不快感がある
4、光をまぶしく感じやすい
5、目やにが出る
6、物がかすんで見える
7、眼がかゆい
8、眼がごろごろする
9、眼が赤くなりやすい
10、眼が痛い
11、眼が重たい感じがする
12、理由も無く涙が出る
判定はこれらのうち○が5個以上ならドライアイの可能性がある。10秒以上目をあけていられない、または瞬目が多い(40回/分以上)ではその可能性が増すというものです。

てっせん5○ ドライアイは涙液の分泌低下型と涙液の蒸発更新型に分けられます。つまり、涙の量が少ないか、質が悪いかという話です。ドライアイのサブタイプ別頻度はマイボーム腺機能不全:37.0%、CLや点眼薬によるもの:28.7%、瞬目不全によるもの:16.7%、涙液分泌減少型:15.7%というデータがあります。

○ 涙液不安定型のドライアイには:IT眼症のドライアイ、マイボーム腺機能不全、コンタクトレンズによるドライアイが含まれます。

○ VDT作業者にはドライアイが非常に多く30%をしめるそうです。しかもVDT作業者のドライアイはBUT(涙液層破壊時間)が短いのが特徴です。

1)シルマーテスト:細い紙片を眼にはさみ、5分でぬれる長さを測って(10ミリ以上が正常)涙の量を見るものです。

2)BUTは;角膜の上にフルオレセイン色素を乗せて涙の膜が壊れる時間を見るものです(正常は6秒以上)

○ VDT作業時には瞬目頻度が減少します。そして乾くのです。VDT作業時には瞬目間隔がBUT(涙液層破壊時間)より長くなってしまいます。自覚症状を有するVDT作業者の約半数はドライアイです。

○ IT眼症のドライアイの臨床的特徴は;BUT短縮と瞬目減少です。その対策は、BUT(涙液層破壊時間)と瞬目頻度の関係改善をめざす事で、瞬目頻度を増やすかBUTを長くすることでかなえられます。

てっせん4
○ BUTを長く保つには:1)オフィスの環境整備(オフィスまわり)、2)デスクの環境整備(デスクまわり)、3)目の環境整備(目のまわり)。そして4)眼科的な治療で完成されます。眼科では涙液量を増やすとか点眼薬の上手な使用、そして涙点プラグという手もあります。

1)オフィスの環境整備 (オフィスまわり)では、風が直接当たらないようにします。加湿器で湿度を保ちます。送風と乾燥はドライアイをつくりやすいです。タバコの煙はBUTを短縮させるので禁煙のオフィス環境が必要です。

2)デスクの環境整備 (デスクまわり)では涙液蒸発の抑制のため、Displayを見上げないようにするのがよく、視線は水平より14度以下の角度が良いです。こうしてBUTの延長をはかります。

3)危険因子の排除には、コンタクトレンズ装用が危険という警告も含まれます。CL装用はBUTを短縮させやすいからです。涙液の安定性を損ないやすいから、お化粧も危険です。眼鏡で眼表面の湿度を高く保つのもよい対策です。

○ BUTを延長させるには眼科的な治療で涙液量を増やすことができるでしょうか。また涙点プラグの使用は、涙液を増加できる唯一の治療法ですが、このほか、点眼薬の上手な使用も有効です。

点眼前後のメニスカス高の変化で表現される、点眼による涙液量の増加は長続きするものではありません。山田先生によると、ヒアルロン酸点眼が涙液量を増やす時間は限られているが,ヒアルロン酸分子は眼表面に留まって涙液の安定性に寄与するそうです。

○ BUT(涙液層破壊時間)と瞬目頻度の関係改善をめざすのが大切です。

○ このほか:マイボーム腺機能不全(MGD)という概念があります。これにはマイボーム腺の分泌低下による閉塞性MGDと分泌亢進による脂漏性MGDが分けられています。

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○ ソフトレンズ装用とドライアイにも言及します。ソフトレンズ装用により涙液層が不安定化するから多くの症例が乾燥感を訴えます。(ちなみに、私がコンタクトレンズの専門家ではないことも原因なのですが、取り扱いが難しくて不潔な使用をする患者さんに出会うことも多いので、特にハードレンズで無ければ視力が出ない強い近視や円錐角膜症例以外では私はもうハードレンズを使い捨てレンズの変わりに薦めることはしていません。どうしてもハードという患者さんは、医科歯科大学のコンタクト専門外来や、その他の専門機関に紹介しています。)

○ 山田先生によれば、涙液油層のリン脂質の役割は、「水と油」のつなぎ目の役割を担っていますが、マイボーム腺機能低下(MGD)とソフトコンタクトレンズの装用者の涙液ではリン脂質が低下し、涙液の安定性は損なわれているといいます。

○ その理由はイオン性レンズには大量の蛋白が沈着しますが、このレンズへの沈着蛋白が必要なリン脂質を分解するためということです。このようにコンタクトによるドライアイは 涙液の不安定化が特徴です。

てっせん1○ 最後に、私は現在、街の開業医であり、東京医科歯科大学の外来も一部担当しています。私の専門は神経眼科学でしたが、開業してみると神経系の疾患である眼瞼痙攣の患者さんに限らず、ドライアイが訴えの根幹であるという患者さんが多いのに驚きます。
○ 私が最近力を入れているブログ“清澤眼科医院通信“を紹介します。ここにはおばあちゃんにもわかる眼の病気としてさまざまな疾患の解説を書き溜めています。さまざまな疾患を説明していますので、ぜひ一度ご覧ください。

本日は講義の終了後に時間が無く、会場の質問にフロアでもほとんどお答えできないまま後ろ髪を引かれる想いで、午後の診療に飛び戻ってきてしまいました。皆さんがこのような問題で具体的な援助が必要でしたらどうぞいつでもご連絡ください。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

清澤眼科医院通信最新ページへ(リンク)します

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今回も花写真は鉄線(てっせん、クレマチス)で行ってみました。相川さんの花写真の特集が続きます。

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