視界が白くぼやけて見え、視神経が白濁して居るといわれた。
患者の気持ちに寄せられた質問と其の答です。
(管理頁)
Q and A
質問:
私の母の目の事なのですが、最近になって左目が見えない(白くぼんやりしている)と言ってきました。地元の病院に行った所、原因不明(病名を特定できず)と言われました。
以下、母の状態を箇条書きにて書かせて頂きます。
・2年ほど前から違和感があった。今年の春頃は痛みと涙が出るという状態だったが、その後一時痛みなどがなくなった。
・見えない状況としては、白くもやがかかったように見える、道路の白線が極端に移動したように見える。右目をつぶるとほとんど見えない。
・現状かかった医師の診断としては、視神経が白濁しそれで視界が白くぼやけて見える。そしてその神経の変色したものが回復することはない。
・今年の4月頃に目がとても痛かった時期があり、熱っぽかった。
・残った右目も視野の下半分に網がかかったよう(下半盲図)になり見えにくいこともある。
また、ネットで調べていたら、「特発性視神経炎」というものがあり、母の訴える症状に似ているな、と思っています。http://www.skk-health.net/me/21/index.html#CHAP1SEC1 (これは三和化学のHPで、東大非常勤講師の大平先生の書いた信頼できる記事です。)
以上から、何か特定出来る事はありますでしょうか。いずれにしても新潟の田舎のため、早々に上京させ、一度都内で受診させようと思っています。
お答え:
お正月明け最初の質問をお寄せくださってありがとうございます。
患者さんからの症状の聞き伝えと前の先生の説明の断片をあわせますと、
視神経の病変で現在は、その後遺症として視神経萎縮が左目に起きているということのようです。右目も時々見難いことがあるというのが気になります。
症状などからは、虚血性視神経症(⇒リンク)(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/50428814.html)が特発性視神経炎(⇒リンク)(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/50427479.html)よりも、疑われます。
視神経炎は視神経を取り囲むグリアという細胞の炎症で、かなり多くの症例が、視神経が白く萎縮しても、治療で視力を一旦は回復します。50歳未満の、比較的若い年齢に多い疾患です。
一方、虚血性視神経症とは、視神経乳頭(短後毛様動脈)や視神経に血液を送っている血管の血流障害によって視機能障害を起こすことによって起こる視神経疾患の総称です。はじめは、視野の上半分や下半分に欠損が起きることが多いとされています。中心にかかってくれば、視力も下がります。
(1)全身のだるさや痛みを伴う血管の炎症を原因とする全身疾患である巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)に伴って起きるものと、
(2)動脈硬化や高血圧それに糖尿病などを基礎疾患として起きる非動脈炎型のものがあります。
もし動脈炎型の虚血性視神経症であれば、血液の検査結果で赤沈が亢進しているはずで、眼の症状も今後進行することが予想されますし、反対の眼にも来ることがありますので至急対策を取ることが必要です。後者(非動脈炎型)ならば、保存的な薬物治療法が主になります。が、これも必ず回復が期待できるというものではありません。
また、髄膜腫(良性の腫瘍)などが視神経の近くに出来ていて、ゆっくりと視神経を圧迫している場合(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/50684764.html)がありますので、MRIやCTも取り直すのがよろしいでしょう。
眼に痛みがあったとすれば、上強膜炎などの炎症があって今は治まっている可能性も考えられます。
出来たら一度早めに見せてください。
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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