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2007年2月7日

276 gyrate atrophy 脳回転状脈絡網膜萎縮症

ジャイレートアトロフィー脳回転状脈絡網膜萎縮症”脳回転状脈絡網膜萎縮症”>(⇒リンク)について私のブログを見てくださった方が居ましたのでご説明いたします。この疾患は、近視などで見られる普通の網脈絡膜萎縮とは無関係です。

012902この疾患にかかった患者は進行性の視力低下に直面し、40歳から60歳で多くが失明します。この疾患の原因は生まれつきの代謝異常です。

図に見られるような脳の表面の皺のような網膜の萎縮が周辺網膜から現れてきて、視野の狭窄や視力の低下など網膜色素変性症に見られるような症状が観察できます。

012903この原因遺伝子は第10染色体にあり、オルニチンケトアミノトランスフェラーゼornithine ketoacid aminotransferase (OAT)という酵素の異常があります. その遺伝子の異常のパターンによって異なった臨床症状を示します。

OAT という酵素はオルニチンというアミノ酸を尿素サイクルから最終的にはグルタミン酸に変えます。脳回転状脈絡網膜萎縮症ではこの回路が冒されるので血清のオルニチンornithineが増えます.

食品中のアルギニンを減らすと症状を軽くする効果があることが知られています。

013001最近はこの疾患は臨床的にも研究でもやや注目を浴びることは下火のようですが、当時の発表を見た先生や特異な眼底所見から図譜を見てこの疾患を診断することの出来る先生がいらっしゃるのでしょう。

この事実を世界に先駆けて発見したのは当時東北大学の眼科で講師をしていた早坂征次先生(後に富山医科薬科大教授に就任されました)です。私も一例の患者さんを母校の東北大学に当時留学中だった北里大学から繋ぎ、論文の共著者の一人に入れていただきました。

Takahashi O, Hayasaka S, Kiyosawa M, Mizuno K, Saito T, Tada K, Igarashi Y. Gyrate atrophy of choroid and retina complicated by vitreous hemorrhage.
Jpn J Ophthalmol. 1985;29(2):170-6.

013002当時早坂先生は入院中の患者さんをよく観察して、売店で大量のピーナッツを買い間食しているのを見て、この網膜変性の影にこの代謝異常が隠れていることに気が付いたとおっしゃっていました。

気が付いてみれば、同級生であった筆頭著者はすでに世を去り、古い東北大学の歴史の思い出となりました。私の大学卒業後7年目で臨床修練と研究に眼の色を変えていた血気盛んなころの思い出です。
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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