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2007年3月17日

307 ラクーンアイズ(アライグマの目)、両目の皮下出血:

アライグマの目(ラクーンアイズ raccoon eyes)
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ラクーンアイズ(アライグマの両目、左右で複数なのでズがつきます。)というのは両眼の上と下の瞼の皮下に広がった出血で、鼻の上には広がらない(あるいは隠れる)ので丁度パンダの顔のような感じになります。(アライグマの写真)

ラクーンアイズ写真頭部の打撲の跡で、両眼でしかも皮膚にはその出血の原因となったと推測される傷がないのに、パンダの目のような皮下出血が静かに両眼瞼にかかっている症例を見ることがあります。

ラクーンアイズ図このアライグマの目のような出血は、前頭蓋窩(頭蓋底)に線状の骨折線がある頭蓋骨の骨折の症状とされています。(図の出典:http://connection.lww.com/Products/timbyessentials/Ch41.asp)その様な骨折の多くは線状の骨折ですから手術をして整復する必要はないのですが、骨折があれば、頭蓋骨に骨折があるというだけでも大変なことです。

また、眼窩内はともかく鼻腔や副鼻腔などのように細菌が常在する部分と脳脊髄液がこの骨折部分を通して接触しているわけですから脳の回りへの感染症(感染性髄膜炎)にも気を付けなくてはいけません。

また脳脊髄液が鼻腔に漏れ出し続ける髄液漏を形成している可能性もあります。鼻水(実は漏れ出した脳脊髄液)がないかどうかを患者さんに聞いてみる必要があります。学生時代、この鼻水の中の糖の濃度をテステープで調べると鼻水か脳脊髄液か容易に区別できると聞きました。

このようなわけで、ラクーンアイズというのは単純ですが前頭部の頭蓋低骨折を示す症状とされているのです。(ラクーンアイズの写真:)

これと似たものに耳の後ろの骨のふくらみ辺りの皮膚に出る皮下出血があり、これはバットルサインBattle’s signと呼ばれます。これは側頭骨の錐体と呼ばれる部分で、内耳を含んでいる部分に骨折があることを示すサインです。どちらも頭蓋底(頭蓋骨の底の部分)の骨折の兆候ですから重傷の頭部外傷であるということになります。

最近拝見したバイクで停車中の大型の自動車の荷台に追突して顔面を打ち、私の外来に紹介されてみえた患者さんは、このようなアライグマの目を示していました。

眼窩の診療での視力や眼球運動の検査には的確に答えてくれるのですが、検査がひと段落するたびに眠りに陥ってしまいました。前日の受傷から眠れなくて単にそうであったのか、それとも意識水準がそれなりに低かったのか?

重症例のラクーンアイズ写真ラクーンアイズは意識水準の高い患者にも、またこの図のように低い患者でも見られるそうです(http://www.itim.nsw.gov.au/go/objectid/2A022200-1321-1C29-70C7210E1056C73E)

暴漢に殴られたり、駅で階段から落ちて顔をぶつけたりしますと、皮膚に擦り傷を伴ったりしながら片方の瞼がはれ上がり紫に染まる皮下出血のこぶを起こすことがあります。

ここでお話ししたアライグマの目というのは、これとは別のものですので間違わないように。このような眼窩打撲ではむしろ視神経管骨折などに伴う視神経損傷や眼球の動きの制限の見られる眼窩吹き抜け骨折(ここに詳報)、それに眼球自身の損傷を考えて治療を進めます。

小児のラクーンアイズさらに乳児でこのような眼窩部の出血が見られ、眼球もやや前に出ているという場合には後腹膜にできる神経芽細胞腫が眼窩に転移している場合があり(http://www.indianpediatrics.net/sep2005/sep-949.HTM)、私も東北大学にいたころ一人拝見したことがあります。

この転移腫瘍はとても進行が早くまた出血もしやすいようですから、転んでコタツにぶつけたのだろうといった親の言葉を信じたり、あるいは親にたたかれたのではないかなどと疑うととんでもない間違いです。

私が運営するような町の医院ではそのような重症の患者さんを見ることはまずありませんが、東京医科歯科大学などの救急機能や、後方支援機能を持った病院の外来では、ストレッチャーや車椅子で外来を新患で受診する外傷の患者さんがしばしばいます。

そのような患者さんでこのような変化を見たら注意が必要です。

今日は眼科でも出会うことの有る脳底部の骨折の兆候であるアライグマの目を説明してみました。

参考ページ:神経眼科診療を一緒に担当してくださっている江本先生が探して教えてくれました。
http://en.wikipedia.org/wiki/Battle’s_sign
http://www.emedicine.com/med/topic2894.htm

Presentation with anterior cranial fossa fractures is with CSF rhinorrhea and bruising around the eyes, ie, “raccoon eyes.” Loss of consciousness and Glasgow Coma Score may vary depending on an associated intracranial pathologic condition.
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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