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2007年2月11日

280 強度近視眼の眼底出血に対する治療

強度近視眼の眼底出血に対する治療

本日は医科歯科大学眼科同門会に出てきました。1昨年の医局員の最優秀論文の著者による講演があり、今回は林先生がそれに当たります。講演に先立って私一人を観客にリハーサルをしてくださいました。(原著論文はHayasi K et al, Characteristics of patients with a favorable natural course of myopic choroidal neovascularization、Graefe’s Arch Clin Exp Ophthalmol (2005) 243:13-19 )

私の母にもわかるように平易な言葉で再現してみましょう。

血管新生(参天)強度の近視を持つ患者にみられる眼底出血(脈絡膜新生血管)の中で長期にわたり自然予後が良好な症例が居ます。その特徴を説明します。

また近年,脈絡膜新生血管に対する治療の進歩により新しい治療法が臨床応用され,近視性脈絡膜新生血管に対しても治療によって予後を改善できる可能性がでてきました。

それが、光線力学療法(PDT),および抗 血管 新生 療法であるavastinアバスチンです。

020204近視性脈絡膜新生血管は,強度近視患者の視力予後不良の原因として最も重要です。

近視性脈絡膜新生血管が出来てしまった患者さんは発症後 10年以上経過すると
ほとんどの症例では眼鏡をかけても視力が0.1以下になって、長期予後は不良です。

しかし中には、治療をしなくても長期にわたり意外なほど良好な視力を維持している症例が存在します。

020202近視性脈絡膜新生血管を有する強度近視患者で発症後5年以上の自然経過を観察できた52名の症例のうち、5年以上経過した後に最終視力が0.5以上であった視力予後良好群と
最終視力が0.1以下荷なってしまった視力予後不良群を集めて分析がなされています。

その結果は、発症時年齢、屈折度、眼軸長、 CNV の大きさ、CNVの位置、発症時視力の6項目を統計学的に比較検討しています。

020203平均観察期間は約9年間で最終視力が0.5以上で予後良好群に入ったものが14%、予後不良群は全体の64.9%でした。
予後良好群では不良群に比較して,発症時年齢が有意に若く、血管新生CNVは小さく,
また網膜の中心部分の中心窩以外に位置する傍中心窩の脈絡膜新生血管が多く,さらに発症時視力は良好でした。

一方、屈折度(近視の強さ)、眼軸長(超音波で測る眼球の前後の長さ、近視では長い)については両群間で統計上の差はありませんでした。

これは、強度近視眼でも若い症例では比較的 色素上皮機能が良好に保たれており、そのために脈絡膜新生血管の退縮が良好であったためと説明されました。

020201しかし、65%という大半の症例は5年以上が経過すると、眼鏡をかけても視力は0.1以下になってしまい予後は不良であるということになります。

従来の近視性眼底出血‘脈絡膜新生血管)の治療にはレーザー光凝固、CNV抜去術、黄斑移動術などがありますが,いずれも正常網膜へのダメージが大きく良好な効果は得られず,殆どの症例に治療を行うことはできませんでした。

020104そこで、最近、東京医科歯科大学で試されているのが、光線力学療法と、アバスチンという薬剤を眼球内に注射する硝子体注入との2つの治療法です

光線 力学療法(PDT)は,光に対する感受性を強める感受性物質Verteporfinベルテポルフィンを静脈内に注射し、半導体レーザーで正常網膜に障害を与えずに眼底の網膜の新生血管だけを特異的に閉塞させる治療法です。

013002東京医科歯科大学では脈絡膜新生血管を有する強度近視患者でこの治療を(本人に経済的負担をかけない)研究費負担で施行しているそうです。

今までに光線 力学療法(PDT)を施行したのは56眼で1年以上の経過観察ができた患者を分析すると、病巣の最長径GLDは光線 力学療法(PDT)により縮小したそうです。脈絡膜新生血管が閉塞に至るまでの光線 力学療法(PDT)施行回数は1年で平均1.5回との事です。

光線 力学療法(PDT)群における,0.2 logMARをこえる視力変化の割合は,1年後に改善20%,不変65%,悪化15%で約85%の症例では視力の維持または改善を示しました。

光線 力学療法(PDT)群と自然経過群とを比較すると、1年後の視力(logMAR)はPDT群の方が良好だったそうです。

アバスチン近視性CNVに対する新たな治療のオプションはベバシツマブ (Avastinアバスチン)の眼内注入です。

avastinは 血管新生を促進する血管内皮細胞増殖因子VEGFに対するモノクローナル抗体で,VEGF の眼内での異常血管の増殖を止める働きがあります。

東京医科歯科大学でアバスチンを注入した近視性脈絡膜新生血管の患者は現在までに20名20眼とのこと。これも今は、患者さんに経済負担のない研究費で施行しているそうです。

近視性脈絡膜新生血管(CNV)に対する光線 力学療法(PDT)とavastinのにはそれぞれメリットとデメリットがあるようです。

以上、林先生のお話を極力正確に再現してみました。

この治療に興味がおありの方は、医科歯科大学の金曜日の新患をお尋ねください。
もし私の診療所をお訪ねくだされば、一通りの診察の上、医科歯科大学で私の担当している外来を通して、なるべく早く見てもらえるように強度近視の治療を行うグループの先生におつなぎいたします。

(追伸:この研究につきまして筆者清澤は詳しくはありませんので、医科歯科大学強度近視外来担当者にお聞きください。)

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