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2007年1月11日

255 小児の内斜視

255 小児の内斜視 清澤眼科医院通信69号  (2007年1月13日 2015,4,8加筆復旧)
136-0057江東区新砂3-3-53
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両眼視の無い小児の内斜視の治療方針(プリズム?、手術?)

ミホさんから質問を戴きました。

質問

5歳の男の子です。先日たまたま眼科に受診したところ、内斜視と診断されました。
内斜視の原因が先天性のものかどうかは分かりませんが、左右の眼は交代視しているようで、両眼視はしていないようです。

これからは、半年程プリズム眼鏡にて正しい眼の位置にして、手術をするかどうか決めると言われました。

斜視角は両目10度ずつ(?)で、左右の視力は1.2で遠視は殆どありません。

色々調べていると、内斜視の術後は外斜視になることもあるとか書いてあり不安になりました。

見た目は親の私が見ても全く気付かない程です。

もうすぐ6歳ですが、手術をする事によって、両眼視とかは回復するのですか?回復する見込みがないのなら、このままでいいのでは・・・とすごく迷っています。

もし手術をしないで、このまま様子を見ていたら今後どうなるのでしょうか?
斜視角等ひどくなるのでしょうか?

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お答え

患者さんの質問は、次のように要約してよいのでしょうか?

6歳児で交代視が出来、各眼視力はよいが、両眼視が弱くて10度の内斜視。このような斜視のプリズムと手術の適応はいかがですか?

これは大変専門的でなかなか答えるのに難しい質問です。
斜視弱視の専門医が作っているメーリングリストがあります。そこにこの質問を流してまた、医科歯科大学の専門家にも聞いてみました。

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これに対して医科歯科の視能訓練士の責任者の山下牧子先生はこのように説明してくれました。(文は清澤が易しく言い換えてあります。)

内斜視には遠視が関与したものと、屈折度や調節に関係のないものとがあります。
そこでいつから内斜視になったか?矯正視力の値、屈折異常特に遠視の有無、両眼視の能力があるか、などを検査して今後の対応を決めます。

◎お子さんは、矯正視力が両眼とも良好、屈折異常も無いということで、乳児内斜視か、後天性の内斜視であると考えます。

そこで、生後の各時期の写真から斜視の発症時期を確認します。

○生後6月以内の発症であれば先天性とします。この場合、(遠視が無い限り普通は)プリズム眼鏡の処方はいたしません。

そこで考えると、多少なりと遠視成分があったのかもしれません。

また、先天性内斜視では両眼視機能が育ってないと考えられますが、6歳はまだ両眼視機能の発育期の内に含まれますからあなたの担当医の先生は、プリズムを処方して眼位を正常に保ち、少しでも両眼視を育てようとしたのかもしれません。

しかし、一般的には(両眼視の能力を獲得できる期間が終わろうとしている6歳の時点では、)これからの訓練や手術で両眼視機能を獲得させることは難しいと思われますから、美容的な整容を主な目的にして手術を計画することになります。

また、この場合斜視角が10度(20プリズム)と比較的小さいですから、術後に外斜視になることもあることに注意しながら手術量を考えます。

○後天性の内斜視でも1歳未満の発症例では先天性の斜視と同様に考えます。

○これが、2歳前後の発症例では、両眼視機能が多少なりとも得られている場合もあります。(これに対してもプリズムを処方するのもあまり一般的ではないのですが、)両眼視能力を失わせず、いっそう発達させるために、プリズムを処方して眼位を正位に保とうとしていると考えることも出来ます。

最終的には手術に踏み切ることもありますが、斜視角が小さくてプリズムだけでも両眼視が維持できるのであれば、手術なしでプリズム眼鏡だけで経過を見ることも考えられるでしょう。

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◎また、小児眼科の大家で大阪大学の不二門 尚教授はいっそう専門的な次の返事をくれました。(カッコ内は清澤の注記です)

内斜視の手術適応は、やはりプリズム適応テスト(Prism Adaptation Test)だと思います。APCT値(プリズムを置いて交互に目を隠して眼球の動きが中和される角度)と同じか過矯正の値(それよりやや大きな角度)のプリズム値の眼鏡をかけさせて、直後および1時間後の眼位(内斜視や外斜視など眼球のむきを示す値)を比較し、この間に大きな差がなくて、Bagolini SG TestでSingle Vision(網膜異常対応、つまり左右網膜のずれた位置で見る癖がついていないことの確認が出来れば)が確認できれば手術しても大丈夫だと思います。

build up(プリズムをかけているうちに斜視の角度が増加してゆくこと)がある場合は、眼位が術後不安定の可能性があります。

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さてさて、実際の患者さんを拝見しての答えではなきので見当違いでなければとは思いますが、多少なりと親御さんの参考になりましたでしょうか?

私のブログでこのテーマに関連のある部分が以下に有ります。

乳児の内斜視、赤ちゃんの寄り眼
乳児内斜視、先天性内斜視
小児弱視等の治療用眼鏡購入に対する補助
アトロピンを用いた屈折検査

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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